Episode 14
「おいっ、ルーク!」
とグレイに殴られたことに驚いたのか、ルークは大きく目を見開いたあと、グレイを睨んだ。
「おいっ、グレイ。いきなり殴るなよ!」
「ルークが考え事を始めたからだろ。僕のせいじゃない。」
グレイはため息をついて首をゆっくりと横に振る。
アズール帝国の皇太子にこんなことをできるのは世界でグレイだけだろうなぁ。小さい頃から一緒にいるからこそ、ルークに対して普通に接することができるのだろう。
「トスカーナ嬢、ルークが全然反応しないから、困ってたぞ。」
「だからといって殴ることはないだろう。」
「いや、ルークは殴るくらいしないと何をしても反応しないだろう。雷を落とさなかっただけマシと思え。」
グレイはルークの付き人にふさわしい高度な魔法と魔力を持っている。魔法をなんなく相殺させるルークですら、グレイの雷魔法をくらうのを嫌がるほどだ。
「はぁ、それが主人に対する扱いかよ、、、」
とルークは頭を抱えて「やれやれ」と眉をひそめた。
「ラファ、ごめんね。ちょっと考え事してて、、、」
ととても申し訳なさそうな顔をしている。ちょっとかわいそうだな。
「わかってるよ。ルークは一度考え始めるとそれが終わるまで人の話を聞かないもんね。」
というと、ルークの表情はどんどん暗くなっていく。フォローしてあげようと思ったけど、言葉を間違えたかな?
「トスカーナ嬢、全然フォローになってないぞ。」
とグレイに言われる。やっぱりか。
「ごめんね。フォローしようと思ったんだけど、、、」
「ラファ、ありがとね。」
ルークは私の前髪を上げる。えっ、今額にキスされた、、、?どういうこと、、、?こんなのされたの初めて。ルークに対してどう反応したらいいの?!恥ずかしい!絶対顔真っ赤になってるよ!!
「ん゛ん゛。ルーク。僕がいるのを忘れていないだろうな?」
「うん?どうせ、違う方向を見てたでしょ。」
「そうだけどさぁ。」
なんでルークはそんなに普通なの?!めちゃくちゃこんなに心をかき乱されている私が恥ずかしい、、、ルークとあんなに近づいたのも初めてだし!
「ははっ。ラファ、顔が真っ赤だよ。」
「もうっ!」
とルークを殴る。ルークにとってはあんなの痛くもないだろうけど、あれぐらいしないと私が恥ずかしくて死にそう!
「じゃあ、ラファ。また明日、いい夢を。」
「ま、た、あした。」
まだキスされた余韻が私の額に残っている。恥ずかしさと緊張がとけて、私はその場にしばらく座り込んでしまった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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