少年を脅す、フー・ラフズ
「ぼっ、僕は怪人なんかに屈しないぞ!」
「違う、まず前提からして違う。俺は怪人じゃあないし、お前に襲われる筋合いもない」
なんか色々勘違いしてそうな少年にため息を吐きながら英雄は答える。
「よし、質問を変えよう。怪人ってなんだ。そしてなんでったってお前はそんな大層な防具で身を固めてんだ」
「ふん!怪人に教えることなんてちょっと待ってくださいそういうことはやめてさいちゃんと言うんで!ちゃんと言うんでやめてください!」
強情な少年を改心させるべく、アーマーの比較的頑丈そうなところを拳銃で削り取る遊びを始めたら、少年は快く話してくれた。
「怪人とは、世界征服を目論む秘密結社デスロムの改造獣」
成程、そういう感じな奴が俺のいない間に台頭してきたのか、だから変身ヒーロー的なのが出てきたのかと、英雄が一人納得し
「と」
少年は続きを話し始めた
「魔界帝国ザグルズの魔光兵、極悪宇宙連合ゼルスのゼルスモンスター、そのほか色々な敵の総称を言います」
「多くない?」
世界観とかいろいろ迷子にならないそれ。と、若干編集者寄りの気持ちになった英雄であるが、残念ここは現実である。そして現実はいつも非常なものである。
「はい!なのでとりあえず変な動きをしてるやつは全員ぶっ殺した方が楽なんですよ」
あ、この少年バイオレンスな考えの奴だ。などと英雄が思考回路のおかしな少年に引いていると
『あー、そこのキミ、もしよかったらウチの研究所まで来てくれないか?』
少年のヘルメットあたりから、別人の声が聞こえてきた。変成器で声を変えてはいるものの、恐らく女性であろう。
「はっ博士!危険ですよ!空飛んでたんですよ!ぶっ殺しましょうよ!」
『はっはっは、無理を言っちゃいかんよ将太君。大体今君は特殊装甲を丸っと削れる相手に捕まってるんだよ?彼をウチまで案内してきなさい』
なんとなく、この博士は話の通じそうな人だなあと英雄はちょっとだけ安心し
「博士!今の僕は超暗黒狗ですよ!」
『すまない、通信機の感度が悪くなってきた。ガーピー』
やっぱこの子どもヤバい奴じゃないかと更にどん引いた。あと博士に深く同情した。スーパーダークシュナウザーて。
しかしコンビニ意外に行くところを決めていないのも事実。ここはひとつ世界の内情を知るべく、少年に道案内をさせることにした。