マイゴ
暑い。予想以上に暑い。
俺たちが降り立ったのは南の島、沖縄。昨日の朝の飛行機でこちらに向かってきた。
那覇空港内には多くの観光客がおり、そこらじゅうを右往左往している。実は沖縄には初めて来る。こんな時なのに少し興奮している。お土産物でも買っていきたい気分だ。…買って帰る人も居ないのだが。
この興奮は久々の外界と言うこともあるだろう。なにせ俺の外出日は消えてしまったのだから。こうしてちゃんと外に出たのは何年ぶりだろうか。やはり胸が踊る。
「こらぁ、観光やないで!」
白いワンピース姿の花澤は両腕を左右の腰に当てながら頬を膨らませる。私服の花澤は初めて見る。高校生か何かだろうか。
「なぁに考えとるんや?怪しいなあ。」
俺の表情はそんなに分かりやすいだろうか。これは改善する必要がある。
「いえ、別に。久々の外なんで少し興奮してます。しかも沖縄は初めてなんすよ。」
「そうなん!?実はうちも初めてなんや!今日、沖縄名物食べれるかなあ?」
この人は…。流石にチョロすぎるだろ。
俺は苦笑いしながら頷いた。
「こら、つくし!お前まではしゃいでどうする。」
風間は花澤の頭を軽く小突いた。
「えへへー。ごめんて。」
花澤は小さく舌を出して風間に謝った。
「残念だが観光してる時間はない。このまま車に乗って、それからすぐに船に乗り換えだからな。ほら、行くぞ。」
風間に連れられて俺と花澤は出口へと向かった。
そこには大きなバスが1台。既に他の団員は乗り込み始めている。まるで修学旅行だ。決定的に違うとすれば、明らかに場違いなチンピラが乗っていることだろう。
「おっせーよ。暑ちーんだからさっさとしろ。」
第一小隊隊長の飯倉はいつも言葉遣いが乱暴だ。正直俺はこの人が苦手だ。どこか人を見下しているような印象がある。サングラスにアロハシャツ、足元はビーチサンダルで固めたその格好はチンピラそのものだ。
「いや、すまない。第二小隊はこれで全員かな?………ん?」
風間は固まる。そして顔がみるみる青くなっていく。
「…美咲はどこいった?」
「えっ?さっきまで後ろに居ったと思うんやけど…。」
「そうでしたっけ?飛行機降りたところから俺、見てないっすよ?」
第二小隊は全員揃ってなかった。月島は普段からあまり存在感がない。居なくなってもそうそう気付かないことが多い。
「携帯に電話してみたらどうっすか?」
「ダメだ。美咲は極度の機械音痴でな。そういったものは持ち合わせていないんだ。」
「あわわー。うち、探してくるわ!」
花澤は駆け出すと、そのままバスから降りた。
「っ!?いけない!!ナツキ!つくしは極度の方向音痴だ!後を追ってくれ!」
「えぇぇ!?マジっすか!?わ、わかりました!」
災難続き過ぎだろ。本当にこの小隊は大丈夫なんだろうか。俺は走りながら頭が不安で一杯になった。




