Episode 9
今回は少し短いです。あと、一話前を少し改変しました。
「あのね、ラファ。君の結界魔法は世界一だ。俺達も容易に君の結界魔法を真似することはできない。それこそ、何年もの訓練が必要なくらいね。」
「うそっ」
風が吹いてさぁーっと木々たちが揺れている。
私の使っている結界魔法は魔力がある人なら誰でも使うことのできる魔法だ。私は指輪の所持者だから、魔力量が無尽蔵で他の人よりは結界を張れる範囲が広いだけ。それなら、私以外の指輪の所持者も同じくらいの範囲で同じ結界を張れる。だからこそ、私の魔法は役に立たなくて、無能だと言われるんだから。
ルークのそのきれいなセレストの瞳は私の瞳をしっかりと捉えて
「嘘じゃないよ。例えばさ、今日、何気なく使っていた結界魔法と転移魔法の組み合わせのオリジナル魔法は、魔法理論を詳しく知っていないと魔法を行使するときに人が死んでしまう可能性がある。」
「えっ、私が使っている魔法理論は学園で習うようなものを少し応用しただけよ。ルークは学年首席なんだから、私以上のすごい魔法を行使することもできるでしょ。」
指輪の所持者に選ばれる人は総じて魔法好きな人が多い。無尽蔵な魔力量があることで新しい魔法を構築することが好きで、その生涯でたくさんの魔法を構築する。それこそ中には魔力量が無尽蔵でなければ打てない魔法もある。でも、それ以上に魔力量が通常の人より少し多いぐらいの宮廷魔道士などが行使できる魔法もたくさん生み出してきた。だからこそ、それぞれの属性の指輪の所持者は同じ属性の人から尊敬されている。
ルークが珍しくため息をついて
「あのねぇ〜、君は何もわかっていない。」
「いたっ」
ルークにおでこを弾かれた。再びため息をついた後、
「まぁ、今はいいや。とりあえず、ラファは結界に異常を感じなかったんだよね?」
「うん。特にクワヨギシンは禁止区域だから、何かあったら大きめの音を脳内に鳴らせるようになってるから。」
「えっ。」
クイラーテは信じられないと言わんばかりに目が点になっていた。
「クイラーテ、なんでそんなに驚いているの?」
ルークは一瞬だけ目を細めて眉が上げて、ため息をついた。
「ラファ、普通の人が聞き流せる話じゃないんだよ。これは」
今日は珍しくルークが何回もため息をついている。
「よしっ。俺が聞きたかったことは全部聞いたし、では、戻りましょうか。トスカーナ侯爵令嬢。」
とルークは手を差し伸べてきた。さっきまでお互いに自然体ではなしていたのに、いきなりルークは厳かな空気を漂わせた。それに少し驚きながらも私は
「はいっ!」
とルークの手を強く握りしめた。
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