シズケサ
夕飯は意外と胃にすんなり入っていった。俺は自分の図太さに少し驚いた。もうすぐ殺し合いが始まるとは思えない。それはどうやら花澤も同じようで、全く意に介さず食事を楽しんでいる。
いや、花澤の場合もう慣れていると言っても過言ではなかろう。彼女にとって次の戦闘は何回目の殺し合いになるのだろうか。
実感が無かった。始まらないと、無くさないと、俺は気付かない人間なのだろう。俺はそうやって大切な人を失った。姉はこんな時どうしていただろうか。
夕飯終わりのミーティング。第二小隊会議室には俺と花澤と月島の三人のみ。風間はどうやら遅れているらしい。
30分程経ってから風間が現れる。その表情からは酷く疲れた様子が見て取れる。
「それじゃあ当日の確認を始めよう。まずは自分達が必要な武器の申請をするから、必要なものを必要なだけここに書いてくれ。」
風間はそう言って俺たちに紙を渡す。そこには国連で使用が認められている武器の一覧表があった。花澤と月島は手際よくそれにチェックを入れていく。
「出来たあ!」
花澤は一番に書き終え、風間に紙を渡した。
その数秒後、月島は無言のまま続けて風間にそれを渡す。
俺は…どうする?数を持っていけばいいという訳ではない。重すぎて機動力が落ちるのは避けたいからだ。
ではどうする。俺が一番使いやすい武器は何だろうか。風間と組手をしている時に一番使っていたのは日本刀の脇差しだ。長過ぎず、短過ぎず、一番しっくりきたのを覚えている。
まず一つは決まり。
あとはナイフを3本持っていくことにした。だがどうしようか。刃渡りで細かく分類されており、どれを選べばいいのか正直わからない。
「ナイフは腰に差すんやろ?だったら20センチもあればええわ。そうしとき。」
横からの急な声に俺は驚いた。花澤は覗き込むように俺の一覧表を後ろから見ていたようだ。
俺はすぐに20センチのナイフにチェックを入れ、そのまま風間の元へ向かった。
「これで全員だね。よし、それじゃあ次は当日の隊列を発表する。気になることがあればすぐに俺に言ってくれ。」
俺たちは黙って頷く。
「まず先頭はつくし、前方の索敵と陽動を行ってくれ。その10メートル後ろに俺とナツキだ。ナツキは左側の警戒を、私は右側の警戒を行う。最後に美咲。美咲は自分の判断に任せる。自由に動いてくれ。」
「つくし先輩が先頭なんすか?あと、月島先輩が自由って…どういうことっすか?」
「言葉の通りだ。つくしは索敵能力に長けてるし体も小さい。先頭を任せるには一番の適任なんだ。美咲に関しては、隊列を決めない方が動きが良い。それだけだ。」
「せや。これがいつも通りやから別に変なことではあらへんよ?」
「…そ、そうなんですか。先輩方が納得してるなら別に良いんですが…。」
花澤を心配して言ったのにこんな返しをされるとは思わなかった。少しモヤモヤする。
「あとは細かい連携の確認をして今日は解散にする。それじゃあ始めるよ。」
ミーティングは深夜まで続いた。解散という餌をぶら下げておいて、こんなに遅くまで続けるとは…。風間、恐るべし。




