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Episode 7

ラ・ル・ア「転移魔法(テレポート)!」


 ◇ ◇ ◇


 よかった。今回は無事に自分の部屋に転移できた。この間、転移の座標を間違えてトロイアの部屋に入っちゃたんだよね。そのときはトロイアがいなくて良かったけど。


 そういえば、なんだかんだずっと話してたから日が沈んじゃってる。後ろを振り返るとちょうどマリが部屋に入ってきた。


 「おかえりなさいませ。お嬢様。」

 「ただいま。」


流石に今日はかしこまってるのね。昨日のあれが異常だったってだけなんだけど。私になにかあったら、毎回ああなるのよね。いい加減慣れてほしい、と思うところもあるけど。


 「お疲れのところ申し訳ないのですが、旦那様が夕食を一緒に取るとのことなんですが、、、」


 お父さまから夕食の誘いをするって珍しいわね。お義母さまとトロイアと顔を合わせたくなくて、いつも部屋で食べているのよね。


 「わかった。いつからなの?」

 「それが、あと30分ぐらいしかないのです。」

 「えっ」

 「なので、、、」


とマリは大急ぎで私の支度の準備を始めた。始まるまで30分しかないため、丁寧な下準備などはいつもよりは割と雑になっていた。普段なら、自室で大人しくマリといっしょに夕食を取っているからこそ、マリもこのことは予想外だったのだろう。やはりお父さまは王太子妃でもない無属性の私は不必要と考えてるのかしら、、、


 鬱屈な気持ちで向かうと、すでにお父さまとお義母さまとトロイアと義弟であるアルパスは座っていた。そういえば、学園ももう終業式が終わったのか。久しぶりにアルパスに会った。そもそも、お義母さまが私とアルパスが会わないように調整してるんだけどね。


 「相変わらず、礼儀がなっていないのね。最後に来るなんて自分が主役とでも思っているのかしら。」


お義母さまの言葉はいつも通り私の心にチクチクと刺さる。私が少しだけ落ち込む顔を見せようものなら、


 「お母さま、仕方ないですよ。王太子殿下に婚約破棄されるような人が礼儀がなっているわけありませんわ。」


とクスクスと笑ってくる。この扱いが長いから慣れているけど、つらいものはつらい。改めて、指輪の所持者の存在が私にとって大きいことを実感する。そして、指輪の所持者からの扱いは普通ではなく、大切でありがたいことなんだと思う。


 「遅れてしまい、申し訳ありません。何分会議が遅くまで長引いたもので、、、」

 「構わん。とりあえずラファエラも座れ。」

 相変わらず、冷たい言い方だわ。この家に私の居場所はないんだと感じてしまう。実際そうなんだろうけど、それでもやっぱり希望を捨てきれない。

 「はい。」

 「そして、トロイア、エラ、アルパスがいる前でラファエラを貶すような言葉はやめろ。変な言葉をアルパスに覚えさせるな。」

 「は〜い」

 「申し訳ありません。旦那様。」


すごく息が詰まる。食卓を家族みんなで囲っているが、私だけ疎外されているような感覚になる。お父さまは何も話さないし、後は血がつながった人たちで話している。本当にお父さまはなんで食事を誘ったのかしら。


 「ラファエラ、今日の会議で何か進展はあったか?」

 「はい。この度、フォストリング王国の西に位置している禁止区域の森であるクワヨギシン付近で魔物の異常発生と異常な強さがあったそうです。シェルタプリモ学園の卒業式の日にクワヨギシンに任務へと向かったアレスタ王子殿下とルーク皇太子殿下が異常を確認し、火帝であるフューズ様に確認をしたところ、確かに魔物の数が増えていたとのことです。」


 怖い。やっぱりずっと睨まれている。気丈に振る舞ってるけど、どうしても声が震えてしまう。


 「やはりか。今日の王宮で同じ報告を受けた。が、詳しい調査はまだ終わっていないと聞いた。詳しい調査をいつ行うか誰かおっしゃっていたか?」

お父さまといえど、指輪の所持者たちを怪訝に扱うことはしないらしい。実の娘で同じく指輪の所持者である私にはあんな態度なのに。

 「聖・闇・火・水の魔帝の方たちはすでに担当区域が、アレスタ王子殿下は学園があるため、私とルーク皇太子殿下が調査を行うことになりました。」

 「そうか。」


 なにか応答を間違えたかな。黙り込んじゃった。うわっ、トロイアに睨まれてる。それもそうか。ルークは学園一のモテる人だったし、女子生徒なら誰でもお近づきになりたい存在だもの。ってことは、トロイアもルークのことが好きなのかな。色んな人にモテるって大変そうだなぁ。


 「あのぅ、リキッド様。ラファエラの婚約破棄に関する処分はどうなるんでしょうか。」


お義母さまはお父さまにそう訪ねた。さっさと私を追い出したいという魂胆が丸見えだ。でも、私もどうなるのか気になる。悪ければ、家から勘当されてもしょうがないことだもの。指輪の所持者だから、危害が加わるような罰ではないと信じたい。とお父さまは重い口を開いた。


 「ラファエラの今回の任務が終わってからだ。まだ、何かあるかもしれん。」


 お父さまのその言葉を聞いて、お義母さまとトロイアは心底悔しそうな顔をしていたので、少しだけ胸がすいた。だけど、、、


 お父さまは私が指輪の所持者だから、使い道があるって思われているようね。やっぱりお父さまは私のことを政治の()()としか見ていないんだわ、、、

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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