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Episode 45

 「ねぇ、ラファ。今週末の祝日さ、どっちか空いてる?」


 ルークと庭園を手を繋いで歩いていると、唐突にこんな質問が飛んでくる。告白して、ルークと婚約することになったけど、さっきまでの自分の大胆さを思い出しただけでも、恥ずかしい///そのせいで、まともにルークの顔を見れなくて、目でちょうちょを追いかけていたのに〜。ずっと蝶を見ているわけにもいかず、


 「あ、あいてるよ。ど、どうして?」


 とルークの方に顔を向けたはずだった。が、不意にルークのその素敵な瞳と目が合ってしまった。どんどん緊張が高まちゃって、まともに呂律が回ってない!いろんな恥ずかしいことが重なりすぎて、もう頭の中がショートしちゃいそう...。繋いでいる手は絶対に手汗でびしょびしょだし!


 「あははっ。ラファ。顔、真っ赤。いちごみたい。」


 少しだけ遠くにあったルークの顔はさっきよりも近くにいた。ルークは私のその髪をすくい、キスを落とす。


 「っ___!」


 もう、声にならない声が出てしまう。なんか、ルーク、告白してからどんどん大胆になってきてない?!こんなんで私、これから先、もつのかな...


 「ラファ、かわいいね。」


 この顔、絶対私の反応を見て楽しんでる...ちょっと悔しい。でも、ここで反応しても結局楽しまれるだけ。そう思って、ルークから目を逸らす。ルークはそのまま話を続けた。


 「で、そうそう。前にも伝えたと思うけど、俺、もうそろそろで帝国に帰らないといけないんだよね。だからさ、ラファのお父様に婚約と帝国に連れて行く許可を貰おうと思って。」


 あっ、そっか。告白でいっぱいいっぱいだったけど、ルークの留学期間が終わるのか。確か、来週の頭にはルーク、帝国に戻っちゃうのか。


 「って、え?!私のお父様に会うの?!しかも、私帝国に行く準備なんてなんにもしてないんだけど!」


 待って、待って。そもそも、お父様に許可をもらえるかどうかも怪しい上、帝国に行く準備3日程度しかないってこと?!今日の私、全然頭が回ってない。ルークの言葉が私の脳に届くまで、何秒かかってるのよ...急展開すぎて、いろいろ追いつけないんだけど!私は、あっけらかんとしてルークの顔をまじまじと見る。彼は一瞬きょとんとしたけど、何か納得した様子で話し始める。


 「大丈夫、大丈夫。ラファさ、自由に結婚できる権利もらったんでしょ?だったら、ラファのお父さんに結婚の許可がなくても、婚約できるでしょ。あと、帝国に行く準備なんて、一緒についてくる侍女と帝国につくまでに必要なものさえ準備してくれたらいいから。」


 そんなものなの?そういえば、フランヴァート王子殿下の件で結婚選択の自由をもらったんだった。ある意味、フランヴァート王子殿下に感謝ね。あと、連れて行く侍女はマリ一択ね。彼女が行きたくないんだったら、強制するわけにも行かないけど。


 「うん。」


”婚約”という言葉を聞いて、自然と顔がほころぶ。ルークのことは最初は友達だと思っていた。だけど、いつからか、それだけじゃない感情も感じていた。自分でもわかっていた。だけど、無理やり私の心に蓋をして気づかないふりをしていた。だけど...


 周りからの後押しや、何よりルークからの告白が何よりうれしかった。私を心配してくれること、他よりも私を大事にしてくれること。私は人生を諦めかけていたのに、それを繋ぎ止めてくれた。それを実感していた。


 ルークと幸せを分かち合っていた。そのときだった。どこからか、鋭い視線が私を射抜く。その視線は私の背筋を凍らせた。気持ち悪いわけでも、痛いわけでもないのに、生命の危機を感じたときと同じ感触を感じる。すぐに振り返ったけれど、そこには誰もいない。周りを見渡してみるけれど、陰に人が隠れている感じもない。


 「ラファ?どうかしたの?」


ルークは一切気づいていないらしい。というか、あの視線を感じていなかったらしい。私の勘違い?それとも...


 「ううん。なんでもない。」


ルークにはそう誤魔化したけれど、心のなかでは感じる必要のないはずの恐怖と焦りに駆られていた。今はただ、この幸せに溺れていたかった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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