Episode 16
「ルー、ク?」
「ラファ、大丈夫。ゆっくり息を吸って、吐いて」
とルークの声は普段と違ってかすれている。ルークの声を追って息を吸って吐こうとするけど、うまく呼吸ができない。むしろ、呼吸が止まらないっ。
「大丈夫だ。ラファ、息を吸って......吐いて......」
ルークが私の手を握ってくれて、彼の鼓動が伝わってくる。それに合わせて、呼吸をする。
空気が中に入ってくる。ぼやけていた視界もルークの顔がはっきり見えるようになってくる。大丈夫。もう呼吸はできる。
「ルーク。ありがとう。もう大丈夫。」
とルークに支えられていた体を自分で起こす。
「よかった。」
とルークは少し泣いていたように見えたけど、笑っていた。
周りを見ると戦闘はもう終わったみたいだ。でも、魔物たちの死体を見ると上位種ばかりだった。普通の騎士では倒すのが難しい魔物だったから、中には怪我を負っている人がいてポーションを飲んでいる人も多くいた。
私は周りの人に迷惑をかけてばっかりだ、、、
そんな落ち込んでいる私を察したのか、ルークが私の手をしっかりと握る。
「大丈夫だ。ラファのせいじゃない。ラファばかりいろいろ背負うんじゃない。」
そこに私の状況を知っていたのか、インフィルビがやってきた。彼の鎧や顔にもたくさんの血がついていた。
「トスカーナ侯爵令嬢。大丈夫でしたか?」
「はい。それより、インフィルビや他の騎士たちは大丈夫なのですか。血がたくさんついていますが、、、」
「あぁ、これは魔物の返り値です。私は問題ありません。あと、今回の任務に来ている騎士たちは皆、第6階位以上の人たちです。中には第7,8階位の人もいますが、、、そいつらは全員教養が身についていないという理由で階位が上がらない者たちです。実力としては俺と同じくらいですので。」
だから、ミシェルは単独でBランクという上位種を倒せるのか。というか、第6階位以上ってどれだけすごい人たちを集めてるのよ?!この国で第6階位以上の人って騎士の1割にも満たないと聞いたわ。多くの人が最高でも第7階位が限界だというのに、、、
「それより、トスカーナ侯爵令嬢が大丈夫なら、一刻も早く先に進みましょう。ここにいる魔物たちの強さは異常です。なるべく戦闘を避けながら目的地まで行ったほうがいいでしょう。」
ル「わかりました。準備が整い次第、再び出発しましょう。」
このままでは近くにある村に駐留している騎士たちもやられてしまう、、、早く、私が結界を張っているところにいってなんでこんなにも魔物が多いのか突き止めなくちゃっ!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
少しでも気に入っていただければいいねと評価欄から評価とブックマークをお願いします。




