全世界の国が「核武装」をしたら世界平和になるのか?
筆者:
本日はこのエッセイを選んでいただき誠に光栄です。
ちなみに僕の小学校の時の「夢」が「世界平和」でした。
今もその想いは全く変わっていません。
どうぞよろしくお願いします。
質問者:
(そこって、夢の職業って意味なんじゃないの!?)
今日は「全世界が核武装すると平和になる」という一見矛盾したような理論ですがいったいどういうロジックがあるのでしょうか?
◇侵略の理由はパワーバランスの崩壊なのは間違いない
筆者:
ここからは全て思考実験なので、実際にどうなるかは分からないのですが、
全世界核武装論者によりますと、ロシアとウクライナの紛争においては
「核兵器を持っていないから侵攻された」という考えがあるんですね。
これは一理ありまして、安全保障においてパワーバランスが崩れているから侵攻などが起きているわけです。
あらゆる国の紛争では、少なからず「お! もしかしたら、やれるかも!」
と、思ったときに侵攻が起きています。
核兵器の有無というのはその中で世界の構図を変えるだけの力を持っています。
質問者:
難しいとは思うんですけど、現状の核保有国がすべて棄てるということは無理なんでしょうか?
筆者:
確率的にはゼロと思ったほうが良いですね。
というのも、
『いっせいのーせ!』で何年何月何日に一気に棄てるという条約が奇跡的に結ばれたとしても。
最後に隠し持っていた国が全世界全てに対してマウントを取ることになるからですね。
そういったリスクを踏まえると今ある核兵器保有国がすべて手放すことは不可能に近いと思います。
質問者:
世界中が核兵器を持って核戦争が起きちゃったりはしないんでしょうか?
筆者:
核武装論者によると、今ですら地球を何回も消滅させるだけの数があるけど大丈夫だということです。
その中にはロシアや中国といった全体主義国家が含まれているにもかかわらず核戦争が起きていないというのが大きな根拠になっています。
質問者:
確かに一理あるような気がしますね……。
筆者:
ただ、ここまで見た中でも「理論の穴」というのが見え隠れします。
というのも、「核戦争が起きていない」とはいってもやはり戦争そのものは無くなっていないのです。
しかも、ウクライナ紛争もそうですが、シリア内戦や東ヨーロッパでの紛争、今回より前のイスラエルとパレスチナの問題などアメリカVSロシア(旧ソ連)の間接的な戦争はずっと起きていました。
つまり、核兵器保有国同士が核を使っていないだけで“代理戦争”は起きているため平和には程遠い状態なのです。
質問者:
なるほど……。
筆者:
しかも、第一次大戦も第二次大戦も開戦前はどこも核兵器を持っていなかったにもかかわらず何千万人の方が犠牲になりました。
一度に一発の核兵器と言う兵器で大量の命が失われないだけであって、
核兵器が全廃されても平和が訪れることは全くないと言っても過言ではありません。
筆者:
また、全体主義国家が核兵器を持っているが使っていないことが根拠の一つとしてありますが、彼らは「究極まで追い詰められてはいない」のです。
自らの命が追い詰められた時にヤケクソになって「全てを吹き飛ばしてやろう」という気にならないとも限りません。
実を言うと世界には全体主義国家と民主主義国家が同じぐらいか、全体主義国家の方が多いとまで言われています。
※定義によるので明確に何か国が独裁国家と数えることは難しいようです。
北朝鮮すら建前上の“選挙”というのは存在します。
全体主義国家の場合はまさしく各発射権限も1人のトップが持っていることが多いので、
その人の意思決定能力が大きく低下したときに、追い詰められると核発射のリスクは上がっていくことになります。
いわゆる「窮鼠猫を嚙む」状態になると何をしてくるか分からないわけですが、
未だにそういう条件が核保有国に揃っていないということです。
質問者:
未だに核戦争が起きていない理由については分かりましたが、
結局のところどういう結論が出るのですか?
筆者:
僕は核兵器の数よりも「核兵器を発射できる権限のスイッチ」を持っている人が増えることで、「核戦争リスク」がより上がっていくと思っています。
よりサイコパスな指導者が核のスイッチを持って追い詰められて「ヤケクソ暴発」する可能性を排除できないからですね。
質問者:
なるほど……。
しかし、核のバランスがそのまま戦力バランスになるかもしれないという話が最初にありましたよね?
この戦力バランスに関してはどうやったら埋めればいいのでしょうか?
