Episode 40
「……ァ!ラファ!」
ううん...誰かが私の名前を呼んでる...
そうだ!フランヴァート王子殿下は?!頭の霞が一気に霧散し、自分がしなければならない行動を取ろうとする。目を開けると私の顔を覗き込む人がいる。ルークだ。
「良かった...やっと起きた...」
ルークは目を強く閉じて、私の手を握る。ルークの瞳の端が少しだけ濡れている。ルークの顔には涙を流した跡らしきものも見える。ルークにはとても心配かけちゃったな。起き上がろうとするけど、力が入らない。さっきの恐怖でまだ体が震えているらしい。指先が震えているのがよくわかる。
「ルーク、いろいろありがとう。」
ルークがあのタイミングで来なかったら、今頃私はどうなっていだろう。想像したくもないが。
「当然だよ!」
ルークはつぶっていた瞳を開けて私の方へ向く。
「好きな人に何かあったら、って思うと気が気じゃないよ。本当に無事でよかった...」
「っ____」
ルークの優しさに思わず、キュンとしてしまう。何かを言いたいけど、自分が何を言おうとしているのか、上手くまとまらなくて、そのままスルーしてしまう。
「皆もラファのことが心配でここに来てるんだ。うるさくなりそうだったから、別室に移動してもらってるけど...」
みんなって誰のことだろう?私のことを心配してくれる人なんてほとんどいないのに。
◇ ◇ ◇
あれっ、なんでここに指輪の所持者がいるの?みんな、私の部屋に入ってきた瞬間、今までの肩の力が抜けたのか、肩から息を吐いているように見えた。リヴィエラに至っては、扉からベッドまでわりと距離があるはずなのに、一瞬でここまで移動してきて、私に抱きついてくる。
「もうっ、指輪が光ったから、ラファに何か悪いことがあったんじゃないかって、思って...ここに来た時も、ずっと寝ててしばらくいても目を覚まさなかったから...本当に生きた心地がしなかったよ。」
その言葉に皆同意するかのように軽く頷いて、私の身を案じてくれている。私にはもう気にかけてくれる人なんてもういないと思ってた。だけど、足に地をつけて周りを見ると、私には恵まれ人たちが大勢いる。私はこの人たちを絶対に手放してはいけない。そう、強く思った。
そうか、あの魔道具、みんなの指輪が光るのか。なんだか、悪いことしちゃったな。来てくれて、とてもうれしいけど。というか、持ち場を離れても大丈夫なのだろうか。珍しく、人の気持ちを察したらしい、フューズは
「あぁ、今は持ち場を離れても大丈夫なんだ。すぐ戻るって伝言しておいたし。」
と言うが、それはそれで大丈夫なのかしら。
「あんたはいつまでも脳筋ね。そんなことしたのあんただけよ。本当に脳みそ詰まってるの?」
リヴィエラの抱きつく力は無意識なのか、どんどん強くなって、さっきほどではないけど少し苦しい。
「黙!」
ノクスは二人を落ち着かせるためにいつもより少し声を張り上げている。相変わらず、一単語で全てを伝えようとする。
「二人とも、ラファは起きたばかりなのよ。静かにしなさい」
何かどこかで見たような既視感は感じるけど...前に見たのは景色が森の中だった気がするけど、たぶん、前の帝魔会議な気がする。私の記憶違いの可能性もあるし。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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この話の終わり方が微妙になってすみません。




