Episode 41
夜ごろ、もう1話投稿する予定です。
「でも、あなたが無事で本当によかった。」
あのいつも冷静沈着で何事にも臨機応変に対応するセインでも、肝を冷やしたのだろうか。そう思うと、不謹慎だけど喜びが胸いっぱいに広がっていく。
「ルークがすぐに来てくれたから、大丈夫でしたよ。ただ、パニックになっちゃったせいでこんな状態になってしまいましたけど。」
そう。普通だったら、フランヴァート王子殿下には負けないのだ。魔法には上位属性というものが存在する。フランヴァート王子殿下の光属性だって、上位属性だ。だけど、それで勝負が決まるかと言ったらそうではない。だって、無属性は上位属性に勝てないということはないのだから。少なくとも、一般人では指輪の所持者である私たちに勝てない。魔力量が無限にあるのもそうだけど、それ以上に魂が魔法を学ぶことを最大の欲求としているらしい。そう学園で学んだけれど、セインやリヴィエラいわく、それだけではないそうだ。
自分の周りにすぐ結界を張ればよかったのだけど、私は不測の事態に臨機応変に対応できない。周りに人がいるってなったら、しっかりしないとっていう意識でそんなことにはならないけど、一人だったらパニックを起こして、誤った選択をしてしまう。今回の場合は、匂い(?)による眠気もあったから、余計にだったんだけど。
手首や口元には縛られた跡がついてしまっている。傷跡には残らないだろうけど、まだ少し、ズキズキと痛む。恐怖で抜けていた力は少しずつ戻ってきている。フランヴァート王子殿下の目的は私を殺すことじゃなくて、既成事実を作ること。怪我が少なくて、済んでよかった。傷跡でも残そうものなら、会うたびに皆心配してくるだろうし。延々と恨みを言ってそう。
「そういえば、フランヴァート王太子殿下はどうなったんですか?」
"フランヴァート王太子殿下"という言葉でこの場の空気が凍った。もしかして、私が気を失っている間に何かあったの?こんな空気ので声を出すのにも、抵抗がある中、リヴィエラが
「あの馬鹿王子め。どれだけラファのことを傷つけたら、気が済むのよ!今日はアレ君の顔に免じて何もしないであげたけど、次会ったら、容赦しないんだから!!」
あはは。リヴィエラが私以上に怒ってるから、逆に冷静でいられるんだよなぁ。急に叫ぶところとかはマリにすごく似てるんだよな。みんな、ただ怒っているだけ?フランヴァート王子殿下が余計なことをしなくてよかった。
アレスタがいるから大丈夫だろうけど、指輪の所持者に喧嘩を売ったら、外交では孤立し、市民からの支持がだだ下りになってしまう。この世界で指輪の所持者は神のごとく扱われる。女神信仰もあるが、そういうところでも、指輪の所持者は女神の代理人だとして、崇め奉られる。フランヴァート王子殿下が王位を継ぐわけじゃないから、そんな大きな問題になるっていうことはないだろうけど、次の後継者の人が困ってしまうからね。
そういえば、今話に出たけど、アレスタだけここにいないわ。どこに行ったんだろう?ここにはいないみたいだけど。指輪の所持者たちがここに来れるんだったら、アレスタもここにいてもおかしくないはずなのに。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
少しでも気に入っていただければいいねと評価欄から評価とブックマークをお願いします。




