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四本目 勇者と武器屋


 もうすぐ、伝説と商売の街イニウルだ。

レイは聖剣祭に参加すべく、馬車に揺られていた。

今年からは聖剣祭の様式が変わり、勇者様を讃える行進、パレードを行う形に変わった。

例年通りなら、レイは勇者候補として聖剣に触れることになっていただろうが、今年は聖剣祭のパレードの護衛役としての参加だ。


「兄ちゃん、着いたぞ。ようこそイニウルへ!」


イニウルはすごかった。祭りが近いせいか道には露店が出ていて、それを楽しむ人々で溢れている。建物も高く、シュロと比べギラギラしている……


ある日、いつものように冒険者としてギルドに訪れたときだった。突然、受付嬢から聖剣祭という祭りに参加して欲しいと頼まれた。なんせ実力のある冒険者しか参加できない祭りで、護衛役という役割が与えられた。見物客とはわけが違うらしい。


「確か、レイさんはライクさんと仲良かったですよね?」


「はい、あのコークス武装工房のですか?」


「はい、そのライクさんです。ライクさんにもこの事話してくれませんか?そして興味があればギルドに来ていただくように伝えてほしいのですが……」


ライクさんがこの祭りとどんな関係があるのか分からないが、この名誉を1番に話すのはライクさんがいいと思った。


ーーーチリン♪チリン♪


「こんにちわ!」


「レイ君か、いらっしゃい、今日はどんな武器(もの)を?」


「今日はその物についていろいろ報告があります。」


レイはここ最近絶好調だった。


まず、剣のグリップが元の物から変わったことにより剣が扱いやすくなったことだ。別に前の剣に不満があった訳で無かったが、ライクさんからは形になる前にベースが駄目ですまなかったと謝罪があった。


次に、その剣のお陰もあり、冒険者としての成績が伸びていることだ。ついこの間も、冒険者試験を突破し、冒険者ランクが上がったとこだ。


そして最後に、その功績をギルドに認められ、聖剣祭に参加することになったことだ。


「レイ君すごいじゃないか!ついにレイ君も勇者候補か……」


「いやぁ、それが今年からは………」


「あ?様式が変わった?」


声のトーンが一段低くなったライクさんにちょっと、びっくりした……


「………ってギルドの方も言ってましたけど……」


「そっかぁ……でも自分には店があるから、貴重な経験だから聖剣でも拝んできな、」



あのときのライクさんはどこか変だった、確かライクさんは店を出す前、冒険者をしていて資金を貯めていたらしい。何か関係があるのだろうか……


「それより今は聖剣祭だ、シュロに戻ったら聞いてみることにしよー」


レイは背伸びをし、御者に礼を言うのであった。




 聖剣祭は聖剣を抜こうとする祭りから変わった。

護衛役に抜擢されたレイだが、護衛役といっても勇者の後ろをただ歩いてついて行くわけでは無い。

その理由はパレードの行進ルートにある、


イニウルからシュロの間、約120キロ程を4日かけて行進する。パレードといったハッピーな雰囲気はイニウルの街中だけでの話である。イニウルでは勇者様の行進をお見送りするといったところだ。

120キロの途中には森や山があり、もちろんモンスターも出る。そこでの活躍ぶりを勇者様が判断し、旅の終わりに直接、勇者パーティーにスカウトするという流れだ。


すなわち今回の聖剣祭は勇者パーティーへの編入試験という訳だ。不正を防ぐ目的で護衛役の参加者及び、一般の見物客等にこの話は伝えれらていない。

なぜ目的地がシュロなのかというと、あそこの湖と聖剣を作った女神が同じだからというのと、シュロでパーっと呑んでいるときにスカウトするのが1番楽だからだ。


「この剣に出会って1年、長いようで短かったな。まさかこの俺が勇者になるなんて思ってもみなかった……さぁ仲間探しの旅へ出発だ!」


彼の名は "リョウタ・ヤマザキ"

聖剣の主であり、転生者、なんといっても()()である。


聖剣祭の行進が今始まる……




ーーーチリン♪チリン♪


「ライクさん、ただいま!」


「んお、レイ君じゃないか。お帰り!とりあえず腰かけて、聖剣祭どうだったか聞かせてよ」


レイがシュロに戻って来たのは聖剣祭四日目の最終日、まだ日が明るいときだった。

今夜にはギルドが無事に祭りが終えたことを祝う祝賀会が開かれるそうだ。


「聞いてください!勇者様がとにかくすごいんですよ!パレードでは観客に笑顔で手を振っていて、モンスターとの戦闘では常に前線で戦ってくれて、何もかもが眩しかったですよ!」


「ほぇ〜、まぁ聖剣を引っこ抜いた野郎のことはいいからさ、レイ君自身は何か感じたことはあった?」


「それ、勇者様のことですよね……

えー、僕自身は……チームっていいなぁって思いましたよ。」


「というと?」


「自分と同じ護衛役のひとが大体、40人くらいいたんですけど、その人たちと協力してモンスター倒したり、料理したりするのいいなって……」


相当楽しかったのか、遠い思い出を思い返しているような顔をしている。剣を握る前のレイ君を知っているわけではないが、冒険者としての仕事は彼にとって良い影響を与えているようだ。


「確か、ライクさんって冒険者資格持ってましたよね?よかったら今度、一緒に依頼受けませんか?……」


「ああ、最近は依頼あんまり受けてないけど、それでもいいなら休みとか取って……」


「いいんですか!僕ライクさんと一緒に戦ってみたいです!そしたらさっそく予定を……」


       ((ドオォォォォォオンン))


