Episode 6
セ「それなら、ルークのアズール帝国に行けばいいのでは?」
ル「たしかに。アズール帝国は無属性だからって見下すような人はいない。むしろ、国としては魔法を使える人が増えるからって、大歓迎すると思うよ。その、、、俺も来てくれたら嬉しいし。」
最後の方にルークが何を言っているのかわからなかったけど。
リ「あら、いいじゃない!ルークなら何をおいてもラファのことを守ってくれそうだし。」
フ「俺もそう思う。だってお前、変なとこ優しいから王子にまたなにかされても自分から話さないだろ。ルークが一緒ならそんなことが起こる心配もないしな。」
リ「珍しく気が合うじゃない。」
フ「うるせぇ!」
ア「僕は少し寂しいですけどね。そばに尊敬できる人がいるのといないのではだいぶ変わってきますし。」
フランヴァート王太子殿下のことは尊敬してないんだ。
ラ「う〜ん。」
ルークとは仲がいいけど、ルークはアズール帝国の皇太子だ。そして、いまだ婚約者がいない。こんな容姿よし、魔法技術よし、身分よし、学力よしの完璧人間になんで婚約者がいないんだろうって不思議なくらい。
だからこそ学園の女子生徒に婚約者の地位を虎視眈々と狙われ、黄色い声援と告白が跡を絶たなかった。そんな婚約者のいないルークと一緒にアズール帝国に行くということは、私はルークの婚約者になると他の人からみなされてもおかしくない。
私は1週間前にフランヴァート王太子殿下に婚約破棄されたばかりだ。婚約破棄後にすぐにルーク皇太子殿下に乗り換えたと言われることは目に見えている。そしたら、ルークまでも悪く言われてしまうんじゃないか。
ラ「ありがたいけど、、、遠慮しておくわ。家から追い出されると決まったわけじゃないし、私も18歳で成人してるから、そろそろ担当区域を任せられるでしょう。王太子妃じゃなくなったしね。だから、ずっと王国にいるわけじゃないから大丈夫!」
みんなが心配そうな顔で私を見ている。もう子供じゃないんだけど、なんでこんな不安がられてるんだろう。
ル「ラファがそれでいいならいいけど、、、」
ア「大丈夫ですよ。ルークさん。もし王国を出て担当区域に行くってなっても、王国に滞在するってなっても、ラファお姉さまの安全は僕が確保しますから!なんなら僕が個人で所有している領地があるので、そこに来ますか?」
ルークの顔が引きっつている。
ル「お前、俺の気持ちを知ったうえでそれを言っているのか?」
ア「いいえ〜。」
アレスタはずっとにやにやしている。どちらも大国の王子で血はつながっていないけど、本当の兄弟みたいで微笑ましい光景だなぁ。
ア「どうします?ラファお姉さま。」
ラ「ううん。遠慮しておくよ。まだどうなるかわかってないしね。」
ア「そうですか〜」
ちょっとだけアレスタはすねた顔をしていた。
セ「では、せめてこの魔道具だけは持っておいてください。」
とセインは亜空間に収納していた指輪を取り出し、私の右手の小指にはめた。
ラ「これは?」
セ「あなたの身に危険が差し迫ったときに、指輪の持ち主。つまり、ここにいるみんなの指輪が光るように設計された魔道具です。このままではみんなあなたが心配で任務に身が入りませんしね。」
年に数回しか合わないのに、実の家族より私の心配をしてくれるんだと思うと心の奥になにかくるものがあって私は泣いてしまった。
ラ「心配してくれてありがとうございます。」
リ「当たり前でしょ。あなたは私の妹のような存在なんだし。最初の会議のときにも言ったでしょ。わたしたちはお互いに家族のような存在なのよ。」
周りを見るとみんなおんなじ思いだと言うのが伝わってくる。
家や学園ではいないもの扱いや邪魔者扱いされてきた私を指輪の所持者であるみんなは家族だと私の存在ごと認めてくれて、、、
「みんな、ありがとう」
その後しばらく私は泣いてしまっていた。
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ラ「すみません。みっともない姿を見せてしまって。」
セ「いいのよ。あなたは顔に感情を出さないから。このくらいがちょうどいいのよ。」
リ「よかった。ラファがいろいろ溜め込んでたの、朝イチから気づいてたんだから。自分からは何も言ってくれなかったけどね。」
フ「ほんと、ほんと。まぁ、元気取り戻したみたいでよかったじゃねーか。」
本当にみんなは優しいな。年に数回しか会えないのがもったいないくらい。
ア「そろそろ、夕刻ですね。」
セ「じゃあ、会議で話したように各地それぞれ魔物の動きが活発になるかもしれないので、油断しないように。そして、ラファエラ、ルーククワヨギシンで何が起きているのか調査をよろしくね。結果は伝達魔法で全員に報告をお願いね」
ラ・ル「はい!」
セ「じゃあ、また1年後に無事に会えるように頑張りましょう。私は一足先に行きますね。転移魔法」
ノ「ん。再見。転移魔法」
フ「じゃあ、またな!ラファとルークはまた会うかもだけどな。転移魔法」
リ「ラファと離れたくな〜い!」
リヴィエラがまた抱きついてきた。ふふ、リヴィエラの方が歳上だけどなんだか妹みたいだ。
ラ「私もだけど、私もリヴィエラもやらなくちゃいけない任務があるでしょう。」
リ「うーっ。わかった。もうっ、アレスタとルークが羨ましいっ!」
ア「でも、僕もこれからはあんまり会えませんよ。ラファお姉さまは学園を卒業しちゃいましたしね。」
リ「そっか〜。ってヤバっ。そろそろ本当に行かなくちゃ。じゃあ、またね!絶対絶対次も生きて会おうね!転移魔法」
ル「じゃあ、俺達もそろそろ行きましょうか。」
ア「一緒に転移しましょうよ」
ラ「いいよ。」
ア「じゃあ、行くよー。せーのっ」
ラ・ル・ア「転移魔法!」
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