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この壊れた世界でナニヲオモフ  作者: 政吉
第二章 “痕に残る者”
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ユクエ

ポールは花澤に向かって槍を突き出す。だが花澤はその瞬発力で軽々と避けると、距離を取って走り始めた。


ショットジャベリンは一撃必殺の武器と言っても過言ではない。身体に接触した状態でボタンを押されれば簡単に貫通するだろう。むやみに近付くのは得策ではない。


するとポール追うのを止めて花澤を眺め始めた。何とも言えない悪寒が花澤を襲う。


「Sie sind immer noch schön….」


ポールはそう呟いて武器の構えを解いた。


「何考えてんねん!?気持ち悪いなぁ!」


何を言っているかはわからないが、その雰囲気に気分を害した花澤はポールに向かって走り出した。


…そうだ。このまま戦いを長引かせる訳にはいかないんだ。


花澤の背後では必死に藤代が戦っているのだ。あのままではそう長くは続くまいと察した花澤は危険を承知でポールに攻撃を繰り出す。


「はぁぁぁあ!!」


花澤は小さな身体を生かして素早いラッシュを浴びせる。だがポールは切り傷を負いながらも余裕で耐えて見せた。花澤は3歩後ろに下がって一度息を整える。


幸いポールの動きは速くはない。上手く跳べればそんなに時間をかけずに勝てるかもしれない。


花澤は小さく息を吐いてから再び走り始めると、少ない助走で空に跳び上がった。最小限の高さでポールを飛び越えた花澤は背後からポールに向けてナイフを突き出した。


「…は?ぇっ!?」


だがそこにポールの姿は無かった。見るとポールは3メートル程前方からこちらに向かって走りはじめている。


何が起こったのかわからなかった花澤は一瞬躊躇するが、すぐに気持ちを持ち直してポールの槍を受け止めた。


良く見るとポールが左手で持っていたショットジャベリンはバネが伸びて長くなっている。


いつの間に解放したのだろうか?


花澤はポールの攻撃を往なしながら考えていた。


ガギョン!!


だが次の瞬間、ナイフで受け止めていた右手のショットジャベリンが解放される。


ドシャ…


「うぁ!?………痛っ。」


その結果花澤は地面に倒れてしまう。直接身体に当たった訳でもないのに体が痛む。凄い衝撃だ。


「殺しません。だから、負け、認めてください。」


ポールは花澤に槍を構えながらそう言った。


「…何言ってんねん?敗けを認めたら何も守れないやないか…そんなん一番あかんやろ!!」


花澤はゆっくりと立ち上がるとそう言ってポールを睨み付けた。するとあまりの気迫にポールは一歩後ろに下がった。


「あんたが何をしたのかはようわからん。でもそんなんどうでもええわ。今は急がなあかん。…蜂鳥の本気、見せたるわ。」


花澤はそう言うと目の色を変えた。


「行くで、ポーク。」


そして花澤はポールの名前を間違えながら走り始めた。その走りはいつもより低姿勢だ。地面スレスレに身体を倒しながら迫ってくる。


ガチャン、ガチャン!


ポールはすぐにショットジャベリンを装填し直すと、花澤を迎え撃つ。


「Es ist eine Verschwendung und werden schnell bewegenden!」


ポールは表情を緩めながら右手の槍を突き出した。すると花澤はそれを避けようと身体を捻り始める。


ガギョン!


ポールはそこで再びショットジャベリンのボタンを押した。しかし、それは花澤の頬をかすっただけだった。完全に隙が出来た。花澤はそのままポールの鳩尾みぞおちに向かってナイフを突き出した。


ガギョン!


だがポールは花澤のナイフが届く前に左手のショットジャベリンを地面に突き刺してボタンを押した。ポールの身体はその衝撃で後ろに向かって移動した。


「それがさっきの現象の正体やな!」


花澤は走りながらそう叫んだ。だがポールはその言葉には反応しなかった。


やはりポールにとって花澤は強敵だったのだ。いくら強くなったといえ、AAランクである花澤は格上だ。話しながら勝てる相手で無いことは十分わかっていた。

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