「おお!」

「…………」

腹の底に響くような音が木霊した。驚きのあまりレイは声が出なかった。


「1.5キロくらいだな、レイ君さっそく行ってみないか?」


「さっそく、ですか……」




 コークス武装工房はシュロの端に位置する武器屋だ。そのすぐ隣は小さな草原となっており、その先には森がある。その辺りはシュロでまだ未開発の土地となっている。その森は歩いて行ける程の距離にあるにも関わらず、開発が進む様子はない。理由は単純、森の一部にモンスターの住み家があると考えられているからだ。何か潜んでいるか分からないため、この森の探索クエストは難易度が高めに設定されている。


聖剣祭の最終日、ギルドはシュロに着いたばかりの勇者にこの森の探索を頼むのだった。


「……ということなのですが、引き受けて頂けますでしょうか?報酬も上乗せしますので……」


「勇者として困っている人を見捨てる訳には行かない。是非、俺に任せてください!」


「本当ですか!ありがとうございm」


「ただし!!報酬はいただきません!」


「……え?……いいのですか……?だって高難易度クエストですよ!?」


「いえ、これは俺が個人的にやりたいことなので気にしないでください!」


こうして勇者リョウタ・ヤマザキは未開の森へ向かうのだった。

勇者がクエストを受けると聞いた、聖剣祭の関係で勇者と共にシュロに来た護衛役たちはその役割を終えてもなお、勇者の剣技をもう一度見たいとついて行く者もいた。

勇者のクエストには約20人程が参加した。小型モンスターが数体出てくるくらいだろうと誰もが思い、森に入っていった。

そして森に入ってしばらく、事件が起こる……


「イヤ"!こっち来ないで!!」


「おい!誰が襲われ出るぞ! あれは……

ジャイアントミノタウロス!?……ヤ!ヤバイぞ!」


『ブモ"オ"オ"オオォォォ』


ジャイアントミノタウロス

牛のような頭部をもち二足歩行する大型モンスターだ。実力のある冒険者が3人集まってようやく倒せるような手強いモンスターだ。


声のした方へ目を向けると一人の少女が尻もちをついている、その先にはジャイアントミノタウロスが迫って来ている。

もう時間がない……

この一撃で片付ける!!!

リョウタは聖剣を引き抜く、力を込める。


「セイクリッド……エッジ!!!!」


辺りは眩い聖剣の光に包まれた。


       \\ドオォォォォォオンン//


聖剣の切先から飛んだ斬撃は見事にジャイアントミノタウロスの首に直撃した。


「……わ、私は……助かったの……?」


「君、大丈夫?怪我はない?」


「貴方様は一体……」


近くでその少女の姿をまじまじと見ると金髪に雪のような白い肌、尖った長い耳、彼女は"エルフ"の美しい少女だった。


「俺?俺はリョウタ、勇者リョウタだ!」


「貴方が勇者……勇者リョウタ様……」


そして彼女はその後、勇者パーティーのメンバーとなるのである。




ライクはレイと共に例の森に来た。はずだったが……


「あ"?んだこれ?」


「スゲェだろ?全部、あの勇者リョウタ様がやっちまったんだぜ!」


あの野郎、()()()()()()()()()()()


どうやら、話によると聖剣引っこ抜い太郎は牛さんの解体ショーついでにうっかり森の木を全て伐採してしまったらしい……

直径1キロ程度の森だったが今では見る影もない。

あるのは、切り株とまだ葉のついた横たわった幹のみだ。


「信じられないねぇよぁ!現場で見てた俺だって信じられねぇよ!だってよ、聖剣から魔法みたいに斬撃が飛んでよぉ!そしてな……」


ああ、信じられない。聖剣の持ち主が、世界にたった1本の自分のためだけの剣すらも上手く扱えてないなんて非常にガッカリだ。


これに大喜びしたギルドは祝賀会の会場をこの森の跡地で行うことに決め、勇者の倒したジャイアントミノタウロスの焼肉をすることになった。

行った足で祝賀会に参加できたレイや護衛役たちにとってはラッキーだろうがライクにとっては貴重な森林浴スポットを消されていい気分だった……


皆が切株に座り、焼いたミノタウロス肉と酒を楽しむ。酒が飲めない者はシュロ特産の果物を使ったジュースが振る舞われる。

ライクは全く関係のない者であったが、なぜか同席が認められた。


レイは他の冒険者と共に聖剣祭の思い出を語っているのか、楽しそうだ。

聖剣野郎のことは好かないが、今回の事件はきっと、シュロに良い影響を与えるだろう……

以前は見えなかった星が空に満天だった。



ーーーチリン、チリン、


「着きましたよ、ライクさん、まさかライクさんが飲み過ぎてしまうタイプだなんて思ってもみませんでしたよ」


情け無いことにレイに介抱されるとは……


「ああ、悪い。何せタダ酒だったもので……」


「ああ!あんたがここの主?メッチャ待ったんだけど!どこで何してたの!?」


流石に飲み過ぎた、羽虫が可愛らしい声で話しかけてくる。


「レイ君、もし君が酒を飲むようになったら程々にしておけ、実際俺は今、そこの羽虫が喋ってるように見える。」


「いや、ライクさんこれ……じゃなくて、この方、妖精?ですよ……」


「レディ相手に羽虫って何よ!あんたどんな教育受けてるわけ!?」


「……スゥ……レイ君、チェイ、じゃなくて水持ってきてくれ。」


武器屋は鉄を叩く音で賑やかなものだが、コークス武装工房はまた一段と賑やかになった。


4話目を読んで頂きありがとうございます。

4000字の作品を書くのは初めてなので誤字脱字が多いかもしれません。

今後も少しずつ、シュロの街を賑やかにしたり、武器屋を賑やかにしたりしますので、ご期待ください。

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