アラシノマエノ
「カナリアはな、基本的には独立小隊なんや。つまり、指示は受け付けない。全部自分達で考えて行動する小隊なんや。」
「それって…大丈夫なんすか?せめて俺たちに進軍ルートぐらい教えてくれてもいいじゃないですか?」
「うーん。確かにそれもそうなんやけど…。カナリアはメンバーそれぞれがバラバラに動くから教えようがないんや。ほぼ戦場で出会うことはないかもしれんし、あんまり気にしない方がええわ。」
俺は不思議に思う。一人で戦場を進んでいたらまず生き残れないのではないか?それでは見つかった時点で終わりではないか。
「わかりました。カナリアのことはもう大丈夫っす。」
俺はその疑問を圧し殺し、強引に納得する。今はそんな事を気にしている時ではない。日向の説明はまだ続いているのだ。ちゃんと聞かなくては。
その後ミーティングは夜まで続いた。初めての戦闘になる俺と竜胆がわからないことがないように、日向は事細かに説明をしてくれた。その際、日向の“めんどくせぇ”はミーティング中には一度も出なかった。 やる時はやる人なのだろう。少しは見直した。
「よし、それじゃあ後は各隊で準備を進めてくれ。今日は解散にする。明日の夜10時にはここを出発するからな。9時30分にはこの会議室に集合してくれ。」
会議が終わったのは夜の8時。私服のまま座り続けた5時間半はとても長く感じた。
「つくし、美咲、ナツキ。夕飯食べたら第二小隊会議室に集合だ。」
風間は俺たちに声をかけると、そのまま日向と共に部屋を後にした。隊長というものは毎回やることが多いのだろうか。この会議中も何度も何度も日向と話し合いをしていた。まだ確認する項目があるというのか…。とても俺には勤まりそうにない。
「美咲ちゃん、ナツキ、ご飯食べに行かへん?」
「行くっす!」
俺は反射的に声が出ていた。
「……わたしは…いい。…ありがと。」
月島は静かにそう言うと、花怜の元へ向かった。姉としては妹が心配なのだろうか。やはり月島も人の子ということか。
「しゃーないな。ほな、ナツキ、行くで。」
俺は花澤と共に食堂へ向かった。




