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この壊れた世界でナニヲオモフ  作者: 政吉
第二章 “痕に残る者”
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セイシュンノ

「あっ!!ナツキ、待って待って!」


扉に手をかけようとしたその時、花澤が俺を呼び止めた。俺は力の無い目で振り返る。


「えっと…中国戦の前にした約束、覚えとる?」


花澤は少し頬を赤らめながらそう言って俺から目線を外す。


…ん?んんん?約束ってなんだ?


俺はシパシパと瞬きをしながら考える。この花澤の言い方から察するに…


ハッ!思い出した。


「…外出日の話っすか?つくし先輩が外に連れてってくれるってやつ。」


俺は焦りを表に出さないように落ち着いて答える。その間約3秒。少し返事に時間がかかってしまった。


「…今忘れとったやろ?…まぁええわ。あんな、うち明日外出日貰ってん。よかったらナツキ、護衛役で一緒に行かへん?」


核心を突かれて内心かなり焦ったが、この際そんなことはどうでもいい。


誘ってもらえた事がめちゃめちゃ嬉しい。


…だがダメだ、待て待て。焦るな、クールに、落ち着いて。



「…明日は別に何もないですし、いいっすよ。」


これでは逆に素っ気なさ過ぎるか?喋りながら少し不安になる。だが花澤はそんな事お構い無しにニコっと笑った。


「ほんまに?よかった。そしたら明日、10時にゲートに集合ね!うちがエスコートしたるわっ!!」


「ふふっ!まぁ、期待してますよ。それじゃあ先に失礼しますね。」


俺はそう言って部屋を出た。


と同時に満面の笑みで小さくガッツポーズをする。花澤と出掛けられることが本気で嬉しい。まるでジェットコースターのように、先程まで最底辺のテンションだったものが、あっという間に最高潮まで一気に昇り上がった。


俺はふと目線を上げる。


そこにはトレーニングの手を止めて俺をジッと見つめる松本と里穂の姿があった。


二人は俺と目が合うと怪しげにニヤっと笑った。


「…あっ…えっと。今日はいい練習になったなぁ……さて、そろそろあがろうかなっ。」


明らかに何かを感じ取っている二人。俺は背伸びをしながらそう言って誤魔化し始めるが…流石に厳しいか…?


「あらまぁ、里穂さん。あれが青春ってやつっすね。」


松本が目を細めながら里穂にそう言うと、里穂も同じような表情で口を開いた。


「戻りたいわねぇ~、青春時代に。私なんて結婚してもう10年よ?羨ましいわ。」


あまり見られたくない人に見つかってしまった。俺は軽く会釈すると、顔を伏せながらその場を足早に去った。


そして廊下に出てふと思い出す。


「…明日の独房の食事係…どうしよう。」


俺はあまりの嬉しさに自分の仕事を忘れていたのだ。


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