シメサレタミチ
姉さんは俺に何を望んでいるんだ?自分が成し遂げたかったこと?
だったらそれは何なんだ?
もしそれがわかったとしても、あの姉さんが出来なかった事を俺が出来るのか?
頭の中で飛躍する可能性。本当に姉さんが俺に何かを望んでいるかなんてわからないのに…。
只、馬鹿な弟の事だから自分を追ってくるって思っていただけかもしれないだろ。
今再びの自己嫌悪。
しかし、やはり姉さんの事だ。俺が気付かないとは思っていないだろう。あの人は天才だったから、そんなこともわからない筈はない。
思考を巡らせる程、口が動かなくなる。本来の目的は違った筈なのに、何故こんなことになっている?
息遣いが荒くなり、肩で息をし始める。目の焦点は合わず、既に頭はオーバーヒート状態だ。
そんな俺を心配してか、花澤は俺の背中を優しく擦り始める。
「大丈夫?いきなりハルカちゃんの話しちゃったからやな。…ごめんな。」
「はぁ…はぁ…」
上手く受け答えが出来ない。俺にとってさっきの話は、まるで世界が裏返ったかのような衝撃だったんだ。
半分もう諦めていたから、もうこんなところに居たくないって思っていたから。それでも可能性を残されたなら俺は知る努力をしなくてはいけない。
「つくし先輩、すみません。頼みがあるっす。」
俺は満を持して花澤に言った。花澤は俺の背中を擦りながら首を傾げる。
「風間さんの意思には反するかもしれないっす。それでもやっぱり俺の側に居て欲しいっす。姉さんの為にも…。」
「何回も言わすなや。うちはあんたの為に生きるって決めたんや。ハルカちゃんの目的はわからんけど、それを成し遂げるまでうちが隣に居たる。だからナツキのやりたいようにやってみぃ。」
「つくし先輩…。本当にありがとうございます。本当に……」
目が潤む。花澤も辛い筈なのに。いや、今一番辛いだろうに。俺の為にここまでしてくれる。こんなに心強い事はない。
「それに、うちは死なんから。最終目標が達成出来たら、そん時は兄ちゃんの骨持って施設に帰るわ。だから大丈夫や。」
花澤は強がって笑顔を見せる。俺はこの人の為にも努力をしなくてはいけない。その為に今、俺がしなくてはいけないこと。それは2つ。
まずは姉さんの目的を知ること。そして自分自身が強くなること。
今日、俺の物語の歯車がようやく回り始めた気がする。




