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Episode 5

 あぁ。やっぱり私は”無能”なの...?なんとかしたい、と心からそう思っているのに、何も思い浮かばない。せっかく、身につけたものも、いざとなっては使えない。


 「私に罰を。今回の件で大勢の人に迷惑をかけてしまいました。」


 自己嫌悪が止まらない。思考がずっとぐるぐると巡っている。こんなので許されるはずはない。だけど、どうすればいいか、なんて私にはわからなかった。そんな中、誰かが背中を撫でてくれた。


ル「ラファエラ、大丈夫だよ。」


 頭上から降ってきたルークの声には不思議と私を落ち着かせてくれた。顔を見ても、穏やかで私の心までを凪いでくれる。


 そして、ルークの言葉を皮切りに


ア「ラファお姉さまの失態だとみんな思っていません!たとえ、結界から魔物たちが漏れ出したのだとしたら、絶対に別の理由があるはずです!お姉さまの結界は絶対に壊れないってみんな知っています!」


 周りと見るとみんな私を信じてくれている。温かな気持ちになるけど、


ラ「それでも、私の失態に変わりありません。どうか、私に罰を。」


 ここで罰を受けなければ、私の中で繋ぎ止めていたものが切れてしまいそうだった。


 頭を下げる。周りの反応を見るのが怖かった。信じていないわけじゃない、けど、みんなも私のことを”無能”だと思うのかもと思うと、とても見ることはできない。


ル「結界に綻びが生まれてるのか、なんでこんなに魔物が溢れ出したのか、調査がまだ終わってないんだよなぁ。アレスタは学園があるし、俺一人だと調査しきれないなぁ。誰かいないかなぁ。」


 ルークは意地の悪い笑顔を浮かべた。


セ「困りましたねぇ。私もノクスもリヴィエラも担当区域に異変がないか調査しなくてはならないですし」


と言いながらセインは私の方をちらりと見た。


フ「じゃあ、俺が...モコ゚ッ」

リ「あんたちょっと黙っときなさい!(小声)」


 みんなの優しさがヒシヒシと伝わってくる。そのせいか、自然と口角が緩む。今度こそ、絶対に失敗しない!


ラ「わかりました。ルークとクワヨギシンで何が起きているのか調査に行きます!挽回の機会を下さり、ありがとうございます。」


みんなの、国民の命がかかっているんだ。たとえ王太子妃でなくなったとしても、国民を守るのは貴族の務め。しかも、私は指輪の所持者だ。どれだけ他人に軽んじられようとも、私は私の役目を最後まで全うする!

ラ「必ずや、今回の魔物の異常発生と異常な強さの原因を突き止めてみせます!」


ル「そう肩をはらなくてもいいのに、、」

小声だったせいで、ルークが何を言っているのかいまいちよくわからなかった。


ラ「ルーク、なにか言った?」

ル「いや、大したことではない」

とそっぽを向いてしまった。こういうとき、ルークは絶対に教えてくれないから、素直に食い下がる。


セ「では、その他に各地で変わったことはありませんでしたか?」

フ「ないね」

リ「ありませんでした」

ノ「同じく」


よかった。その他で張った結界に異常はなかったみたいね。私は各地にいくつかの結界を張っている。魔素が溜まるところには魔物が大量発生するのだ。それを抑えるための一時的な結界。その中にいる魔物は指輪の所持者(みんな)が定期的に狩ってくれている。そういうことも、指輪の所持者が尊敬されている一つでもある。


セ「では、会議を終了します。」


といっても、みんなすぐに担当区域に戻らず、各々夜まで雑談するのがこの魔帝会議の慣例。


ア「さぁ、ラファエラお姉さま。卒業パーティーで何があったのか、洗いざらい話してください!」


まぁすごい剣幕で問い詰めてくる。私の肩をつかんで、私を揺さぶるから、首がぐわんぐわんしてしまう。というか、同じ王族なのにまだアレスタには伝わってないんだ。様子からして、帰ってきてすぐに着替えてここに来たんだろうけど。


リ「ラファ、なにかあったの?!」

アレスタの声を聞いて、セインと話していたリヴィエラは私の方へ来る。

ア「また、僕のお兄様関連でなにかあったみたいです!」

うっ、余計なことを言って。

リ「あんのぉクソ野郎め。一度懲らしめないとわからないのかしら。私の大事なラファを悲しめやがって」


リヴィエラは手に拳を作り、今にでも私の元婚約者のところに殴りかかりに行きそうだ。


ラ「二人とも大丈夫よ。別に悲しんでないから。」


本心だ。フランヴァート王太子殿下に恋心などもとからないし、あんな扱いにはもう慣れたから。確かに渡しは”無能”なのかもしれないし...


ラ「まぁ、フランヴァート王太子殿下に婚約破棄されちゃったけどね。」


 みんなそれぞれ話していたのに、こっそり聞き耳を立てていたのか、場が凍りついてしまった。そして、みんなの顔がどんどん怒りの感情になっていくのが目に見えてわかった。


リ「殺してやる」

ア「お兄様を見損ないました!ラファお姉さま以外に王太子妃に務まる人なんていないのに!」

セ「あら、そうなのね。じゃあ、王国に用はありませんし、王城を破壊してしまいましょう。あの人たちはラファに生かされていたということを自覚してないでしょうし。ノクスも手伝いなさい。」

ノ「承知」


みんな真顔で言ってることがやばい。セインなんて笑顔で一番やっちゃいけないこと言ってるし。


フ「みんな落ち着けよ〜。ラファが困ってるじゃん。」

フューズ、ナイスフォロー。とフューズに心の中でグッドを送った。鈍感だから気づいていないだろうけど。


ラ「そうよ、みんな。そこまで怒らなくても私は大丈夫だから。」

リ「でも!調査の任務が終わったら、その後ラファはどうするのよ。」


そう、みんなは私の家の事情とか学園とかでの出来事をすべて知っている。(主にアレスタとルークがなぜか以前までの3回の会議の後ですべてみんなに共有してしまっている。)


セ「それなら、ルークのアズール帝国に行けばいいのでは?」

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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