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この壊れた世界でナニヲオモフ  作者: 政吉
第一章 “仮初めの平和“
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ガイヨウ

「お、俺の外出は…?やっぱり無くなるんすかね?」


走りながら俺は花澤に聞いた。


「これから戦闘が終わるまでは外出は禁止や。しゃーないやろ。終わったらうちの護衛役で連れ出したるから今は我慢するんや。」


俺は少し口を尖らせる。仕方ない。今回の外出は我慢してやろう。


数分後、花澤は大きな扉の前で止まる。ここは一度もまだ入ったことがない部屋だ。扉の上には大会議室と書いてある。花澤はノックをし、扉を開けた。だがそこは大会議室というにはあまりにも小さな部屋だった。


どうやら俺たちが一番最後だったらしく、五角形組まれた机の椅子には18人全員が座っている。


「つくし、ナツキ。こっちだ。」


風間が小さな声で俺たちを呼ぶ。俺たちは屈みながらそちらへ向かった。全員の目線が俺に刺さる。何せ外出準備中の格好なのだ。私服は目立って仕方ない。タイミング、悪すぎ。


「全員揃ったな。それじゃあ始めよう。」


日向は俺たちが座るのを待ってから話始めた。俺から皆の目線が外れると、少し気が楽になった。


「まずは概要からだ。今回の相手は中国。いつもの領土問題の続きだ。」


確か俺が見た戦闘記録によると、中国は国別総合ランク6位。全体での勝率はかなり高い。実はこの領土問題で日本とは何度か戦闘を行っているらしく、勝敗は4戦3勝1敗。


今回は沖縄県沖の与波泰諸島よはたいしょとうの領土を巡る戦闘になるとの事だった。与波泰諸島と言えば、日本有数の観光地として名高い島々。もちろん日本人が住んでいる島だ。 だがそれと同時に昔から中国とその島を巡って論争が行われてきた。


だがこの際俺にその理由は必要ない。とにかく勝つこと、そして生き残ること。それが今の俺にとって重要なのだ。どうやらそれは他のメンバーも同じようで、その説明には興味を示さない人が多かった。


「今回の種目もフラッグ。場所は与波泰諸島の一つ、首我名島しゅがなとうだ。今は人が住んでいない無人島らしい。日程は3日後の6月12日、日本時間午後15時からだ。


フラッグ…?確か研修で習ったな。互いの陣地にある押しボタンを先に押した方が勝ち。という内容だった気がする。


ここに首我名島の地図がある。今からコピーを配る。これを元に各隊の展開を決めていくぞ。」


日向の説明は簡潔だった。もう慣れているのだろう、要点のみを伝えていく。そして俺の手元にも首我名島の地図が巡ってきた。


なんだこれは?


それは等高線が書かれた地形図と、衛生写真の二枚のみ。縮尺から察するに、この円形の島は直径1.5キロメートルぐらいだろうか。地図の西側中央に日本の国旗が、東側中央に中国の国旗が印されている。それ以外には詳細な写真は全く無かった。



「これじゃあ実際の地形わかんないっすよ?」


俺は小声で花澤に言った。


「毎回こんなもんや。公平を保つ為に、互いのチームに配られる資料は同じものを使うらしいで。」


俺は小刻みに頷いた。そうなると現地での判断が重要になるかもしれない。この地形図では通れそうな場所も、実際は通れなかった。という案件も出てくるかもしれないからだ。指揮官はあの人で本当に大丈夫なのだろうか?俺は日向を見た。


「各隊の構成は今までと同じだ。今からそれぞれの隊での希望経路を話し合ってもらう。30分後に各隊の隊長が俺に報告しろ。よし、始めろ。」


意外としっかりまとめているじゃないか。俺はその姿に感心する。本当に何様なのだろうか、俺は。自分で思っておいて少し後悔する。


「隊長隊長!ここがエエんちゃう?」


花澤は地形図を指差しながら風間を見た。まるで修学旅行の自由行動の経路を決める高校生のようだ。花澤に制服を着せてもなんら違和感は無いだろう。


…俺は何を考えている?変態なのか?先輩だぞ、彼女は。


風間は顎に手を当てて考え込む。


「いや、俺たちはここを通ってみよう。」


そう言って風間は地形図を指差す。


『ええぇ!?』


俺と花澤の声は揃った。



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