Episode 10
騎士たちのいる最初の転移した場所に戻ると、すでに天幕が貼られていた。周り一体の木を支障が来さない程度に伐採されている。皆仕事が早いな。だけど、まだ張られていないところもあるみたいだ。騎士たちが忙しく天幕を張ったり、夕飯を作ったりしている。
「じゃあ、ルーク皇太子殿下。また後で。」
「あぁ」
とお互いに手を降る。
長い間魔素に当てられたせいか、呼吸しようにも息苦しい。よく見ると準備をしていて元気そうな周りの騎士たちを見ると中には顔色が悪い人もいる。その人達の中にはぐったりして仲間の肩を借りている人もいて、天幕に入っていく人もいる。天幕にはセインが魔素よけをかけられているから天幕の中にいれば、大丈夫なのだが、、、
そうだ。私の結界魔法なら、、、手を上にかかげて
「防御魔法」
効果が出るまで数時間かかるだろうけど、これでさっきよりかはみんなマシになるかな。
私が何もしないのも気が引けるので何か手伝おうかな。
「手伝いましょうか?」
「えっ、あっ、わー!」
と私が話しかけた騎士は石に躓いて転んでしまった。ついでに持っていた野菜が入っていたかごの中身をすべてひっくり返してしまった。
「大丈夫ですか?!」
転んでしまった女性騎士を起こして、コロコロと転がっていったじゃがいもや玉ねぎを拾う。
「ありがとうございます。」
と女性騎士は汗をかいていて、大きいかごを腕いっぱいに持っている。
「手伝わなくて大丈夫?」
見た目からしてそそっかしい女性騎士は見ていてこっちが怖い。
「大丈夫です!ラファエラ様を手伝わせたなんて上司にバレたら殺されてしまいます!」
「そう、ですか。」
仕方なく私専用の天幕に入る。
やっぱり、天幕の中は息がしやすい。しかも天幕の中は、とてもクワヨギシンの森にいるとは思えないくらいくつろげるスペースが有り、快適すぎて驚いている。ベッドは2人分くらいのスペースが有るもので、広くてふかふかだ。ついでにソファもあるから、家と同じ感じでダラダラしてしまいそう。
すると、、、
「大広間の天幕に集まってくれ。」
と頭の中でルークの声がした。これは、、、音声魔法だね。さすが、ルーク。この魔法は術者から本人の任意の範囲の人たちに本人の声が耳に入るようになる。が、ルークはそれを頭の中で流れるようにしている。魔物たちが大きな音を聞いてこちらを襲撃されないように配慮したのだろう。
私の天幕から大広間の天幕は隣りにあるため、移動しやすくて助かる。そのもう一つ隣にはルークの天幕があるため、大広間の天幕を指輪の所持者の天幕が挟むように配置されていた。
ルークが全体に集合をかけ、天幕の中でも広いところに皆が集合した。
「今日はここまでとして、明日から詳しい調査を始める。明日から過酷になる可能性が高いため、今夜は十分な休息を取ってくれ。また、いくら天幕が張ってあるからと言って外に出すぎると魔素中毒になる可能性もある。気をつけてくれ。では解散だ。」
ルークは常に人前に立つときは威厳のあるオーラを出している。そのおかげか、騎士たちもこれから解散だというのに気が引き締まっている顔つきになった。
集合がかかったときにはまだ天幕が張り終えていなかったらしく、騎士たちがそれを張り終えたのだろうか、インフィルビが私を呼びに来て、
「準備が整いましたので、そろそろ夕食にしましょう」
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