Episode 23
「◯✕△♤◇〜♢?#♧¥▽☆&+!□♡反転魔法」
ルークは杖を持ち、珍しく詠唱を唱えた。ルークが杖を持っている姿は本当に様になっている。絵画にしたいくらい。魔人(と思わしき)魔術式に覆いかぶさるように大きな魔法陣を出現させた。さすが、ルークすぎる。片手で数えるくらいしか習ったことのない魔法陣をその場で理解して、魔法陣を創って解決しちゃうんだもん。かっこいいなぁ。
でも、最初のほうに言っていた言葉はなんなんだろう。聞いたことがあるような気がするけど、どこで聞いたかもわからないし、あんな言葉を習った記憶もない。う〜ん。記憶に靄がかかっているみたいでなんか、釈然としないなぁ...
「ふぅー。これで一旦は大丈夫だろう。」
「一旦ってことは、まだ発生することがあるの?」
またあんなに大量発生しては、近くに住んでいる人たちにも影響が出るんじゃ、、、私たちはこの大陸に住む人達に安全に暮らしてもらう義務があるんだから、ちゃんと解決させなきゃ。
「いや、俺が死んだら再び発生するが、まぁまずそんなことは起きないから安心しろ。ラファのことだから、住民を守らなきゃとか、解決させないととか思ってるんだろうけど。」
私の心の中を覗いたの?!ちょうど思っていたことをすべて当てられたけど、そういう魔法でもあるの?!
「あははっ!今度は、俺が魔法を使ったって疑ったでしょ。残念ながら人の心を見る魔法なんてないからね。ちゃーんとラファのことを見てたらすぐわかることだから。」
なんかルークに隠し事をできないような気がしてきた...でも、私のことをちゃんと見てくれている人がいるんだって思ったら少し心が軽くなった気がした。
「前の会議でもみんな言ってたけど、ラファが全部背負う必要はないよ。ラファが背負っているもの、俺達にも背負わせてよ。」
「っ____なんでそんなに私のことを見てくれて、優しいの?」
ルークの言葉に泣き出してしまいそうだ。それは、小さい頃からほしかった言葉だったからかもしれない。
家族にも、一度は共に戦おうとした婚約者にも見放されて、罵詈雑言を浴びせられて、私のすぐそばにいる人はみんな的だと思っていた。婚約者がしっかりしていないから、私がしっかりしなければならない。いつしか、そう思って何でもかんでも自分で背負うようになったのはいつからだろう。「女が出しゃばるな」「あなたなんていても何の約にも立ちませんわ」周りの人からそう冷罵されて、一人でいつも耐え忍んでいた。周りには私のことを庇ってくれる人なんて一人もいなかった。誰も私ではなく、私の周りについている肩書きしか見てくれなかった。自分の中では平気なふりをしていたけど、やっぱりフラン様からの婚約破棄は相当こたえていたのかもしれない。
気づけば私は泣きじゃくっていた。
「ラファ...。」
ルークは私のことをそっとハグしてくれた。ルークの腕の中は暖かくて、お日さまのようないい匂いがして、とても落ち着く。そのおかげで、少しだけ、、、泣き止むことができた。
「あのね。俺はラファのことが好きだ。」
「えっ___」
私はルークの告白に驚きを隠せない。さっきまで流れていた涙はすっかり引っ込んでしまった。
「前にも言ったことがあるけど、聞こえてなかった?」
ルークは悲しげな笑顔を浮かべた。あの時のこと?
「あのときはさ、ラファはまだフランの婚約者だった。けど、もう思いを抑えきれなくて言ったんだ。でも、女神様からのばちかな。あいにく風が吹いてラファには聞こえなかったみたいだね。」
たしかあのときはまだ15歳だったはず。そんなに前から私のことを思ってくれてたの?でも___
私はルークの腕の中から離れてお辞儀をする。
「ルーク。ごめんなさい。私には"好き"って感情がわからなくて、、、ルークに同じ気持ちを返すことができないの。本当にごめんなさい。」
私はみんなのように好きとか愛とかがわからない。そんな気持ちでルークと付き合っちゃダメよね。確かに、友達としてルークのことは好きだけど、それが”恋愛感情か?”と言われるとそうじゃない気がする。
「うん。知ってるよ。」
「えっ、知ってるってどういうこと?」
思わず、顔を上げる。
「ラファが好きって感情がわからないこと。ラファは俺のこと嫌い?」
ルークは悲しげな笑みを浮かべる。ルークの言葉を否定したい一心だった。
「そんなわけないじゃない!むしろ、すきだよ!」
少しだけ、大声で喋ってしまった。というか、真正面から堂々と”すき”という言葉を発していたことに少しだけ恥ずかしいようなよくわからない感情を感じた。
「でも、ルークが私に思ってくれている”好き”とは違うと思う。」
その事実が私を苦しめる。
「それならさ、それでもいいから俺の婚約者になってくれない?」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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