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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

シタイな私とホネな貴方

設定がまとまらない。長いこと執筆中の欄に置きっ放し。供養のために投稿します。

シタイな私とホネな貴方

Q:私、 ビナザ・レウシー伯爵令嬢はどれくらい土の下にいるのでしょうか。


A:少なくとも1年以上


一人問答をやってみましたがやはりつまらないですわ。

土の中は私と、ときどき私の体をミチミチと蝕むムシたちぐらいしかいません。

つまりは、このままつまらないと狂死しそうだと私自身は思っています。もう、


死んでいますが。


どこかわかりませんが、ここに埋められた時のことを思い出すと今でも腹が立ちます。


私は幼馴染みのレニーちゃんと二人で風紀室の掃除で出たゴミを捨てにいく途中、レニーちゃんと私は殺されました。


レニーちゃんと私はのほほんとゴミ捨て場に歩きながら話していました。

「ふーこれが最後のゴミ袋だから、これ捨てたらジュース買いましょう。風紀室のみんなには別に用意しているから内緒ですよ。」

「え!やった。ビナちゃん!」

と言って私に抱きつきます。レニーちゃんは騎士見習いをしているため他の女子より力が強いです。

「ちょっと苦しいですよ。」

「ごめんごめん。」


そんなじゃれ合いをしながら、のんびりと歩いていました。


ゴミ捨て場は、学園の校舎の裏側の林の入り口にあり、あまり人気がありません。


もう少しでゴミ捨て場というところで少しおかしい事に気がつきました。


小鳥やリスの鳴き声が聞こえてこないのです。

いつもなら少しうるさいくらいに鳴いているのにその日に限って、静かでした。少し変だなと思いながらも、それを無視していきました。


「よっと、これでおっしまい!」

「ふう、終わりました。さあジュース」


ガサガサ、と近くの茂みが揺れた。

「ビナちゃん、あたしの後ろに下がって」

レニーちゃんは私の手を引っ張り、隠します。レニーちゃんは腰に下げた模擬刀を握ります。しばらく、レニーちゃんの背中越しに茂みを睨んでいると、出てきたのはリスでした。


私もレニーちゃんも安心しました。ですが、次の瞬間、目の前にいたリスが消え、何かがすごい速さで、レニーちゃんに向かって飛んできます。


レニーちゃんは紙一重でそれを避け、何かが飛んできた方向に構えます。


そこには髪がボサボサした薄汚れた女子生徒の姿がありました。その女子生徒は私たちのことを睨みつけながら何かぶつぶつ言いました。どこかで見たことがあるような、そう思いました。


「ああ、んたたち、の所為で」

彼女はどこか調子が外れた高い声で言いましました。

その声で、私とレニーちゃんは彼女の正体に気づきました。


彼女は


2週間前に教師と生徒相手に傷害を起こし、退学になったメルデア・バロル男爵令嬢だと。


なぜ、どうしてここに居る。彼女はここから遠く離れたゴクロウ修道院に入れられたはず。


嫌な汗がダラダラと流れ、レニーちゃんも同じように震えていました。


私たち、いや学園全体の生徒、教師にとってバロル男爵令嬢は災厄の生徒です。


彼女が入学して三ヶ月間、学園は荒れ、風紀委員長を務めている私と副委員長のレニーちゃんはほぼ毎日くる彼女の苦情に頭を抱えていました。


最初の一ヶ月目に彼女は、嫌がる婚約者持ちの男子生徒にその婚約者の女性の陰口を延々と書き連ねた手紙を渡すなど、明らかにおかしい舞いをし続け、それを注意する一年生の女子風紀委員を残して、彼女に誰も話しかけないようになりました。


二ヶ月目からなぜか注意しに行った一年生の女子風紀委員のメンバーが一人、また一人と原因かわからない体調不良で倒れ始め、実家に返され、一年生のメンバーが男子を残して半数に減りました。このことは

[バロル男爵令嬢の呪い]と呼ばれます。そして、その頃から風紀委員会の2年メンバーで私の従兄弟のジョンくんや、生徒会でなんらかの役職に就いている生徒たちに付きまといはじめ、休みの日でも追いかけるという異常な行動をして外出証の剥奪と彼らに近づいくことを禁止させました。


三ヶ月目、というか二週間前についに事件が起こりました。


その時に色々ありましたの詳細は省きますが簡単に言うと風紀委員会の顧問の先生と私とレニーちゃん含め風紀委員会の三年生のメンバー8人、二年生のジョンくん、そして生徒会の人たち5人、計15人が彼女の魔法によって重軽傷を負いました。その後、私たちの身に起ったことは

