ワカレ
不毛だ。
こんな戦いに俺が命を張る意味があるのだろうか。せめて姉さんの真実が知ることが出来ればこんな場所からはオサラバなのだが…
もうそれも簡単にはいかなくなってしまった。
俺の味方はもう壊れかけの花澤しか居ないから…。
既に無気力な俺。
だが、そんな俺に追い討ちをかけるような話し合いが始められた。
「それじゃあ新人を含めたチーム編成を発表するぞー。今回は俺の独断で決めたから。」
日向はそい言ってタブレットを操作し始める。そこにチーム編成が保存してあるのだろう。
風間が居なくなったことで第二小隊の隊長枠が空いている。副隊長であった花澤があの調子ではそのまま昇格は難しいだろう。一体誰がそのポストにつくのだろうか…?
「じゃあ第一小隊から順番に発表するぞー。
第一小隊隊長に飯倉、副隊長は松本。あとは月島花怜、竜胆。
第二小隊隊長に高橋、副隊長は花澤。月島美咲、藤井。
第三小隊隊長に朝霧玄太郎、副隊長は朝霧里穂。菅野、鳥海。
カナリアはそのままね。
最後に第五小隊隊長は俺。副隊長に帯市。そこに本田と女越。 以上。」
えっ!?
第二小隊に俺の名前は無かった。花澤と離れてしまった。予想外の出来事に俺は気持ちの整理が追い付かない。
花澤は俺の方を見ている。
「それじゃあ各隊に別れてミーティングしてくれ。あと、新人には教育係付けるの忘れるなよ。」
日向の言葉を皮切りにメンバー達は席を移動し始める。俺はその前に花澤の元へと向かった。すると花怜は事情を察して花澤の隣を離れた。俺は花澤の隣に座る。
「ナツキ、離れてもたね。うちが居らんとあんた、アカンやろ?」
花澤は無理矢理笑顔を見せる。
「そうっすね。正直、先輩と離れるのは嫌っす。他のメンバーと上手くやっていけるか心配ですし…。」
「何言ってんねん、冗談やったのに。ナツキなら大丈夫やろ。それに約束は守るから。うちのことちゃんと信じてや。」
「……うす。」
ここで言う約束とは、昨日の夜のあの言葉の事だろう。思い出すと急に胸が締め付けられるような感覚に陥る。
まさか俺がここで花澤と離れるとは…。やっぱり嫌だ。でも逆らう訳にもいかない。俺は強引に自分を宥めようとする。
「…藤代は俺の同期なんです。よろしくお願いしますね。」
諦める為に話を反らせる。まあ、藤代も友達だから…。
「うん、わかった。藤井君の事も任せてや。」
「いや、藤代ですって。」
「あっ。そかそか!藤代君ね。今ちゃんと覚えたわっ。」
そう言って苦笑いする花澤。
「……つくし先輩。俺…」
ずっと花澤一緒に居た。まるで親離れ出来ない子供のような俺。自分の事も心配だが、花澤の事も心配だった。
「…どないした?」
急に萎れた俺の姿に花澤は心配そうな表情を見せる。俺はグッと唇を噛み締めて我慢した。
「いや…、なんでもないっす。またご飯食べに行きましょうね!!つくし先輩。」
「…うん!行こねっ。約束ね。」
そう言って花澤は俺に手を振った。俺は花澤の元を離れた。
俺にとってはそこが全てだったから。だからとても悲しい。俺はトボトボと歩く。
「ナツキ、随分つくしに肩入れしてるじゃん。」
前方より俺にかかる声は里穂のものだった。里穂は腰に手をあてながら呆れた表情で俺を見ている。




