Episode 39
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「ラファ!」
ルーク...!
「おいっ、フラン!そこをどくんだ!」
ルークは二本の短剣を構える。ルークの顔には汗が滲み、眉をひそめていて、少し怖い。だけど、それ以上にこの目の前にいるフランヴァート王子殿下のほうが、怖くて、気味が悪い。
「ちっ、邪魔が入ったか。だが、お前はこっちに来ることはできない。」
不気味な笑みと笑い声は私をさらに恐怖へと追いやる。ルークがここに入れないってどういうこと...?待って、いつの間にか結界が張られてる?!魔力の流れが全然フランヴァート王子殿下から動いていなかったのに?視界の端がにじみ始めているけど、目を凝らして結界の魔力を追う。
この感じからすると、魔道具...?通常、ありえない、フランヴァート王子殿下のポケットから魔力が流れ出ている。
「ん゙ーー!んーー!」
ルークに必死に伝えようとするけれども、やはり出るのは言葉ではなく、ただの叫び声だけだ。何一つ相手に伝わらない。顎で伝えようと首を振るも、
「こーら、ラファ。大人しくしてないと、ダメでしょ。大丈夫。あんなやつすぐに追い出してやるからね。」
と殿下に頭をがっしりと掴まれて、動けないように固定される。しかも、言動が異常なまでにおかしい。普通なら、というかこの世界の人全員なのだが、指輪の所持者は一律として、王族よりも高い身分だとされている(本人たちはそんなつもりはないのだが)。しかも、尊敬と羨望の眼差しを一心に受けるのだ。そんな人を”あんなやつ”扱いとは...いよいよ、頭までおかしくなっている。
ルークは結界を壊そうと、この部屋が吹き飛ばされないくらいの威力の魔法を放つも結界に吸収されてしまう。短剣でも、結界を割ることはおろか、傷をつけることすらできない。
「くっそ、これどうなってるんだよ。外からの攻撃が一切効かない!」
「当然だよ。これはフォストリング精鋭の魔道具術師たちが作った、国宝級の魔道具なんだから。」
なんという代物をここに持ってきているんだ。でも、魔道具なら、フランヴァート王子殿下からの魔力供給を断てばいいだけ!ポケットから出すことができれば...!
手はベッドにくくりつけられて縛られているから、動かせない。足でフランヴァート王子殿下のポケットをいじくり回してみるも、
「ラファ、ダメだってば。そんなに早く襲ってほしいの?それだったら、こいつの目の前でやってあげるよ。」
「ん゙ーーーーー!」
頭を掴んでいた手は、今度は私の足を掴む。そして、空いているもう片方の手で私の体のあちこちを這わせてくる。気持ち悪い...!早く、早く、ポケットから魔道具を取り出さないと...こんな姿をルークに見られているってのも、吐き気がするほど嫌だ。
叫んだり、暴れているせいで、息も途切れ途切れになってしまう。頭が真っ白になっていってしまう。目の前の視界もぼんやりとしてきて、もう無我夢中に暴れるしかなかった。足がついに魔道具(らしき固いもの)に当たった。が、私の意識はそこで尽きてしまい、ルークに起こされるまで気が付かなかった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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