[バロル事件]と呼ばれることになります。

学園側は彼女に退学を言い渡し、彼女は父親の男爵にその異常性からゴクロウ修道院に入れられたはずだったのに。


「あんたたちのセイで」


そう言って魔力を体の周りにグルグルとつむじ風のようにして渦を巻きながら、

私たちに近づいてきます。こちらは二対一で一見有利そうに見えます。ですが向こうは魔力持っています。対して私とレニーちゃんは魔力なし。その上、レニーちゃんが持っている模擬刀以外、武器と言えるものはありません。


するとレニーちゃんを見ていた彼女は私を睨んで血走った目をギラギラさせています。

「あんたのセイで!」

何を私のせいにされているかはわかりません。なんとなく彼女が私たちのせいにしている物事の大半は彼女の自業自得のような気がします。


彼女は獣じみた走りかたで、私の方に来ます。こっちに来るとは思っていなかったので、足がすくんでしまいます。


ですが、彼女が私の方に来る前にレニーちゃんが彼女のお腹を模擬刀で力一杯叩き、彼女を地面に叩きつけます。そのせいでしょうか、模擬刀はくの字に折れ曲がりもう使い物になりそうにありません。

「何をビナちゃんが貴女に何をしたっていうの!」

レニーちゃんは彼女を睨みます。

模擬刀が曲がるほどの力で叩かれたせいでしょうか。彼女はそこにうずくまり、唸っています。


レニーちゃんは私に向き直り私の手を引っ張ります。ガタガタ震えがら、私の手をそっと握ります。

「ビナちゃん、早く、行こう。早く、」

そう言いかけたとき、ザクッと何か硬いものが切れた様な音が近くで聞こえます。


そこらからのことは今でも思い出すと、ボンヤリと霞がかかったような白昼夢を見ているような感覚になります。


レニーちゃんの首には赤い筋ができ、そこからレニーちゃんの首が取れて、私の足元に転がって、叫んで、お腹を斬られて、頭を踏みつけられて、埋められて


今に至ります。


お腹を斬られた時点で私は致命傷を負っていて挙句土に埋められたので確実に死んでいるはずなのに、何故かこうしているんですよ。

いやになってきますよ。


私は人のために生きて天寿を全うし、

天国で待っているであろうパパやママ、

そして、




スケルさんに会いたかったのに、




何故か最近スケルさんのことがチラチラと思い出せます。


スケルさんは、パパと同じネクロマンサーでちょっと変わった人で私の婚約者でした。


スケルさんは私が6歳の時に、パパが連れてきました。ママはスケルさんを見て、パパとちょっと喧嘩になりましたが、パパが浮気してできた子という誤解を解いて、パパはこの子はウチで暮らすんだよ。と私に紹介しました。ママは、ほんと私の旦那さんは変わった人だわと笑いながら、スケルさんの頭を撫でていました。


ですが4年前に起こった戦争で、パパとともに帰らぬ人となり、パパを失ったママは倒れそのまま天に召され、私は親も愛した婚約者も失いました。


人のために生きて、死んだら天国に行く。そう自分自身に目標を立てて生きていました。


ですが、あのバロルが、あのバロルが、ことごとくそれを壊しました。


このまま、私は誰にも見つからず、天国に行くことができず、土に還っていくのでしょうか。



『ビナ!どこにいるんだい!』

何故か遠くでスケルさんの声が聞こえ思わず、えっ、となりました。私はついに気が狂って幻聴でも聞こえ始めたのかと思いました。

ですが、


『聞こえているなら、返事してくれ。

ビナ!」


今度はかなり近くで聞こえます。


返事をしたくても、お腹と口に力が入りません。ですが、入らない力を振り絞り、声を出します。


ここにいます。スケルさん!


そう思いながら出でた声は「あ、う、あ」と情け無い小さな言葉にならない声でした。これではスケルさんが気づかずに言ってしまう。


そう思ったその時、


ザクリ、ザクリと私の近くの土を掘る音が聞こえて少しずつ私に覆いかぶさっていた土が軽くなって行く気がします。

そして、

「ビナ!」

土から掘り起こされた私はやたら硬い腕の中で、抱きしめられました。

私は目開いて抱きしめている人を見ます。


真っ白な骨で私を抱きしめながら、ポッカリと空いた黒い眼孔のどこから出しているかわからない涙が真っ白な肉のない骨だけの頰を伝って私の肩を濡らします。大分見た目が変わってしまいましたけど髪に結ばれたリボンで分かりました。


「あうあー」

スケルさん!


