Episode 13
「何か知っていますか?」
私が使った魔法は魔素をこれ以上中に入れない魔法。それ以上でもそれ以下でもない。確かに言われてみれば、大広間にいる騎士たちの中には誰も魔素に当てられて顔色が悪くなっている人はいない。
魔素による体調不良ははもとからの体質によって変わったり、訓練である程度魔素に対する抵抗力を得ることができるけど、、、体調不良を治すにはセインが特別に付与した空間に入るか、薬師などが作るポーションを飲むしか方法はない。今回、セインが付与した空間はないし、ポーションは限りがあるからこの程度のことでは使えない。
どういうこと?
「すみません、、、私が張ったのは一般的な防御魔法です。私は他の属性を扱うことはできないし、、、ルークは何もしていないの?」
「いや、俺はここに来てから1度も魔法を使っていない。」
「そうですか。もし防御魔法の術式に加えて魔素中毒を治すことができるのなら、今後の調査などで魔素中毒を未然に防ぐことができると思ったのですが、、、」
「お力になれず、申し訳ありません、、、」
「いえ、このようなことがあるとわかっただけで進展ですから。」
「ねぇ、ラファ。ここ最近、魔法を使ったときに変なことはなかった?」
とルークは眉をひそめた。
「特に何もなかったよ。何かあるの?」
「いや、何も無いんだったら問題ないよ。じゃあ、、、」
と再びルークはぶつぶつと考え始めた。
「お二方、お時間を取らせていただき、ありがとうございました。外も暗くなってきたようですし、明日のために各自休養を取ってください。」
とインフィルビが言った後、クイラーテが動こうとすると
「いてっ。」
と結界にぶつかっていた。
「あっ、すみません。結界を張っていたことを忘れてました。解除」
「ありがとうございました。」
とインフィルビとクイラーテは騎士たちに指示を与えるために大広間の中心に向かっていった。
そんな中でもルークはずっと考え事をしていた。相変わらず、考え始めると止まらないのね、、、
「ルーク、もう終わったよ。自分の天幕に戻らなくていいの?」
声をかけてもルークは一切反応しない。私では無理ねと考えていると、ルークの付き人であるグレイがやってきた。
グレイは昔からルークと仲が良く、フォストリング王国のシェルタプリモ学園に入学するときに一緒に入学している。ルーク同様、顔が整っており、ルークはきりっとしていて、グレイは少しほんわかしている顔立ちだ。ルークに劣らず、女子生徒から人気があった。
「すみません、、、ルーク、また考え事しています?」
「あっ、はい。なんか声をかけても反応しなくて、、、」
グレイは思いっきり空気を吸い込んで、拳を握りしめると、
「おいっ、ルーク!こっちに戻ってこい!」
と叫び、ルークの顔を殴った。グレイの女子生徒からの人気はおっとりな顔をして好戦的な一面が逆にギャップでいいという理由もあったんだった。
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