魔格闘乙女・瑠美亜
夕方五時、今日もわたしは白猫のミーシャを連れて外を歩く。
この世界を悪い魔女から守るための修行。
魔女の手下になった人を懲らしめて、改心させるために。
わたしには悪い魔女と戦うための力がある。義務がある。
……まだ覚醒してないけどね。
戦うための努力は欠かさない。だから修行を兼ねてパトロールに出かけるんだ。
「ミーシャ、今日は悪い人、いなさそうだね」
「みゃおう」
いないみたいだし今日は帰ろうか、と角を曲がった時だった。
「……!」
数人の女子たちが誰かを囲んでる。
ううん、今蹴っ飛ばした!
どさっ、と倒れこむ被害者(仮)。そこから顔やら体やら殴り蹴る。
集団リンチだ。やっちゃいけない卑怯なこと。
確か、あの服はネイアナ女子学院の制服……
止めなきゃ!悪い魔女に魔法をかけられたんだ。
「ミーシャ!」
みゃん、と鳴いたミーシャとダッシュする。
「そこのあなたたち!その悪事、しかと見たわよ!」
わたしに気付いた魔女の手下たちがこちらを振り向く。
「彗星の女神様に替わって成敗する!その罪の重きを知れ!」
決まった……!
「はあ?あんたなんなの?」
「こいつはあたしたちの処罰対象なの!好きにしていいモノなの!」
ネイアナ女子学院はいわゆるお嬢様校。無駄にプライド高いワガママお嬢様が多いとはいえ……
人をリンチしていいわけないよ!
「この辺の学生なら誰でも知ってるでしょう?わたくしが何者かぐらい」
リーダー格らしき女学生が凄みを持たせて言った。
麻守麗菜だ。親がネイアナ女子学院の関係者で成金の。
「この者は麻守さまに逆らって暴言を吐いたから罰を与えただけ」
「麻守さまほど美しい方に『醜い女』などと……」
それはその子が合ってるよね……ハッキリ言って麻守はかわいいほうじゃない。
無茶苦茶な論理を通すあたりまさに“悪の親玉”。
「みんな、本心じゃないじゃん。それくらいわかるよ?」
「……わたくしを愚弄するのですか?」
「事実だよ。いい加減認めなよ」
「やりなさい。この愚かな女に罰を!」
わっ、と女子が群がってくる。
7、いや8人か。
攻撃を見切りきるには少し辛い。
当たるのは覚悟の上だ。
「キューティー・キック!」
一番近かった女子に蹴りを食らわせる。
「ごふっ!」
痛いだろうな。でもこれも悪事の天罰ということで……
「さて、その子を置いて逃げるなら許してあげるけど?」
当然向こうが逃げるわけもなく……
遠慮も容赦もなく全員(麻守含む)フルボッコにしたのであった。
「なんという強さ……お、覚えてらっしゃい!」
三流悪役のようなセリフを吐きながら麻守は逃げていった。
「魔格闘乙女は無敵っ!」
さ、多分彼女らの悪い魔法も解けただろうし、お家に帰ろう。
「ミーシャ、鰹節とミルク、どっちがいい?」
「にゃあ」
なんか黒歴史と化す気しかしません。