2


「あうあー」(スケルさん!)

ああ、ビナが僕の腕の中にいる。

ところどころ虫に食われていたり、お腹の部分がぐちゃぐちゃにされているけれど僕の腕の中にいるのはビナだ。

「あうーああう!」(え、これ夢じゃないですよね!)

そう言って、骨が少し見えかけた手で僕の頰を触る。

「夢じゃないから。ごめんよ、今まで会えなくて」

彼女の柔らかな肉のある頰を僕の硬い骨の手で優しく撫でた。

やっと、やっとビナのところへ帰れた。





9年前、僕は18歳で、戦争にネクロマンサーとして、ビナのお父さんである師匠と駆り出されていた。


半年続いた戦争がお互いの国に平和協定を結ぶことで終結し、師匠と喜んで浮かれていた僕と師匠は殺された。



「師匠、やっと家に帰れますね。」

僕は師匠に声をかけた。

「そうだな、私も君も約束が守れて何よりだ。」


師匠と交わした約束はこの戦争から生きて家に帰ること。


ただ一つそれだけだ。

僕はビナから借りたリボンをギュッと握りながら呟く。

「ビナ、やっと君に会える。」

「なんだ、やっぱり、君はビナか。

チヨラに似て真面目すぎるあいつのどこがいいんだか。」

とからかうような口調で僕の肩を叩きながら言った。

「そういう師匠だって早く、チヨラさんに会いたいのでしょう。」

と奥さんのチヨラさんのことで言い返したら、師匠は顔を赤くして

「まあ、そうだな、そうだ。」

と左腕につけているチヨラさんから借りたブレスレットをかちゃかちゃと触る。

「しかし、夜道を歩いていた私を襲ってきた子どもが私の弟子になって私の娘といい仲になるとは思ってなかったぞ。」

いつもの出会った時ネタでニヤニヤと笑いながら言い返された。

「いつまで、それでいじるんですか。それなら僕は師匠が寝る前に、チヨラさんの名前を言ってから寝たことチヨラさんに言いますよ。」

「ぐっ、おまえも口が達者になりおって」

「当たり前でしょう。口が達者な師匠の側にいたら移ったんです。」



そう、戦場にある水場から野営地の帰りを話しながら歩いていた。



「は、死霊魔法を使う奴らは陰気くさいな。いや死体くさいか。」

「ほんと、いやだわ、ネクロマンサーがここにいるなんて。」

騎士の男女二人がすれ違いざまに二人は言った。




僕は一瞬何を言われたのかわからなかったが横で師匠は顔を下に向けた。


なんの反応もしなかったことが気に食わなかったのか男の方がすぐ後ろで


「だいたい、死霊魔法なんざ、戦争の時ぐらいしか役に立たないクソみたいな魔法だしぃ。そんなのを極めた奴とその弟子の気が違っているに違いない。」

「そうね!気が狂っているに違いないわ!」

今度は明らかに僕たちに聞こえるようにゲラゲラと笑いながら、水場にむかった。


「スケル気にするな。馬鹿かあいつら、死霊魔法がなかったら敵兵以外にアンデットと戦わなくてはいけなくなるのに。」

と僕の横で彼らの後ろ姿を睨みつけながら、師匠は小声で言った。


そのことを同じテントのネクロマンサーや聖兵、騎士に愚痴のつもりで話したら、僕ら以外にも言われた人たちがいた。

どうも、その二人はオレッエ・アロルとマリナ・アロルという兄妹で騎士団に所属していて悪い意味で有名らしい。


「あの二人が死霊に襲われても、助ける気はさらさらない。あいつら、陣の外に出るなっていったのに出てアンデットに襲われて怪我したのをネクロマンサーのせいにしたから。」

とネクロマンサーの一人が言い、


「団長からの命令で今度あの二人に渡す聖水の量減らすつもり。ここだけの話、自分は入れるの半分以下の量にするつもりだけど。あいつら、勝手にうちの騎士団の剣や盾持ち出して壊した挙句謝りもしなかったから団長相当切れていたよ。」

と聖兵団の一人が言い


「あの二人?ああ知ってる。兄の方は逃げてばかりだし、妹の方は平民出身の奴をいじめてやめさせたって噂があるし、正直騎士団やめてほしい。」

と騎士団の一人が言った。


僕たちには言うだけだったが中には作業の邪魔や道具を壊された人もいるらしい。アロル兄妹は他のネクロマンサーたちや、教会の聖兵団、同じ騎士団にも相当嫌われている。僕も、もう会いたくないなと思った。



