Episode 28
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「父上、母上!どうして俺を呼んでくださらなかったんですか?!」
なぜ、ここにフランヴァート王太子殿下とアグネス様が?フランヴァート王太子殿下のことが恋愛的な意味で好きじゃなかったからと言って、私も傷つかなかったわけじゃない。周りには明るく振る舞ってたけど。だから、もう正直二人には会いたくなかった。しかも、まだ私と婚約しているのにアグネス様はなぜ、フランヴァート王太子殿下と腕を組んでいるの...
「あなた達はこの場には呼んでいません。まさかとは言いませんけど、この国の礼儀というものを知らないわけではありませんよね。」
王妃殿下はとても聡明で礼儀にとても厳しい。それこそ、自分の子供にですら礼儀を破ると睨むほどに。
さすがの王太子殿下といえど、自分の母に睨まれたことで萎縮して、一歩後退りをする。私も私が睨まれているわけでもないのに、ビクっとしてしまう。王太子がそんな始末なのに、アグネス様は何も考えていなのか、
「フラン様が可哀想です!王妃様、そんなに睨まないで上げてください!」
高いハスキートーンで喋るから、いくら遠い位置にいるとはいえ、耳が痛くなる。しかも、なぜか目に涙をいっぱいに溜めている。アグネス嬢が怒られているわけでもないのに。本当に、フランヴァート王太子殿下はアグネス様のどこを好きになったんだろう。学園のときから不思議でならない。
「そなたと、話しているのではない。フラン。婚約者をなだめるのもお前の仕事だぞ。」
先ほどの私に見せていた顔とは違い、フランヴァート王太子殿下を冷たい目で見る。しかし、私には二人の礼儀がこれから直るとは思えない。
自分で言うのも何だけど、私が婚約者だったこともあって、フランヴァート王太子殿下は礼儀を知らずに育った。なぜなら、パーティーなどで礼儀が要求されるときは必ず私が同席して、逐一フランヴァート王太子殿下に教えていたからだ。そのたびに、「うるさい!わかっている!」とわざわざ人がいないところで怒鳴られたけど。そして、弟のアレスタとことごとく比べられたからか、フランヴァート王太子殿下は学業面や魔法面で高みを目指すことを諦め、余計に学ぶことをやめてしまった。
昔の王太子殿下はそんな風ではなく、むしろそれに抗おうとしていた。なのに...
でも、もう考えても意味がない。これらを私が知れる術はもうないのだから。
「アグネス様。両陛下にそのような言葉遣いをしてはなりません。あなたは聖属性といえど、一公爵令嬢です。礼儀はわきまえなさい。」
しまった。このように言ってしまったら、
「こわぁ~い。フランさま~。」
アグネス様の声が反響している。公爵令嬢と指輪の所持者だったら、私の方が身分が高いのに
「もう少し優しい言い方はできないのか?!アグネスは礼儀を知らなくて当然だ。お前がもっと寛大になれよ。」
と言ってくる。本当に礼儀がなっていなさすぎる。この2人は私の後ろに両陛下が控えていることを忘れているの?完全に二人の意識の中から除外されてる気がする。だって、そうじゃなければこんなに大声で怒鳴ることもないだろうに。
「はぁ…フラン。お前は廃嫡だ。ついこの間ラファエラ嬢に支えられていたことを教えたのに、もう忘れたのか。」
と後ろから、低く、重い言葉が告げられた。えっ、待って。廃嫡ってどういうこと...?
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