リユウ
自分の部屋に戻るとあの香りがする。俺は壁に寄りかかり、背中を引きずりながら座り込んだ。最後に貰った風間の言葉が俺の頭の中にこだまする。
俺は真実を知ってどうしたいのだろうか。
復讐がしたいのか?それとも姉の意志を継ぎたいのか?それを知ったら俺はここに居る意味はあるのだろうか。頭が破裂しそうだ。自分の弱さに腹が立つ。俺は何のために全てを捨ててここに来たのだろうか。俺は踞り、膝を抱える。
そのまま何分経っただろうか。いきなり部屋の扉にノック音が響く。
「ナツキ、居る?」
「………。」
正直迷ったが、こんな精神状態で人に会いたくない。俺は黙ったまま動かない。
「居らんかあ…。じゃあ独り言、言うわ。」
花澤は扉越しに勝手に話始める。
「…今は焦らんと、しっかり鍛練を積むんや。時が来ればナツキならきっとわかるわ。ハルカちゃんがなんでここに来て戦おうと思ったのか。……きっと、わかると思うわ…。それまでうちがナツキを守るわ。だから……。」
花澤はそう言葉を残して、その場を離れた。風間に何かしら吹き込まれたのだろうか。再び静寂が襲う。ああは言っていたがあの小さな体で俺を守れるとは到底思えない。むしろ俺が花澤を守ることになりそうだ。…しかし今度は花澤の言葉が胸にひっかかる。何故姉が戦おうと思ったのか?
俺とは違い、確かに姉はここに来る理由が無かったはずだ。じゃあ何で姉はここで戦うことを決意したんだ?国のため?お金のため?…いや、姉の事だ。そんなものの為にここに来る程馬鹿じゃない。では何故だ?
…残念ながらいくら考えてもそんなこと俺にはわからない。だって俺は鳥海ハルカではないのだから。
しかし花澤の言葉のおかげで、俺が何をすべきかわかった気がする。答えは至ってシンプルだ。俺は死ねない。このまま真実を知らないうちに死ぬわけにはいかないのだ。今、俺が戦う理由はそれでいい。生き残って生き残って、絶対に知ってやる。その為に、俺は強くならなくてはいけない。
「あざっす、先輩。」
俺は一人で呟いた。




