Episode 8
主人公たちの時間軸だと、魔帝会議から3日後の話です。
昨日は体調を崩していて、更新できませんでした。すみません。
今日から、クワヨギシンでの任務だ。これは私の失態のせいかもしれない。何が起きているのかちゃんと調べないと。
いつ見ても荘厳な王宮だ。小さい頃からこの王宮に毎日通って王妃様のお部屋で何度も王妃教育を受けたなぁ。
王宮の入ってすぐのところにある騎士たちの練武場につくとすでにルークは到着していた。今回の調査はフォストリング王国の騎士たちと合同で調査を行うから、少し気まずい。
「トスカーナ侯爵令嬢。おはようございます。」
「ルーク皇太子殿下、おはようございます。」
ここは公式の場なのでお互いに呼び方を変える。しかも、周りには私の元婚約者のフランヴァート王太子殿下側の騎士たちもいる。ここで安易に愛称で呼んでしまうと、私が婚約中にルークと浮気していたと主張される可能性もある。が、以前は任務で騎士たちと一緒になったときは学園の人たちと同じようにルークや他の指輪の所持者が一緒でもお構い無しに「無能」や「何もできないくせに」と面と言ってきていたのに、今日はそんな様子が一つもない。私としては嫌な気持ちをせずに済んでいるからいいんだけど。
「それでは皆さん集まったようですし、クワヨギシンの行きましょう。ではトスカーナ侯爵令嬢、お願いします。」
ここ、王都からクワヨギシンの森まで通常の馬車なら10日以上かかるのだが、今回の場合は私がいる。ここにある人や物を結界魔法で包んで、転移魔法でクワヨギシンの森の座標へと一気に移動させる!
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雰囲気が先ほどとはガラリと変わり、暗くなった。森の木々は雑然と生えており、土地としては荒れている。やはり、魔物が湧くため魔素が大量に集まっているのだろう。空気が重くなるのを感じる。
「本当に王妃様のおっしゃったことは正しかったのか?」
「そんなにすごいとは思えないが、、、」
と騎士たちがざわざわしている。私が王宮に出向いていなかった10日間に私のことで何かあったのかしら。
少し歩くと、以前小川が流れていた場所も今では干からびてしまっている。
「フォストリング王国の騎士たちはここに野営用の天幕を張っておいてくれ。そして、トスカーナ侯爵令嬢、少しお話があるのだが少々よろしいか。」
「はい」
すると、今回の騎士代表であるインフィルビが手を上げて
「その話に騎士団員の一人を同行させてもよろしいでしょうか。」
「なぜそんなことをする必要がある?」
とルークは眉をひそめた。
「恐れながら、こちら側としては我が国のフランヴァート王太子殿下と仮にも1週間ほど前まで婚約されていた、トスカーナ侯爵令嬢と、隣国の帝国の皇太子さまであるあなたさまを二人にすると、我が国の情報を漏らされる危険があります。そのため、一人の騎士をつけさせていただきたいのですが、、、」
インフィルビの顔がどんどん沈んでいく。
インフィルビの気持ちもわからなくもない。王国と帝国は今でこそ表面上はいい関係を保っているが、フォストリング王国よりもアズール帝国の方が圧倒的に国土面積や経済力も大きい。そんな隣国の皇太子と自国の王太子の婚約者を二人にしておいては国を守るべき騎士として失格だ。そんなことを皇太子で光の指輪の所持者であるルークに恐れもなく言えるインフィルビは優秀な騎士ね。
ルークはインフィルビの表情を見てそれを受け取ったのか、
「あぁ、そのことを失念していたよ。一人つけるのは構わないが、今までに非公式な場での会話を聞いたことのある人物にしてくれ。」
「承知しました。では、クイラーテをつけさせます。クイラーテ!」
「はい」
かっこいい。同じ女性のはずだが、男性と言われてもわからないような中性的で背が高い。ブロンドの髪を高いところで結っているから、かろうじて女性とわかったが。こんな人が学園にいたら、女性にモテていただろうなぁ。
「じゃあ、ちょっと離れたところで話そうか。」
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10分ほど歩いたところで、ルークは立ち止まった。少し歩いただけなのにもう先程騎士たちがいた場所はもう見えない。それほどまでにこの森は荒れているのだ。
「ここまで来たら聞こえないかな。じゃあ、ラファ。君は魔帝会議のときに結界のことについては何も言っていなかったよね。」
「ごめんなさい。」
するとルークは慌てて、
「いや、怒っているわけじゃないんだけど、ラファは自分の張った結界に異常を何かあったときに、ラファエレラ自身が異常を感知できるようになっているよね。」
「うん。」
「じゃあ、やっぱり今回はラファの結界が悪かったわけじゃない。断言できる。」
ルークの目には強い光が宿っていた。
なんで、、、
「なんでって顔してるね。指輪の所持者のみんなもラファの結界が悪かったって思っていないよ。」
どういうこと?この異常事態は私の張った結界魔法がおかしいとしか思えないのに、、、
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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