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お題シリーズ

竜への供物

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2021/03/20





 人と竜が共存する世界で、竜は絶体の強者だった。


 だから、力の弱い人は、竜の機嫌をそこねないようにただ息をひそめて隠れ住んでいた。





 小さな村を水浸しにするような天気が連続している。


 雨がずっと降り続いていた。


 ここ最近ずっとだ。


 それは、まるで竜神様の涙のようだった。


 村の中では、最近ある事が噂になっている。


 村の付近で竜の死骸が見つかったらしい。


 大急ぎで処理が進んでいる、と。


 死骸から疫病が発生する可能性があるため、歴史学者や研究者を呼ぶ間もない。


 竜の骸は、燃えつきるまでに三日かかかったらしい。


 最後には、灰になった竜の肉体と、焦げてすすけた骨だけが回収された。





 雨はやまない。

 

 だから人々は、みな同じ噂をしていた。


 竜はめったに人の前に姿を現さない。


 人と竜は互いに不干渉。


 きっちりと生活圏を分けているからだ。


 竜の亡骸ですら、見た事が無い。


 だから、人々は雨と竜の存在を関連付けたのだろう。


 人間がなにか、偉大な竜に恐れ多い事をした。

 

 それで、神様が怒ったに違いない。


 自然と人々は、ご機嫌取りをするように、竜に見合う供物を探し始めた。





 一方、竜はというと。


 人々の、見当はずれの行いに迷惑していた。


 ひっそり隠れ住んでいた人々が、竜の近くをうろつく事が多くなったからだ。


 雨がやまないのは、定期的に訪れる異常気象が原因だ。


 竜の亡骸がその時期そこにあったのはただの偶然で、人が竜に何かをしたわけでもない。


 しかし、竜は人に話しかける事が出来ない。


 人々の考えている事を読み取る事ができても、人が操る言語を使いこなす事はできなかったのだ。


 そして、誤解は誤解のまま広がっていった。


 竜のかんにさわった人が、その竜に殺されて、そしてどんどん膨らんでいく。


 竜達はもはや、誤解を解くことをあきらめ、人々の行いをただ静かに見守るのみになった。



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