番外編 3
想像以上に長くなってしまいました,,,
父上は雷属性だ。だから、息子が雷の指輪の所持者だったことに大層喜んだ。
それこそ、アレスタを王太子にさせようとしているのではないかと噂されるほどに、、、
それでも情があったのだろうか。再び継承権争いを起こさないために無の指輪の所持者を俺の婚約者に据えた。婚約者が指輪の所持者だと周りからもなんとも言えないからな。それは良かったのだが、、、
そこから地獄が始まった。
婚約者の属性は無であり、別名"無能属性"と言われるほど、役に立たない魔法ばっかりだ。
アレスタを王太子に据えたい奴らは、パーティーでも俺たちに対して
「婚約者同士、"無能"でおそろいですね〜」
と嘲笑ってきた。婚約者が無属性でなければ、、、こんなことを言われるはずなかったのに!いつも、心のなかで地団駄を踏んでいた。
「申し訳ありません。フラン様。私が無属性なばかりに、殿下まで侮辱されてしまい、、、」
その時のラファエラのしぼんだ顔は今でも覚えている。不覚にもどきっとしてしまった。
「いや、ラファのせいだけじゃない。一緒にあいつらを見返そう!」
そのとき、ラファエラと手をつなぎ固く誓った。
そして、ラファエラと奴らを見返してやろうと俺も勉学に励んだ。
が、15歳になり学園に入学してみるとどうだ。
隣国から、非の打ち所のないやつがやってきて、ラファと親しく話している。俺という婚約者がいながら、、、しかも、そいつは皇太子で学年首席。俺と同じ光属性でありながら、指輪の所持者だった。
ラファとルークは同年代に二人も指輪の所持者がいると話題になっていた。しかも、ラファモ学年次席でクラスも、魔法・勉学ともにSクラスだったから二人は余計に目立った。
一方で、俺は、、、魔法は当然ながらSクラスだったが、勉学はCクラスと王太子でそんなんでいいのか!という声が聞こえてくるほどの落ちこぼれだった。
そんな中俺を慰めてくれたのが、魔法で同じクラスの聖属性のアグネスだった。
彼女は素直で明るく、属性も魔力量も申し分がなかった。俺の悩みを打ち明けると、親身になってくれた。
「ラファエラ様はひどいです!フランヴァート様という素晴らしい方を捨て置いて、ルーク皇太子殿下と話すなんて!女性は男性の一歩後ろにいなければならないのに、ラファエラ様は恥ずかしげもなく、次席だなんて、、、フランヴァート様何もは悪くないです!ありのままで素晴らしい方なんですから」
そんな言葉に救われた。それからというもの、学園ではアグネスと共に過ごす日々が続いた。アグネスといっしょにいると心が落ち着くし、嫌なことは何もかも、忘れられた。
そんなとき、、、
「フラン様。わたくしは、あなたのことが好きです。フラン様には婚約者がいらっしゃるので結ばれることは叶いませんが、、、」
としおらしく、俺に告白してきた。俺も彼女のことを好ましく思っている。それなのに、、、ラファエラとかいうやつと婚約してしまっているせいで、、、最近では、ラファエラは無表情になっていっている。あいつが笑顔を向けるのは婚約者ではなく、ルークやアレスタだ。俺はいつでもあの二人より劣っていると見せつけているかのようで、気分が悪かった。だから、
「俺もアグネスのことが好きだ。あんな無表情のやつとは婚約破棄しよう。父上も母上も、無の指輪の所持者より、聖属性で魔力量の多いアグネスを王妃に据えたいと思うだろう。」
そこから、ラファエラとの婚約破棄をどのように行うか二人で画策していた。時折、側近どもが
「フランヴァート王太子殿下!どうか、ラファエラ様との婚約破棄をお考え直してください!」
「アグネス様との噂がたっております!アグネス様ともう少し距離をおいては?」
と口出ししてきたが、そんな戯言を聞いている暇はない。属性・魔力量重視のこの国で、聖属性と無属性ではどちらが王太子の婚約者にふさわしいかは誰に聞かなくてもわかる。
「学園の卒業パーティーで婚約破棄すればよろしいのではなくて?」
二人で、学園の庭で話しているときに、アグネスはそんな提案をしてきた。
「いくらなんでも、卒業パーティーはまずいのではないか?」
そう聞くと
「あら。ラファエラ様は無属性なんでしょう。それだったら、公の場婚約破棄しようと、非公式の場で婚約破棄しようと、どちらも変わらないのでは?しかも、卒業パーティーであれば、すぐに多くの人に認知させることができます。ちょうどその時には、ルーク様とアレスタ様は任務でいらっしゃらないのでしょう。邪魔をする人が一人もいなくなります。」
あぁ。やはり、彼女と付き合って正解だ。そう思った。いろいろなことを考えて出した結果のだったのだな。
「そうしよう!ラファエラとは卒業パーティーで婚約破棄する!」
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
「ラファエラ・トスカーナ侯爵令嬢とは婚約破棄させてもらう!!」
とラファエラと婚約破棄した。あんなときでも無表情を貫いていた。あの瞬間は天にも昇る気持ちだった。忌々しいラファエラと婚約破棄することができて、しかも最愛の人と婚約することができる。とても爽快だった。ルークとアレスタを欺けたような気がした。俺が一歩出し抜くことができ、俺も方がすごいのだ。 そう信じて疑わなかった。
が、この状況は何だ。
「この馬鹿息子が!なぜ、トスカーナ令嬢と婚約破棄をした!これではお前を王太子にすることができないじゃないか!さっさと、トスカーナ令嬢に許しを得てこい!」
と鬼のような形相で俺を責める。
「あなたねぇ。私がどれだけラファエラのことを見てきたかわかってる?あの子があなたの婚約者だったから、あなたは王太子でいられたのよ。」
母上は俺に絶対零度の目を向ける。
なぜ俺が、責められなければならない?!ラファエラのおかげで俺が王太子だった?!そんなことあり得るわけがない?!というか、あってはならない!!
「しかし、ラファエラよりも聖属性で魔力量の多いアグネスを婚約者に据えるのですよ?何も問題はないではないですか?!」
「はぁ。お前は何もわかってはいないのだな。」
何がだ。十分わかっている。たしかにあいつは学園を次席で卒業するほど頭が良いが所詮それだけの話だ。あいつに王妃になるだけの魔法の素質はない!
「最近、国の重鎮たちがお前が王太子になっていることに文句を言っていなかっただろう。」
確かに、重鎮たちからの小言や嫌味はアグネスと付き合ってぐらいから、極端に減っていいた。でも、それは俺がラファエラではなく、魔法に優れているアグネスと付き合ったからだろう。アグネスのおかげであって、ラファエラは関係ないだろうが。
父上は頭を手で抑え、深くため息をついた後、こう続けた。
「それはな。トスカーナ令嬢が重鎮たちから認められるように、学力と指輪の所持者に与えられる任務を忠実に行ったからだ。その姿を見た重鎮たちはトスカーナ令嬢が王妃になるのなら、とお前が王太子であり続けられるようになったのだ。」
はぁ?何を言っているんだ、この人たちは。ラファエラが王妃にふさわしい?そんなことあるわけない。指輪の所持者だから、魔法のクラスがSだったものの、俺より魔法は劣っている。そんなやつが王妃にふさわしいわけあるか?!
「とりあえず、トスカーナ令嬢の任務が終わったら、婚約破棄を撤回してもらえるように行って来い!でなきゃ、お前を王太子の座からおろし、アレスタを王太子にする!」
そんな!どうして___どうしてこんなことになったんだ?!!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




