ランク
風間は席を立つと、日向の元へ向かった。なにやらふたりで話し始めた。そこへ第一小隊隊長の飯倉、第三小隊隊長の朝霧、第四小隊隊長の榊の順番で話に加わっていく。各隊長が揃う姿は圧巻だ。
俺はその間に地図とは別に配られた資料を確認する。そこには相手のランクが表示されたリストもある。
「花澤先輩、この別紙って相手のリストですよね?やっぱり知ってる人も居るんすか?」
日本と中国とは既に4回目の戦闘になるのだ。初期メンバーの花澤ならある程度は知っているのではないか。俺としては出来れば敵の情報は知っておきたい。
「うーん…。中国はな、ちょっと特殊やからなあ…。」
花澤は意味深な反応を見せた。
特殊ってなんだ?俺は眉をひそめる。
「実は毎回殆どのメンバーがお初なんや。うちもこのリストの内、半分以上は知らんわ。固定メンバーはこの5人だけや。」
確かに良く見てみれば、殆どのメンバーのランクは初期ランクである“C”だ。それに比べて、花澤が指すその5人のメンバーのランクはどれも高い。
李 正眼 ランク A
周 太源 ランク BBB
胡 陽斌 ランク BBB
雪 列 ランク AA
燕 迥泰 ランク BB
この五人には注意する必要がありそうだ。特にランクA以上の李と雪に関しては出会ったら真っ向から戦うのは避けた方がいいのだろうか?
「この5人って…ランク高いんすよね?やっぱりこいつらとは戦わない方がいいんすか?」
ランクの基準がわからないから本当に強いのかもわからない。せめて風間のランクが解ればそれも解決するのだが…。
日本チームのメンバーは自分のランクを話さない。なぜならそれを日向によって止められているからだ。ランクを知る事によってメンバー間のモチベーションに格差が生まれるとのことだ。つまり俺が風間や花澤のランクを知ることは出来ないのだ。ただ一つ確実なのは新人である俺がCランクであることぐらいだ。
花澤は腕を組ながら考え込んでいた。そして何かを思い出して顔をしかめた。
「そやね。その5人ともあんまり会いたくないなあ。…特に雪だけは絶対会いたくないわ。」
雪は中国で一番高いランクの人だ。花澤はその人と戦場で会ったことがあるのだろうか?
「強いんすか?やっぱりその雪って人。」
「うん、強いよ。もし会ったら絶対戦っちゃダメやから。」
「了解っす。」
俺は二つ返事で了解した。正直言葉で説明されてもわからないだろう。とにかく、その5人とは戦わないこと、特に雪に関してはそれが絶対。今はそれだけわかっていればいい。先輩のアドバイスは素直に受けとる。それが世の中を渡り歩くセオリーだ。
「よし、みんな。当日の配置発表するぞ。」
ちょうど日向の号令がかかる。俺たちは話を中断して前を向いた。
「まず、第一小隊は南側の平坦なルートを進んでもらう。その援護は俺たち第五小隊が行う。」
飯倉は一歩前に出て隊員にアピールをする。竜胆は自信満々の表情だ。松本はそんな竜胆を横目で見ながら呆れた表情をしている。
「第二小隊は北側のルートだ。援護は第三小隊で行う。但し、第三小隊はフラッグ防衛が一番の任務だからそこ忘れないでね。」
日向の声に風間と朝霧は頷いた。
つまりは俺たちはほぼ一小隊で北側ルートを進めと言うことだ。風間の意見は通ったらしいが、俺の不安はまだ完璧には解消されていない。緊張が体の関節を固める。今からこんなことで大丈夫だろうか…。
「以上だ。」
…あれ?まだ呼ばれていない小隊があるのではなかろうか?まさか日向は忘れているのか?俺は言うべきか迷う。だが、俺みたいな新参者はそれを言う勇気が無かった。
仕方ない。花澤に聞いてみよう。
「何で第四小隊は呼ばれないっすか?」
「ほえ?第四小隊?…ああ、カナリアの事やね。彼らの戦い方はちょっと変わってるからなぁ。」
「変わってる?」




