群れをなす狼たち
翌日…
「おはようございます」
「おはよう」
「おはよう…」
「で、今日も移動ですよね?」
「まだ歩くのぉ…」
「そうだが…まぁ…頑張ろう」
「そんなぁ〜」
「フューリアさん…辛い気持ちは分かります…」
◇ ◇ ◇
「きゅ…休憩」
「私も…」
「体力がないな…お前ら…」
ガササッ!
「!」
「え?!敵!」
フューリアは後退り、レマは弓を取り出し
キリリ…
レマはまだ見えない標的を狙う…
ガサッ
ギュロォォ!
狼のような魔物が飛び出した
ピュッ
レマの放った水の矢は素直な弾道を描き…
トスッ
キャガァァ…
狼の胸元に矢が刺さり、痛々しい悲鳴が響く…
「よ…よかった…」
「…不自然です」
「な…何が?」
「このタイプの魔物は集団行動が基本のはず…」
「ならここから動いた方が…」
「いえ…もう遅いようです…耳を覚ましてください…」
ダダダダダ…
猛然と迫る足音…
「フューリアさん、これ貸すので援護を」
とレマがフューリアに渡したのは一丁の拳銃。
「え!?」
「予備の弾は無いので気をつけてください」
「ちょ…ちょっと!」
「今回は一回りヤバそうだな…」
「ですね」
「ヘルメアさん!アレを!」
「わかった!」
「ドリィアッ!」
ヘルメアは地面を剣で叩きつける
「ボフォーブン!」
ヘルメアによって飛び散った土をレマが魔法で固定する、フューリアの混乱は言うまでもない
「バリケードはできました!後はフューリアさんは僕たちの取りこぼしを打って下さい!」
「え!…でも…!」
「フューリア、私とレマだけじゃこいつらを止めるのは難しい、頼む…」
「…分かったわ…こんな所で犬死になんて嫌よ!」
「そのいきですよ、あとそろそろ来ます」
ダダダダダッ!グオォ!
そうこうしているうちに狼の魔物が濁流の如く押し寄せてきた
グガガガッ
しかし魔物の群れはレマのバリケードに引っかかり大渋滞を起こす
ビシュッ!ダスッ!パァンッ!
その隙に三人は攻撃を加え着々と数を減らしてゆく…しかし…
「レマ!弾が切れたわ!」
「…予備の弾は無いです…」
グオォッ!
「不味いですね…僕のボフォーブンが持ちません…そろそろ突破されます」
「なんだって!」
(この状況を突破するのに必要な要素は…)
一、奴らを広範囲に制圧が可能な攻撃手段
…ない、僕にはそんなことができる身体能力も魔力もない
ニ、奴らの攻撃を防ぐ新たなバリケードで対処の時間を稼ぐ
…ボフォーブンの再展開を考えたけど僕の魔力が尽きて動けなくなれば戦線は間違えなく崩壊する
三、奴らから逃げ切る
…ダメだ…ここを離れて奴らをフリーにすれば瞬く間にバリケードを破られ追いつかれる
(クソ…どうする…どうすれば…)