ホウシュウ
「姉さんが持ってる能力は俺のものと同じですよ。別に特別な能力があるわけじゃないっすよ…。」
俺は仕方なしに藤代に説明をする。そうだ、姉さんだけの能力なんて俺は知らない。そんなものは無い筈だ。
「…それは本当に全く同じ能力なんかのぉ?」
藤代は背もたれに体重をかけて後ろのめりになる。まるで尋問する警察官のような態度に俺の体温が少し上がる。
「この能力に違いがあるとは思えませんが…?だって能力をコピーする能力なんですよ?そこに何の差が出るっていうんですか?」
「いや、それは俺にはわからんよ。只そんな気がしただけじゃ、気に触ったなら謝るよ。…おっと、そろそろ第二小隊は特別ミーティングの時間なんじゃ。」
眉間にシワを寄せた俺を見て藤代は表情を緩めた。何故だろうか、味方だと思っていたのにどこかまだ藤代を信用しきる事が出来ない。
俺と姉さんの能力に違いがある訳…
あまり考え過ぎてはいけない…よな。
「なんすかその特別ミーティングって?」
俺は藤代の話に乗って話題を変えた。これ以上無い話を追及しても意味がない。
ガバッ
「うわぁ!?」
その時だった。俺は背後から何者かに抱きつかれて驚きの声をあげた。すぐに首だけ横に向けてそれが誰なのかを確認すると、そこには花澤の顔があった。
「この前の試合の報酬を決めるんやでっ。うちは実家の施設を新しく建て直して貰うの、今の何倍も大きなやつに!」
花澤は嬉しそうにそう言ってピョンピョンと飛び跳ねている。嬉し悲しいことに俺に抱きついたままそれをするものだから、食事したばかりの俺は少し気持ち悪くなってしまった。
「よ、良かったっすねつくし先輩。」
「うんっ!ほな藤代君、一緒に行こっか!」
花澤は俺から離れると、満面の笑みのまま藤代を連れて食堂から去っていった。去り際に藤代は小さく俺に手を振っていた。
気になるな。第二小隊の他のメンバーは一体何を報酬として頼むのだろうか?
…羨ましい。優勝していれば今ごろ全ての真実を知ることが出来たのに。いっそのこと日向に直接聞いてみたらどうだろうか?
いや…それは無理だ。あいつが正直に全てを教えてくれるとは思えない。
今更こんな事を思っても仕方ない。今俺に出来る事を精一杯やるだけだ。俺は食器を片付けると、その足でトレーニングルームへと向かった。