それから3日後僕たちは、野営地のテントを片付けていた時に野営地の端で一体のゾンビが出たと知らせが入った。

何人かのネクロマンサーたちは野営地の外に出払っているので、 休憩をしていた僕と師匠は案内されて出たと言われる場所に行く。



「こっちです。」

その騎士は僕らを野営地の近くにあった雑木林へ案内した。腐敗が進んだゾンビを見てしまい、ビビったのだろうか案内している騎士の声が震えていた。



「ここです。」


しかしそこには少し開けた原っぱしかなく、そこにゾンビ独特の匂いも残ってなかった。


どうゆうことだ。次の瞬間。

「危ない!」

横にいた師匠が僕を突き飛ばし、突き飛ばされた勢いで僕は転ける。

「痛って、師匠いきなり何、」

師匠に文句を言おうとして絶句した。


僕を突き飛ばした師匠の左腕はなくなっていた。

「ぐっ」

師匠は倒れその場うずくまる。

「師匠!」

「来るな。逃げろ!」

と師匠が叫ぶ。そうしている間にも師匠の周りが赤く染まる。

なにが起こっているんだよ。師匠。

呆然としている僕をよそに僕たちを案内した騎士はだれかを探している。


「連れてきました!だから返してください!」

と大声で誰かに話しかけている。話しかけている方向を見るとそこにはなぜか3日前にすれ違ったアロル兄妹が、嫌な笑みを浮かべながら立っていた。

まさかこいつらが師匠を、


「ああ、こいつだ。ほらよ。約束通り返す。」

その騎士に向かってアロルの兄の方、オレッエが何かを投げ渡した。

それは女物のブローチだった。それを受け取ったその騎士は安心した表情になったが、それはすぐに掻き消された。


「これ以上おにぃさまと話すな。」

「なんで、」

その騎士は、短剣を持ったアロルの妹の方、マリナによって首を搔き切られ辺りに血を撒き散らして倒れる。


「おにぃさま、このネクロマンサーをやっちゃえば、おにぃさまは幸せになるんですよね。」

マリナは場違いな甘ったるい声を出しながらオレッエに聞いた。

「そうだ。マリナがこのネクロマンサーたちを殺してくれたら俺は幸せになるんだ。」

「わーい。じゃあマリナ頑張りますぅ。おにぃさまの幸せはマリナの幸せですから。」


目の前で気味がわるい会話が繰り広げられている。もうわけがわからない、ただわかることはこの目の前にいるアロル兄妹が僕たちを殺す為に人を脅して、ここに連れてきたということだ。


オレッエとマリナは僕の方を見る。

二人の目はギラギラしていて、気持ちが悪く、いっそゾンビやレイスのようなアンデットの目が綺麗と思えるほどに気持ち悪い。


「おにぃさまの幸せのために死ね。」

マリナはそう言いながら僕に斬りかかってくる。彼女は風魔法を使っているらしく、普通じゃありえない速さで近づてくる。


ギリギリのところで避けるが斬撃によって、自分の後ろにあった木々がバキバキと音を立てながら倒れ土埃が舞う。

「いっ」

いくら風魔法使っているからって短剣から繰り出された斬撃で木が倒れるものなのか。

「逃げるな。」

マリナは土埃の中から飛び出してきて再び僕を狙う。

彼女はさっきと同じように風魔法で自分の速さを上げ僕に近づいてくる。

それをギリギリまで待って避ける。

彼女の斬撃は真っ直ぐだからギリギリまで待って避ければなんとかなるが、


何回もそれを繰り返しているうちに僕に限界が来始めた。


ビッ

斬撃が頰に掠った。



「見て見ておにぃさま。マリナはネクロマンサー切っちゃった。」

「そうだね、すごいすごい」

「えへへ、もうちょっとです。」

マリナはオレッエと話しながらも僕に斬撃を繰り出す。なんで彼女は疲れない。あれだけ魔法を使いながらも、斬撃を僕に向けて飛ばしているのに。正直僕の限界も近い。僕自身は生きたいと願っているが、体が諦め始めたのだ。


