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Episode 29

2日開いてしまって、すみません!!!


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 「廃嫡?!なんでですか!やはり、アレスタの方が父上にとっては...」


 きれいな顔が口からどんどん歪んでいく。同時に、隣でフランヴァート王子殿下に寄り添っているアグネス嬢の顔も醜く、変わっていく。アグネス嬢には関係のないことなのに、なんでだろう。前に「私はフラン様が王太子だったから、好きになったんじゃありません!」と堂々と言っていたのに。しかも、ルークと一緒にいるときに。


 いつまでも自分とアレスタを比較しているフランヴァート王子殿下に、国王陛下はフランヴァート王子殿下の発言を断じて違うと心から訴えるように


 「違う!お前は何もわかっていない...」


と叫ぶ。その声は壁からの反響でも聞こえてきた。そして、その額には汗がにじんでいる。


 フランヴァート王子殿下も王族教育で習っているはずだ。だって、私もそのことについて学んだのだから。アレスタは王位にはつけない。だから、何が何でも、フランヴァート王子殿下を王位につけなければならなかった。たとえ、政治に関しての才能が一切なくとも。


 「では、なんで俺が廃嫡されるんですか?」

フランヴァート王子殿下は何かにすがるような声でそういった。膝の力が抜けたのか、床に膝を付けて、涙目になっている。いくらなんでも、こうなっては少し可哀想だ。だけど、すべて彼が起こしたことだ。同情する余地は、ない。


 「この間も説明しただろう。ラファエラ嬢が婚約者だったからだよ。お前は帝王学を学んでいない。その代わりに受けてくれた人はだれだ?」


 手で頭を抱え、国王陛下は目を瞑る。その顔には悲しさと疲れが混ざっているように見える。

 しばらくの間、大広間には長く、重い沈黙が流れる。少しの音でも音を立ててしまうと周りからの視線に射抜かれそうだ。地面に縫い付けられたように、動かないようにその場に留まる。なかなか答えないフランヴァート王子殿下にしびれを切らしたのか、王妃殿下が実の息子を睨みつける。しかも、絶対零度の瞳で。母からの圧力により、口を開く。


 「それは...」


 そして、再び口を閉ざしてしまう。フランヴァート王子殿下は先ほどまでの自信を失ったらしく、ここから彼の顔を見ることはできない。


 「まさかそんなことはないと信じていますけど。誰がやってくれていたのか知らない、なんてことはありませんよねぇ〜。フラン。」


 王妃殿下は持っていたせんすを開き、口元を隠す。目は笑っているけど。

 王妃殿下のその笑顔の裏に潜むどす黒い何かがとても怖い___

 少しだけ、王子殿下を憐れむ。私も王妃教育のときに何度かあのような顔をされたけど、その後にまともな授業になったことはない。


 「母上...すみません。わかりません。」


 フランヴァート王子殿下の犬耳が垂れているのが見える。さっきまでの威勢はどこへ飛んだのやら。実の息子がそんな態度なのに、隣にいるアグネス嬢はさっきからずっと、バレないように国王両陛下を睨んでいる。あなたが睨んではダメでしょ。その度胸を別の方向で使えないのかしら...


 「はぁ...お前がそこまで愚かだとは。」

さすがに何も考えていない人の相手をすることに疲れたのだろうか。国王陛下の顔に悲しさはなく、諦めの表情だけが残っていた。


 「ラファエラ嬢がお前の習うべき学問をすべてカバーしてくれていたのだ。」


国王陛下は事実を淡々と述べる。しかし、フランヴァート王子殿下にはこの言葉に含まれている裏の意味、というか表面的な意味ですら理解できているとは思えない。


 「それは無能だから、当然なのでは?」


 彼は常識ではないかと言わんばかりの呆れ顔だ。なくなっていた威勢を取り戻したかのように。

 その言葉を聞いて、私の声にならない声が出ていた。そのせいか、喉が焼ききれてしまいそうだ。脳は沸騰して熱い。彼は廃嫡された今でも私を()()だと馬鹿にしている。

 この場で彼に言い返すできないことが悔しい!あの人は何もわかっていない!無属性だからといってその人達を格下のように見ているその姿勢に指摘できないことがもどかしい!


 「バカモノ!この国の中枢は魔法重視ではない!リアの機嫌をどうしてくれる?!」


 国王陛下は私が言いたくても、言えなかったことを言ってくれて、少しだけ溜飲が下がった。頭から少しずつ血の気が引いていくことが自分でもわかる。


 国王陛下の隣では王妃殿下の周りで吹雪いている。周りの側近たちの頭と肩には雪が少しだけ積もっている。明らかに側近たちの顔色は悪くなっている。これは...ダメなやつだ。隣の国王陛下も、目が伏せがちで視線が泳いでいて、焦っているのが一目瞭然だ。今日は国王陛下の顔色は面白いくらいにくるくると変わっている。


 王妃殿下はずっとニコニコしているがその裏に潜んでいる感情がわからないから、何を仰るのか、怒られるわけでもない私も少し怖い。持っていたせんすを閉じ、頬に手を当てて


 「せっかく、親友の娘が義娘になると思っていたのに...しかも、ラファは何においても優秀よ。私が教えたことはすべて吸収していく。子供はどちらも男だから、娘が欲しかったけど、嫁いできてくれる子がまさかこんなに優秀な子だとは思わなくて、嬉しかったのよ。もう少しで夢が叶うと思っていたのに。まさか自分の息子にそれを阻害されるなんてね。」


 王妃殿下の言葉の中にはフランヴァート王子殿下への皮肉が盛りだくさんに入っている。だけど、それを理解できないフランヴァート王子殿下とアグネス嬢の頭の上にははてなマークが浮かぶのだった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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