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Episode 44

恋愛部分を上手く書けているか、わかりませんが、精一杯頑張って書いたので、ぜひ読んでください!

 マリの話に居ても立っても居られなくなってしまったのか、考えるよりも先に体が動いて、気づけばこの間ルークと会った、王宮の庭園にいた。周りを見るも、誰もいない。と、そこに遠くから女の人の声がした。私の直感がそこに行けと囁く。


 「ルーク様ぁ。この間のお話、考えてくださいましたぁ?」


顔は見えないけど、この独特の甲高い声は...アグネス様だ!マリの話は本当だったのね。私の胸がチクリと痛む。その正体はわからないけど、私がルークに伝えないといけない言葉がある。確信はまだ持てないけど、ここで伝えないときっと将来後悔する。あと、ルークに会えば、そのふわふわした感情に確信を得られると思った。気づけば、ルークに向かって走り出していた。ようやく、顔が見えた!


 「ルーク!!」

 「ラファ?!なんで...」


 様子を見ていると、どうだ。アグネス嬢がルークの腕を組んでいるではないか。しかも、アグネス嬢のその大きな胸を腕に押し付けて。アグネス嬢の瞳は以前、フランヴァート王子殿下に見惚れていたときと一緒だ。一方でルークの表情といえば、いつものきれいな笑顔ではなく、露骨に顔が歪んでいる。それを見て、今まで抱えていた迷いがスーッと消えていく。私はルークのあの温かな笑顔が好きだ、と。


 「ルーク、この間の返事をしてもいい?」


 ここにアグネス嬢がいるのはわかっているのに、なぜあの時、私がルークを敬称で呼ばなかったのか、わからない。しかし、これが仇になってしまう。


 「まぁ、侯爵令嬢たるもの、帝国のしかも皇太子に敬称をつけずに、呼んでいるのですか!?全く、礼儀がなっていないですねぇ〜。」


 なんで、アグネス嬢はいちいち私に突っかかってくるんだろう。しかも、この人に説かれる礼儀なんてないんだけど?!しかも、今も(許可あるかわからないけど)ルークに腕を組んでいる人が何を言っているの!腕を組んでいいのは配偶者か婚約者だけって知っているはずでしょ!ルークの方をチラリと見ると、明らかに怒っている。さっさとこの場から逃げ出したいけど、そうにもいかない。案の定


 「おい。礼儀がなっていないのはあなたの方では?」


 いつもより、低く冷たい声。言葉に魔力を乗せているから、魔力量が多いとはいえ、ただの常人であるアグネス嬢は威圧に押されてしまっている。しかし、その手はルークの腕から離そうとすることなく、逆に抗っている。そう、ルークは凄むととても怖い。特に、本気で怒っているときは。そのことは自身も自覚しているようで普段はそんな事にならないように、自己の感情制御を徹底しているらしいが、今回に関しては相当ルークにとって苦痛だったらしい。いよいよほとぼり尽きたのか、ルークは呆れ、こちらに話しかける。


 「じゃあ、移動しよう。ブランホリー公爵令嬢、腕を離してくださいますか?これから、ラファと話してくるので。」


と掴まれていた腕をさっと振り切る。ルークの腕にしがみついていた、アグネス嬢は床にドサッと落ちてしまう。私に話しかけるときはいつものように優しい声だった。でも、アグネス嬢に話すときはさきほど同様、言葉に魔力を乗せて、アグネス嬢を威嚇する。同じ指輪の所持者である私には効かないはずなんだけど、私までルークに気圧されている。なんとか、ルークに気づかれないように気丈に振る舞っているけど。


 ◇ ◇ ◇


 ルークが前をスタスタ歩くので、私はそれについていくしかなかった。ルークの顔が見えないからどういう感情科、全くわからない。一度”好き”と言われていても、不安になってしまう。ルークの足が止まる。


 「つい、数日前もここで話したよね。」


先に口を開いたのはルークだった。しかし、こちらの方を見てくれず、遠くの風景を眺めているようだった。私がルークに告白をしていいのか、心に何かがつっかかる。何を返事するのが正解かもわからず、


 「うん。」

と返すことしかできなかった

 どうしよう。勢いで来ちゃったから、まず何から言えばいいかわからない...”好き”という気持ちを伝えたいけど、言葉を発しようとするとどうしても詰まってしまう。ためらっていると、ルークから


 「ラファ、今俺のこと、どう思ってる?」


 やっと、私の方を見てくれたルークの瞳の奥には悲しい色が混じっている。その目を見ると私も悲しくなって、こらえきれなくなる。


 「す...き...」


私は精一杯の声を出したつもりだったけど、この声はルークに聞こえていなかったらしい。ルークからの反応が返ってこない。思いっきり息を吸い込んで、ルークに絶対に伝わってほしい。


 「私はルークのことが好きなの!」


恥ずかしさで顔が爆発して、死んでしまいそうだ。ルークの表情を見るのが怖くて、反射的に目をつぶってしまう。そして、次に来た感覚は誰かに、温かい腕に抱きつかれた。そっと瞳を開けると、すぐそこにルークの顔がある。恥ずかしくて、まじまじと顔を見ることすらできない...。


 「ほんと...?」


 耳元でくぐもった私の好きなルークの声が聞こえる。それだけでもドキドキするけど、ルークに私の気持ちを信じてほしくて、


 「うん。好きだよ。」

恥ずかしくて、この場から逃げ出してしまいたい。そのせいで、どんどん声が小さくなってしまう。

 「俺も、ラファのことが好きだよ。愛してる。」


 ルークの”愛してる”の言葉で恥ずかしい感情がどんどん膨らんでいく。でも、それと同時に嬉しさも込み上げてくる。もう、何をしたらいいかわからず、硬直してしまう。


 「ねぇ、俺の婚約者になってくれる?」


 ルークのこの問いかけに迷いなど一切生じなかった。私が選ぶ選択は一択だけ。恥ずかしい気持ちなどすっ飛んで、嬉しさいっぱいだった。


 「はい!」


 その時、初めて自分を誤魔化さずに、心の奥底から笑えた。ルークと一緒に幸せの絶頂にいた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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