◇核非保有国の在り方
筆者:
一つの選択肢としては「100%履行性が担保されている“核の傘“」と言うのがあると思います。
今までの日本がこれにあたったと思います。
アメリカでは核兵器発射の権限こそはアメリカ大統領が持っていますが、“確認“として何人かを介していますので”核暴発“の可能性は大きく下がっています。
ただここで注意しなくて行けないのは
今の日本がそうであるように”表面上の“平和である可能性があるということです。
核の傘に入れてもらっている国側が核の傘を持っている国に完全従属国になってしまうのです。
話は少し逸れますが、農業生産力確保と自主防衛力をある程度持っていないと従属国の状態が続いていくでしょう。
質問者:
確かに……。
筆者:
さらに、核の傘の「100%履行性」というのはかなり難しいんです。
核兵器を撃った経験があるのはアメリカだけで、核兵器が落とされたことがあるのは日本だけと言うのが事実です。
更に「核の傘」と言う核を持っていない国が核を撃たれて、「核の傘を持っている国」が核反撃するという先例はゼロです。
そうなると“どうなるか分からない”と言うのが事実なのです。
質問者:
確かにそうですね……。
筆者:
また、「核兵器無効化」の技術についても注目されています。
特別ここで取り上げたいことは、
22年ごろからレールガンの開発を日本の自衛隊は重点的に進めています。
これは核兵器を搭載する極超音速兵器を打ち落とすこともゆくゆくは可能だということです。
この技術開発には日本の素材が活きる可能性が高く、
世界に先駆ける技術になる可能性が高いと見込まれています。
質問者:
その技術があれば“核の恫喝”などに対抗できそうでとてもいいですね。
核を迎撃しても打った事実は変わりないですから、打った方の国際的信用はガタおちですから、核兵器そのものを持つより安全で抑止力になりそうですね。
◇「核の議論」以外の重要なポイント
筆者:
そうなんです。これに僕は大きく期待していますね。
しかし、日本の国防について核兵器、核の傘の有無についての議論や核兵器を打ち消すレールガンも必要だとは思いますがもっと大切なことがあると思っています。
あらゆる意味において海外から攻め込ませない、
「舐められない国」になることが大事になるんだと思います。
例えばですね、「ドラえもん」に出てくるのび太君はドラえもんというヒミツ道具を持つ、最強の友達が自宅に一緒に住んでいます。
しかし、それでもジャイアンやスネ夫に舐められまくっています。
つまり、どんな兵器を持っているかと言うことも大事だとは思うんですけど、
“相手の行動に対してどういう対応”をするかがカギになってくると思うんです。
質問者:
例えばどういうことなんでしょうか?
筆者:
今の日本で起きた出来事で言いますと、2018年に起きた韓国からレーザー照射事件というものがあります。
レーザーを照射しただけで何もありませんでしたが、この案件は宣戦布告と取られても仕方ない事件でした。
韓国は核兵器を持っていませんが結局のところ日本は追及しきることはできず、
23年6月には協議をすることを辞めました。
最低でも、照射した当事者と当時の防衛担当の大臣の説明と謝罪ぐらいはしてくれないとお話にもならない案件ですが何も引き出すことが出来ませんでした。
このように“対等な間柄”ですらまともな交渉をすることが出来ず相手の失態を追及しきれない「外交の大敗」というべき事件だったと思います。
「ドラえもん」の話に戻るなら、のび太君はヒミツ道具を活用してジャイアンたちに対してイジメをしてこないように不可逆的に力を行使するなどの必要があるのです。
質問者:
なるほど、今の日本の課題は兵器の有無とは別に外交交渉能力が根本的に無いということですね……。
筆者:
尖閣諸島沖での中国の「実質的侵略行為」などに対してや北朝鮮の弾道ミサイルなどに対しても“遺憾の意”で終わってしまう状態です。
世界の軍事力ランキングでは海外のシンクタンクの試算で日本は大体5位か6位ぐらいには位置しています。
それにも関わらず周辺国にここまで舐められまくっているのは、
「遺憾の意でどうせ終わるだろう」と、周辺国もタカをくくっているからだと思いますね。
問題は核武装をしてもしなくても“海外に舐められないだけの外交力”を構築することだと思うんですね。
質問者:
強く言えないのはどうしてなんでしょうか?
筆者:
一つは歴史的背景があると思います。
特に国連は“第二次大戦の戦勝国連合”という要素から戦後80年近く経っても未だに変わっていません。
今では第二次大戦について当時を知る方はほとんど亡くなっており、
政治家に関しては当時のことを決断した人間は完全に入れ替わっています。
国連憲章にある敵国条項(第53条、第107条)について撤廃することをもっと強く言うべきだと思います。
敵国条項は空文化しているという話もありますが、
空文化しているならしているで、廃止するように推進するべきです。
さもなくば、いざという時に中国やロシアが敵国条項を“活用”して日本に対して“正当な宣戦布告“をしてきかねないからです。
ロシアがウクライナに侵攻を開始した際にも「大義名分」が一番大事でした。
多少は本当であることを誇張させることが彼らの得意技なのです。
時折、インド太平洋やアフリカ諸国への支援の際に「常任理事国入り」などというワードが躍ることがありますが、それよりも「敵国条項削除」の方が侵攻防止のためには遥かに大事なのです。
質問者:
おっしゃる通り、いまだに第二次大戦の敗戦を引きずっている要素が強すぎますよね。
筆者:
また、日本に必要なのは国防だけではなく農業生産力、資源調達能力、人口石油などの開発を進めていく必要があると思います。
農作物や資源を他国に依存しない状況が“真の独立国”に向けて必須なことだと感じています。
質問者:
それが素直にいかないところが根深いところですよね……。
筆者:
ただ、チャンスは来る可能性はあると思っています。
アメリカが「世界の警察」を辞めつつある状況から日本に対しても「第二の真独立」を迫る状況が来るのではないかと思っています。
その瞬間に日本が「第二の真独立」をするための道筋を立てることが大事になります。
しかし、今の状況ではなかなか難しいです。
だって政府がやる気があるように見えませんからね
「ドラえもん」や「ヒミツ道具」を活かしていませんからね。
質問者:
確かにアメリカが強い時代にもっと利用していくべきでしたよね。
筆者:
特に敵国条項撤廃については議論に上がることすらなく国民の関心度は低いです。
知っている方からどんどんと声を上げていく必要があるという風に感じます。
ということでここまでご覧いただきありがとうございました。
今回は全世界が核兵器を持つことにはあまり意味がなく、
むしろ“発射できるスイッチ”を持つ独裁者が増えることから核戦争のリスクが上がるのでは? ということがまず1点。
日本には「やられた」時に対応が「遺憾の意」しかないことが最大の問題ではないか?
敵国条項廃止など真の意味での第二次大戦の清算を行う必要がある。
ということをお伝えさせていただきました。
今後もこのような政治・経済、マスコミの問題点について個人的な解説を行っていきますのでどうぞご覧ください。