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Episode 24

 「俺の婚約者になってくれない?」

 「えっ!」


さっき断ったはず...よね。私もルークのことが好きだ。だけど...


 「どうして。私は仮にもこの国の王太子に婚約破棄された身よ。そんな状態でルークと婚約したら、ルークに迷惑がかかるんじゃ...」

 「迷惑とか考えなくていいよ。俺はただラファが好きでどうしようもないんだ。学園の入学式で一目惚れして、でもラファには婚約者がいた。だから学園を卒業したら、国に帰ってラファのことはもう諦めようと思ってた。だけど___」


 私は卒業パーティーでフラン様に婚約破棄をされた。


 「会議のときにラファが婚約破棄されたことを聞いて、怒りが込み上げてきたけど同時に嬉しさも感じたんだ。不謹慎だよね。」


とルークは少しバツが悪そうに笑った。


 「ううん。それだけ思っていてくれて嬉しい。」


こんなことを言われたら、直接ルークの顔を見ることができないじゃない。合わせていた目線を下げる。そして、ふと会議でのみんなの様子が思い返った。


 「あれって、もしかして、、、」

 「うん。みんなには俺がラファのことが好きなのは知ってて、”婚約したら”って言ってきてたんだ。」


 あはは、とルークは照れながら笑う。


 私の顔が熱くなる。みんな知ってたのに私だけ気づかなかったの?!


 「この任務でラファが家族やフランに精神的にとても追い詰められていることがこれまで以上に目に見えて、ただの同僚としてしか支えられないことに憤りを感じてたんだ。だから、このタイミングで告白したんだ。でも、ラファにも考える時間が必要でしょ。俺が帰国するのは2週間後ぐらいまで伸びたから、そこまでに結論を出してもらえたらいいかな。とりあえず、俺がラファのことが好きだって覚えておいて。」


 ルークは私を残して天幕の方へ歩いていく。私はどうするのが正解なんだろう。ルークが嫌いなわけじゃない。でも、私のことをあんなに思ってくれているのに私が同じくらいの気持ちを返さないといけないんじゃないかって思ってしまう。私も好きだけど、多分友達として好きなんだと思う。しかも、婚約破棄されていて...こんな中途半端な気持ちでルークの隣には立てない。


ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー


 「そんなに考える必要はないですよ!!!」


 任務は無事終わり、ルークが半永久的にあそこから魔物が出ないように魔術式を張ってくれたおかげでその後はすんなりとフォストリング王国に帰ることができた。そして、任務のこと、ルークに告白されたことをマリに伝えるといつも通り大声で返答が返ってきた。


 「お嬢様は考えすぎなんですよ。何でもかんでも相手の期待通りのものを返そうとし過ぎなんです。時には人の優しさにつけこんだって、お嬢様にバチなんて当たりませんよ!」

 「でも...」


 そうは言っても本当にルークの優しさにつけこんでいいんだろうか。ルークは一度自分のテリトリーに入れた人に対して誠実で優しい。私もなぜかその領域に入れさせてもらってるけど、私はルークに何もできていない。今回の任務だって過呼吸になったときも、告白してくれたときもいつだって優しくて、私に与えてもらってばかりだ。


 「でも、じゃないです。ルーク皇太子殿下にとってはお嬢様が隣りにいるだけで見返りは十分満たされているんですよ!」

 「あれっ、マリってルークと私が一緒にいるところを見たことがあるの?」

 「はい。一度だけ。ルーク皇太子殿下がお嬢様を見つめている瞳はいつだって優しくて愛情に満ち溢れてましたよ。他の女性にはそんな瞳を向けたことがないのに...」


一回だけ見たマリでも気づくレベルで私が気づかないってどれだけ鈍感なの!私!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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