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Episode 1

 私がパーティーから家に帰ると同じくパーティーにいた付き添いの執事が早馬で先にお義母さまに報告をしていたらしく、案の定帰宅してすぐにお義母さまに呼ばれた。


ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー


 どんっという音が部屋中に鳴り響き、痛すぎて自分がお腹を殴られたことに気がつくまでに時間がかかった。

 「あなた、なんで抵抗もせずに婚約破棄を受け入れたのよっ?!」

 「すみません。お義母さま。ですがあそこで抵抗すれば...」

こうなっては、私が必死に平謝りするしかない。それ以外、許してもらえる術が思い浮かばない。

 「ゴタゴタうるさい!」

 「いたっ」

とまた先ほどの近くのところを殴られて、私はお腹をおさえて床にうずくまるしかなかった。見えないところをわざと狙って跡が残らないように殴るので余計にたちが悪い。でも、やり返す気力も力もない。

 

とそこに、義妹のトロイアが入ってきた。

 「お母さま、お義姉さまに何を言っても無駄ですよ〜。無の指輪の所持者にふさわしい、お父様に愛されず、自分で母を殺した()()、なんですから。王太子殿下と婚約してたことが不思議なくらいですから。」

 

 私を嘲笑うような笑みと言葉の言い回しだ。このみんなから愛されるようなかわいらしい見た目と言い方だけだと優雅な淑女だけど、言っている内容は私を見下す言葉だけ。トロイアの言葉を聞くだけで燃えるような怒りが込み上げてくるが、ここで暴れてもバツがひどくなるだけ、か。

 

 何度トロイアの口に乗せられたことか。

 「あぁ〜、私の愛しいトロイア。あなたも帰ってきてたのね。」

 「お母さま、遅れましたがただいま戻りました。」

そういってトロイアはきれいなカーテシーをすると


 「あなたは本当に立派な淑女ね。こんな()()と違って。やっぱり、トロイアを王太子殿下の婚約者にするべきだったわ。」

 とお義母さまはトロイアを大事なものを抱くようにそっとハグする。


私は何を見させられているのだろうか。はたから見れば仲の良い親子だが、母を亡くし、実の父からも愛されない私に見せつけるためだけのこの茶番を見ているだけで吐き気がする。お義母さまは本当にトロイアのことを愛しているのだろうけど。


 気づかない内に歯ぎしりをしていて、それがトロイアに聞こえたのだろう、トロイアは私に近づいてきた。


 「あなたが無能なら、あなたのお母さまも無能なのかしら。」


 お義母さまに聞こえない程度のささやき声で私に言う。その声は私を嘲笑しているようにしか聞こえなかった。


 「ーーー!このっ!」

私をばかにするのはいいけどお母さままで侮辱するなんて!!許せない!トロイアにつかみかかろうとすると、

 「きゃああ!おかぁさま!」

 「この恩知らずめ!」


痛い___ヒールでお腹を蹴られたからか、さっきよりも吐き出しそうなほど痛い。誰か____


 「あなた、何睨んでるのかしら。まさか、トロイアになにかしようとしてるんじゃないわよね?!」

 「そんなっ」

 冤罪だ。そう言おうと思っても、


 「こわぁい。お義姉さま。」

トロイアに言葉を遮られる。誰のせいで___悔しくても手を強く握りしめた。

 「この無能、全く反省していないのね。」

 「お母さま、これをこの侯爵家から追放処分にしてしまいましょうよ!」

 

 「そんなことをする必要はない。」


後ろから冷たく、鋭い声が聞こえた。お父さまだ。おそらく、騒ぎを聞きつけたのだろう。執事長のサムと部屋に入ってきた。お父さまの方を向くと、こちらを冷たい目で見ていた。後ろに控えているサムはやれやれといった感じだが、トロイアは”相変わらず愛されてない”と言わんばかりに、にやにやしていた。この人に認められたくて、勉強も魔力操作も頑張ったんだけどな。


 「ラファエラ、フランヴァート王太子殿下に婚約破棄されたそうだな。」

 「はい...」

 「そうか。」


相変わらず、私との会話も短い。やっぱり私が無属性だから喋る価値もないというのね。


 「とりあえず、1週間後に控えている魔帝会議まで部屋に籠もっておけ。処分はそれからだ。」

お父さまはそう言い終えると、

 「失礼いたしました」

とサムが言うとすぐに執務室へと去っていってしまった。


ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 


 部屋に戻るとマリが

 「おじょうさま〜」

と泣きながら私に抱きついた。


 「マリ!」

 「聞きましたよ!卒業パーティーのこと」

もうマリにまで伝わっているのか。でも、学園に在学時からフランヴァート王太子殿下とアグネス嬢の噂はたっていのだから、マリが知っててもおかしくないか。マリが思いっきり息を吸い込んだ。まずい。私の直感が脳にそう告げて、考える間もなく魔法を展開する___


 「消音結界(サイレント)!」


 「あんのぉ、クソ王太子〜!!」

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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