表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この壊れた世界でナニヲオモフ  作者: 政吉
第一章 “仮初めの平和“
69/209

ジコケンオ

とは言っても…。


こんな経験無いからどうすればいいのかわからない。夕食って何を持っていけばいいんだ?


戸惑いながらも俺はトレーにパンとサラダ、牛乳を2つずつ乗せた。イメージの問題だが、独房の罪人はこんな食事でいいと思う。


俺はそれを持って食堂を出た。廊下を歩く俺の足は重い。まるで鉛で出来てるのではないかと思う程の重さだ。


「はぁ……何で俺がこんな…」


無意識にため息が漏れる。特に今は精神的にまいっている。そんなこと自分でもわかっている。


その時、俺の後ろからいきなり声がかかった。


「なんや?ため息なんてついて。」


振り返らなくてもすぐにわかった。この声は花澤のものだ。


「喜んで独房に夕食を運ぶ奴なんて居ませんて。」


俺はふいに素っ気なく対応する。本当はもっと話したい事が沢山あるのに…。


「そかそか…、そやったね。ねぇナツキ、うちも一緒に行ってもええ?美咲ちゃんのこと気になるし。」


花澤は少し寂しそうにそう言った。俺は思わず振り返る。今の花澤に取る態度では無かった。すると花澤は無理に笑顔を作る。


「そうっすね。一緒に行きましょう。独房の場所もハッキリはわかりませんし、案内してくださいよ。」


「うん!そしたら行こっか。」


花澤は俺の前を歩き始めた。その姿はどこか無理をしているように見える。昨日まで風間の部屋に引きこもっていたのだ。それなのにいつもと同じように振る舞う努力をしている。


俺はそれについて触れるべきではないと判断している。花澤はこれで大丈夫なのだと勝手に判断しているんだ。


風間のことはもう忘れた方がいいんだ。思い出させないようにした方がいいんだ。


それでいい。今は俺だけを見てくれればそれでいい。


それがこの壊れた場所での常識なんだ。


認めたくないのに、染まってしまう。それしか選択肢を知らないのだから仕方ないではないか。


わかっているのに言い訳してしまう。


俺は自分が嫌いだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