Episode 36
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「私、お邪魔でしたよね。本当に申し訳ありません!」
私が好きな卵のサンドイッチを口に運ぼうとしていたときだったから、マリの唐突な言葉は私の手からサンドイッチが落ちそうになった。
「いやいや、特に何の問題もないよ。」
マリは何の勘違いをしてるんだろう。私とルークになにかあるわけじゃないのに...
「お嬢様、顔真っ赤ですよ。」
「へっ?!」
自分でほっぺたを触ってみる。普段、手が冷たいのもあるけど、とても熱い!さっき、興奮したせいで自分の熱さまでわからなくなってるの、私!
「お似合いでしたよ。お二人とも。」
「もう!マリ、どこで誰が聞いてるかわからないのよ!」
ここは王宮の庭園だ。王国一のきれいな庭園。国王両陛下のご厚意でここを貸切にさせてもらっているけど、もしかしたら、王宮騎士たちが近くにいるかもしれないのに。
「でも、お嬢様はこれからフランヴァート王太子殿下と婚約破棄されるんですよね。そしたら、また旦那様に決められた好きでもないお方と結婚されるんですか?ルーク皇太子殿下から告白はもうされているんでしょう?」
確かに、お父さまならやりかねない。というか、お義母さまとトロイアが勝手に縁談を持ってきそう...でも、昨日今日でそんな様子は一切なかった。何か良からぬことを企んでなきゃいいけど。
「まぁでも、それも貴族の務めよ。この国がよくなるなら、どんな縁談でも受け入れるつもりよ。」
お母さまが生きていた頃は、恋愛結婚に憧れてた。お母さまの世代は恋愛結婚が多かったから、よくその話を聞いてたから。でも、もう恋愛結婚は諦めるわ。
フランヴァート王子殿下のことを好きになるかなって思ってた。でも、そんな気持ちは婚約破棄されたときまで芽生えることはなかった。婚約破棄されたときに感じたのは、信頼を裏切られたことへの怒りと悲しみしか湧かなかった。きっと私は恋愛できないのよ。
空は快晴で風が木々たちを揺らす。そして、蝶が自由に飛び回っている。私もこんなふうに自由になれたら、自分の気持ちを閉じ込めてわからなくなる、なんてこともなかったのかしら。
「お嬢様...」
ふふっ、マリの顔に不安って書いてある。素直でかわいいわね。というか、私、そんな心配されるほど、哀れな顔をしているの?さっき、ルークにもたぶん心配されていたし。
ラファエラ!切り替えるのよ!痛い...ほっぺたを強く叩きすぎちゃった。
「それでお嬢様が後悔されないならいいですけど。私はいつだってお嬢様の幸せを願っていますからね!」
突然、そんなことを言われてびっくりした。私の脳にその言葉が伝わったとき、なんとも言えない幸福感が私の心を満たしていく。本当に私は幸せものね。無性にマリに抱きつく。マリがついてきてくれるんだったら、魔王にでも嫁げちゃうわ。
いや、それは言いすぎた。ちょっと無理かもしれない。
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