異世界へ逝き取り乱す僕。
「はぁ…はぁ…」
「お前!こんなのでへばってどうする!これだと今日の訓練は乗り切れんぞ!」
「ハイ…!」
僕はレーベヒト マース、「レマ」と呼ばれてる、軍人の一人…落ちこぼれの隊員だ…
◇ ◇ ◇
「うぉぉぉ!」
レマは空元気を振るい訓練に臨む…確かにメニューはまだ3割しか完了していない…だが!
ダッダッダッダ!
「伏せろォ!」
まだ…!
バサッ!
「打てぇ!」
この僕にも…!
ダダダダ!
「走れぇ!」
伸びしろが…!
ダッダッダッダ!
ある…は…ず…
「伏せ…」
「軍曹!レマが…!」
「オイ!レマ!何へばってやがる!」
軍曹はレマを蹴るが…
レマは全く動かない…
◇ ◇ ◇
「…!ここは!」
辺りは古い町並み、その割にはぞろぞろと人の波が目の前を横切ってゆく…
(おかしい…町並みのわりに人が多すぎる…それに俺は訓練の最中…もしかして…夢?)
そう思い辺りを見渡すが…
(…全く見覚えがない…それに夢の割には意識がはっきりしすぎている…まさか…ありえない…急にこんなところに…)
レマは頭を抱え狼狽える…
(こ…ここは落ち着くんだ…冷静さを失えば正しい判断ができなくなる…それに今は…自分の命に係わる状況じゃない…!そうだ…多少ミスがあっても取り返しが効く…!)
レマは「死ぬことはない」の理論で落ち着きを取り戻す。
(そうだ…装備…今僕は何を…)
軍服のポケットを探る…
(ナイフ…オートマチックハンドガン…予備のマガジンは無いな…あと…カロリーメイト…)
◇ ◇ ◇
「すみません図書館とかありますか?」
「…変わったひとだね…ん~王室の中ならあると思うけど…普通の人は入れないと…」
(どうする情報がなさすぎる…ん?あの人…王室って言ったよな…それに町は洋風だ…だとするとここはイギリスとかか?いや違う…イギリスで電柱一本立ってないのはおかしい…それだと…ま…まさか…俺は…)
「タイムスリップしてしまったのかぁ!俺はァ!」
ざわざわざわ…
(…しまった…うっかり叫んでしまった…)
レマは視線から逃れるため走り出した。
◇ ◇ ◇
(どうしたものか…ここはどこぞの王国か…しかも…過去…)
ヒュゥゥゥ!
レマがどうこう考えていると上空から謎の風切り音が響く…