Episode 25
「そういえば、王太子殿下からお嬢様宛に手紙が来てるんですけど、焼却炉行きにしてもよろしいでしょうか?」
フランヴァート様から手紙?!婚約している間でも一回ももらったことがないのに。まぁ、どうせろくなことはかかられていないと思うけど。というか
「マリ。いくら王太子殿下が嫌いだからといって手紙を燃やしてはいけないわ。もしかしたら、重要なことかもしれないし、王族反逆罪に問われてしまうわ。手紙を出してちょうだい。」
「はーい。」
マリの顔からは嫌悪がにじみ出ている。ここに私以外に誰もいなくてよかった。マリがフランヴァート様の手紙を渡してくれた。裏側にはちゃんと王家の紋章がついている。マリが手紙を燃やす前に私に報告してくれてよかった。本当に燃やしてたら、思っていた以上にヤバかったかもしれない。
愛しのラファエラへ
この文字が見えて途中まで出していた手紙を思わず中に入れる。あの人、どこか頭を打ったのかしら。そうでもないと、こんな文章書かないと思うんだけど...いつものフランヴァート様の対応を考えてこの文章を読むと砂糖を吐いてしまいそうだ。
「お嬢様...なんて書いてあったんですか?」
マリが私を心配してくれているのか、眉をひそめている。ちょっと、落ち着きながら手紙を読んだほうがいいかもしれない。
「マリ。手紙を読んでいる間は出ていってもらえない?」
「まさかですけど、お嬢様はあのク...んん゛っ。王太子殿下に未練があるとは言いませんよね。」
言い直したけど、’クソ野郎’と言おうとしたわね。マリの身が危ないから反省を促そうとマリを睨むけど、当の本人はそっぽを向いている。
「はぁー、フランヴァート様に未練なんてないわよ。ただ、ちょっと内容があれだから、一旦一人で読もうと思うわ。」
「わかりました...読み終わったら絶対に読んでくださいよ!絶対!」
とマリは私に念押しをして、出ていく。
ソファにもたれかかって、手紙をもう一度取り出す。
愛しのラファエラへ
この間の卒業パーティーではすまなかった。ラファがあんなに嫉妬するとは思わなかったんだ。側近に聞けば、俺とアグネスの仲は婚約者であるラファを蔑ろにしていると学園でも噂になっていたらしいな。俺はラファエラとの仲を確かめたかったんだ。本当に婚約破棄をしようとは思っていなかったんだ。お前も俺とアグネスの仲に嫉妬して、「婚約を受け入れる」とか言ったんだろう。ラファは俺のことが好きだろう。まだ、やり直せる。ラファエラは王妃の器だ。お前の念願の王妃だ。嬉しいだろう!アグネスは側妃に据えるつもりだ。三人でこのフォストリング王国を良くしていこう。
お前の大好きな婚約者 フランヴァートより
本当にどうしたんだろう。いつものフランヴァート様では考えられない。というか、私はフランヴァート様のことをあまり好きじゃないんだけど。あんなに散々私を見下して、罵詈雑言を私に言っておいて、なんで私がフランヴァート様のことが好きだと思ったのかしら。私が好きなのは私のことをちゃんと認めてくれてる人。って、なんでルークの顔が出てくるのよ...。違う。違う。ルークは友達よ...私がルークに抱いている好きの感情は友達だからよ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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