メングラッド帰還
一騎討ちにメングラッドが勝利したことでセプテム城は沸き返った。
決闘の行方を固唾をのんで見守っていた騎士団員たちは総出で出迎える。
真っ先に駆け寄ったのはハイジーだ。
「うわああああんメングラッドー。無事で良かったああああ」
「なんだよお前オレが負けると思ってたのか?」
「信じてた、信じてたけどお。心配だったからあ」
メングラッドを抱きしめてわんわん泣くハイジー。決して小柄ではないメングラッドだが、ハイジーに抱えられると大人と子供のように見える。
続いてリフィアがそばにやってくる。
「まったく、無茶し過ぎよ」
「なんだよ、勝ったからいいだろう? もっと褒めていいんだぜ」
「調子に乗らない。エイルがすごい心配してたんだからね」
「わかったわかった。悪かったよ」
「もう……」
そこで、表情をゆるめたリフィアがメングラッドに顔を寄せる
「でも、魔王軍の将軍に勝つなんて本当にすごいわ。認めてあげる」
「なんだよ嫌に素直じゃねえか」
「うるさいわね。そっちこそ素直に受け取りなさい」
「へいへい、……ありがとな」
「ふん」
そのまま他の騎士団員からももみくちゃにされるメングラッド。
最後にやってきたのはエイルだ。
「メングラッド〜〜」
「よ、見てたかよ団長サマ」
「すっごい強くてかっこよかったよ! 無事に戻ってきてくれてよかった〜〜〜〜!」
「なんだよ泣いてんのかお前、オレが負けるはずねえだろ」
「うううう、そうだけど、やっぱり心配だったから」
「まったくこの団長は……」
メングラッドがそこでふと、やさしい目つきになる。
「心配させて悪かったな。お前の騎士はちゃんとここにいるぜ」
「メングラッド〜〜〜〜〜〜っ」
「ああもう情けねえ顔すんな。団長なんだぞ」
「うううう〜〜〜っ」
危うい戦いだったが、メングラッドは勝った。この日の勝利はセプテム城と魔王軍両陣営に大きな士気の違いをもたらした。
この一騎討ちによって、戦いは大きく騎士団有利へと傾いていく。