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五本目 妖精と武器屋


 ライクとレイは聖剣祭の祝賀会を終え、ライクは武器屋に戻るのだか、ライクは少し酔ってしまった為、彼はレイに支えられながら武器屋に戻るのだった。

しかし、戻った武器屋には先客がいた様で……


「いい歳してお酒に飲まれちゃうなんて、いいご身分ね」


「ああ、自分はこれでもここの店主でしてね」


「やっぱり!アナタが店主だったんだ!アナタに話しがあるのだけど、いいかしら?」


とりあえず店のカウンターに座って話すことにした。

レイには帰ってもらっても良いと話をしたがこの件が気になるようで一緒に話す事になった。


「それで君はうちに何を求めて来たのかな?見ての通り、ここは武器屋を営んでいましてね」


「"キミ"じゃ無くて、アタシは名は"リーナ"!"妖精"の"リーナ"よ!まず相手の名を聞いてから、話すのが大人でしょ!」


照明により武器たちが鈍く光る中、リーナは淡い光を身にまといライクやレイの目線よりも少し高い所を浮いている。

後、相手の名を先にを聞くのではなく、自分から先に名乗るのが大人だ。

彼女へのツッコミのつもりだったが、それはすぐに自分へのツッコミへと変わった。


「申し遅れました。自分はコークス武装工房の店主をしている、ライク・コークスと申します。

こちらの彼は冒険者の、レイ・スタンスといいます。」


その彼女の大きさは、手のひらよりも少し大きいだろうか。体長20cmちょっとといったところだ。


「レイ君、彼女は妖精を自称してるけど……妖精ってなんのことだ」


「もしかしてライクさん、小説とか読まないんですか?妖精ってのはですね……」


妖精

森に住まう羽のついた小人のようなもので、森の管理人や森の番人などとも言われている。個体によっては強力な魔法を有する者もいるらしい。


「冒険者の中じゃ、森に迷って助けられた。なんて話も稀にあるんですよ」


「はえー、でもうちの武器屋は魔法関係のアイテムはまだ取り扱って無いんですよ、お待たせてしまって申し訳無いのですが、……ん、待たせた……

そういえば、リーナさん……どうやって店に入ったのですか」


「ふぇ!?へぇー……あ、いやぁー元から開いてましたケド……」


目線を泳がせつつ、フワフワと降りて来る。

リーナはカウンターテーブルの上にペタンと正座してしまった。

きっと、なんらかの妖精パワー!のようなものでも使ったのだろう。勝手な都合で店を空けた自分にも責任が無い訳では無い……話が終わらないのでこの件は不問にしよう。

と、ライク。


その一方、リーナは

自分の腕を鍵穴に突っ込んで無理矢理開けたなんて言えない……そんな泥棒みたいなアタシの姿を人話す訳にはいかない……

彼女には盗人真似をしてまで店に来た理由があった。

それは


「ゴホン……アタシは武器を買いに来たんじゃなくて、この武器屋を手伝いに来てあげたのよ!」


「「???」」


「そしてアタシが今後、ここを手伝う替わりに、アタシをここに住まわせなさい!」


彼女は住まう場所を探していたからだ。


「でもリーナさんは妖精ですよね?もし、ここに住むのだったら、森はどうするんですか?森を守るのが妖精の使命なんじゃないですか?」


「それは!……その……」


突然歯切れが悪くなる……


2人は小さな彼女の声に耳を傾ける。


「……ったの……」


「「ん?」」



「あ、アタシの森が……な、()()()()()()()()()()!!!」



その小さな躯体からは想像もできない様な大きな声だったが、

痛むのは耳ではなく、

胸だった……


皮肉なことに彼女の居場所であったものは先程、宴会会場と化していた。今、ここにいる二人も出席していた……

あの森が彼女の森だったのだろう。


彼女は自身から溢れんとする感情を抑え話を続けた。


「あの森はねアタシともう1人、一緒に住んでた子がいたの……その子はね"エルフ"の女の子でね……」


「"エルフ"があの森に1人で…」


「レイ君はエルフも知ってるのか?物知りなんだな」


「彼らは基本自分の森から出ませんから、普通は家族と一緒にいたりするものなんですけどね。」


エルフ

森に住む少数民族、妖精と似ていて森を守っている。

妖精と違いがあるとすれば、大きな森に集団で住んでいることだ。


「その子がでっかいミノタウロスに襲われて、助けようとしたら、ドーンって……」


「それで森が……」


「うん……」


ライクが突然口を開く


「それじゃ、今までどうやって森で暮らしてきた、モンスターも湧くだろうし」


「いつもはアタシとあの子の魔法があるから問題なかったの、でもあの時は……あの子の魔法は"古代魔法"だったから……」


「古代魔法!?」


「え、古代魔法、なにそれ美味いのか」


「ライクさん知らないんですか!?古代魔法っていったら!……」


古代魔法

現在使われている、魔法の原型となった今は廃れてしまった魔法。昔の記録によると、とても強力な魔法で長い修行を経ても扱える者は一部のみだけだったという。


「その子はその廃れた魔法が使えたのだけど……発動に時間がかかるから、すぐに対応できなくて……」


「その子は無事だったのか」


「うん、無事だったけど、男の人がその子を助けたときの攻撃で一緒に森がなくなっちゃて、これからどうするって聞いたら、その男の人について行くって……"勇者"っていってたわ」


聖剣の勇者に、古代魔法のエルフか

運命のイタズラにしても、森が消える必要はない。


「それでニーナさんは今後どうするの?」


本題を思い出したかのように切り替えるリーナ


「あ、アタシはここで働いてあげてもいいのよ!どうしてもって言うなら……」


「給料出ない代わりに、衣食住は保証する。

どうしてもって言うなら、小遣いくらいはあげてやってもいい」


「……へ?」


「レイ君もいいよね、別に彼女がここに住んでも」


「ここは、ライクさんのお店ですし、僕から異論はありません……」


「んじゃ、そういうことだから、これからよろし……」


「ちょ、ちょっと待ってよ!」


「なんだ、不満でもあるのか」


「いや……勝手に話を進めて、アタシにとってもそんなおいしい条件で……そう!理由よ!理由!!理由がなきゃ怪しいわ!こんな好待遇……」


「理由か、それはな、自分はこの店を1人で経営しているのだけども、1人だけだとやりたいこともあまりできなくてな、ちょうど人手がほしかったからだ」


かつて彼女は自身の森を2人で管理していたが、その管理というのも2人だけでは厳しいものがあった。


「お店をワンオペなんて!アンタ!バカじゃないの!」


「ということなので、うちの店で働いて下さい。よろしくお願いします」


平謝りのようなキレのないお願いだった、

だか彼女にとっては、相手が下手に出たことに悪い気はしなかった。


「しょ、しょうがないわね!仕方がないから、このアタシがこの店で働いてあげる!!」


彼女の新しい森には木は生えてなかった。

しかし、居場所も友人も失った彼女にとってそこは、きっと良い土壌になるだろう。


5話目を読んで頂きありがとうございます。

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