マリナが斬撃を僕に向けて飛ばす。避けなければと思うが、体が言うことを聞かない。


ザクッ

斬撃が右足に当たった。


そこから、右足の感覚がなくなって僕は地面に頭をぶつけた。その僕を殺そうとマリナが僕に短剣を振り上げる。

「お前たちは!何の為に僕を殺そうとするんだ!」

僕は二人に問いかける。


オレッエはそんな僕を見てゲラゲラと笑う。

「お前にいうことはない。ただあるとしたらお前たちがいると邪魔だ。」

「おにぃさまの幸せはマリナのしあわせなのですぅ。」



「「さっさと死ね。」」


そういって僕に短剣をザクザク突き刺して僕は殺された。


僕は自分が情けなかった。

師匠、チヨラさん、そしてビナを置いて逝ってしまったことが情けなかった。


遠くの方で声が聞こえる。師匠の声だ。

『スケル、弟子の、お前がさ、師匠の私より先に、逝くなよ。』

師匠は怒ったような声で死んでいる僕に話しかけている。

『罰と、して。』

弟子になったばかりの頃、わざと作業の邪魔したりいたずらをした時によく言われたことをひさびさに聞いて懐かしいと思った。

ごめん師匠、僕は死んでしまったからもう。

『お前には、アンデットとして蘇ってもらいます。』


はっ?ちょっと待って、それって人為的にアンデットをつくってはいけないって師匠、僕にきつく言ってましたよね!


『幸いにも、この辺には、私の血やお前の血が散らばっている。』


いや、ちょっとほんと待ってよく考えてシッショッウ。


『お前がいつどんなアンデットなるかよくわからないけど、私はもうすぐ血が出過ぎて死ぬけど、私より先に死んだ罰として、お前は


アンデットとして復活しやがれ。』


そういうと師匠は呪文を唱え始め、僕の意識は薄れてなんとなく体戻っていくような感覚がした。





そして気が着いた時、


僕は


スケルトンになっていた。



「あうあ、あーう。」(会えて、良かった。)

ビナは泣きながら、言う。

「僕もだよ。君を探し続けてよかった。」

ほんと見つけられて良かった。


なんで死んで森の奥の荒れ果てた修道院跡の墓地にこんなにも深く埋められてしまったのかは、後で聞くとしてここから早く離れた方がいい。

「ビナ、急いでここを離れよう。」

「あーあ?」(どうして?)

「どーしても、理由は後で話すよ。」

ビナを抱えて、その墓地から急いで離れた。


このゾンビとスケルトン

のちに

「死体の聖女」と「骨の聖人」

と呼ばれ、あちらこちらに伝説を残すとは、二人を含めて誰も思っていなかったでしょう。




彼らが居なくなってしばらくのこと、


「ここの墓も掘り返されています!」

「レウシー副班長!こっちのにまだ新しいものがあります。」

「近くにいるはずだ。見つけたら、俺に連絡しろ。ちっ、なんでこんなにも荒れていたのに上の奴らは放置した!森に逃げたアンデットはネクロマンサーと一緒に対応して、まだ土に埋まっているやつは上から聖水ぶっかけろ。」

俺は部下たちに指示を出した。ここは、5年前までは普通の修道院だったが、ある殺害事件が起こり、外から死霊魔法と聖魔法を掛け、封鎖された修道院だ。しかし1年前からちらほらと近所の住民からアンデットを見たという情報が入り、俺たちがきたというわけだ。


「ゴクロウ修道院ってやっぱあれですよね。あの有名な殺人姫が閉じ込められていて、初めて人を殺し、そしてにげたって。」

「今、そんなこと言わないで!私たちからしたらいつも相手しているアンデットなんかよりずっと怖いのは生きている人間なんだから!」

「それで、その殺人姫がたまに来るって。」

「ぎゃー、もうほんと怖いこと言うなー!ジョンさん。こいつが私のこといじめるー」

とじゃれあってる部下の一人が俺の方を見る。

「おまえもいちいち怖がるから、こいつが調子乗るの。だいたいふざけてないで二人ともさっさと聖水ぶっかけろ。これは任務だ。

返事は?」

と二人に向かって言った。

二人とも背筋を伸ばし、

「「教会の名の下に任務を遂行してまいります。」」

と言った後に二人は、聖水を持って走っていった。


「ゴクロウ修道院にまさか当てられるとは思ってもいなかったな。」

ビナザ姉さんとレネシアさんを殺したあの女がいた場所に来るなんて思ってもいなかったな。



『こちら、班長。レウシー副班長、森の西に20体のレイスを見つけた。応援頼む。』


耳にかけているイヤーカフから連絡が入る。

今はそんな思いに浸っている場合じゃない早く任務をしなければ。


「わかりました。今行きます。」



読了ありがとうございました!

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