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ディスタンス  作者: ぷかぷか
8/10

 家事も片付けも終わり、早めに夕ご飯も食べてしまって、TDGにログインした。


 本当はまだ逃げ出したいくらいで緊張もしているけれど、心配をかけたということはチャットからもわかるので腹をくくってパソコンに対峙している。


 ギルドチャットをゆっくり読んでいく。1週間はギルドやその他の話だけで、テルーのことに言及はなかった。オークが1週間前に待ってるよ、ということで収まったのだろう。


テルー『こん××は。2週間ぶりです。色々とご心配をおかけしてすみませんでした。

 みなさん、個別にチャット、ありがとうございます。

 ここでまとめてしまいすみません。

 恥ずかしくてお話できるようなことではないのでここでは書けませんが、ぼちぼち復活できたらよいなぁと思います。

 しばらくは低空飛行かもしれませんが、温かく見守ってください。

 今晩は参加しますね。

 久しぶりなのでもう忘れてしまっているかもしれませんが』


 まだ5時半、早い時間帯なので入室はなく、肩ごなしに探検をして2週間ぶりのTDGを楽しんだ。



ピコ~ン♪ ピコ~ン♪

ピコ~ン♪


オークやフォックス、ルシアが入室したようだ。


オーク『テルーちゃん、おかえり』


フォックス、ルシア『『おかえり』』



ピコ~ン♪


アリス『テルーさん、帰ってきた? おかえりなさい!』



いつもと変わらずに迎え入れてくれる仲間たちにホッとするが、ウルフがいない。それが寂しく感じる。


フォックス『テルーちゃんが戻ってきてくれて、いやぁ、よかった。これでウルフのやつも安心するだろうさ』


アリス『ウルフさん、どうしたんです? ここ数日きてませんよね』


オーク『あー、うーん』


フォックス『リアルでもみないんだよな』


アリス『相当忙しいってことですかねぇ。珍しいですよね』


フォックス『まぁ、テルーちゃんが戻ったとききゃ、くるんじゃね?』


テルー『心配かけたからですか? 申し訳ないです。』


 その後も、ウルフ抜きでギルド戦に参加し、軽く探検して終わった。


 ウルフがいないTDGは何となく色あせて見えた。結構、ウルフに依存していたんだなぁと気づかされるのだ。




 幸がTDGに復帰してから1週間たっても、ウルフは来なかった。


 何かあったんだろうかと思うのだが、いつもは話題にするギルドの仲間たちはウルフの話題を避けているように感じる。足のケガが悪化したのだろうか?仕事が本当に忙しくなってしまったのだろうか。


 テルーが戻ったことは、ウルフがTDGにログインしなくても、フォックスがウルフに伝えているだろう。


 自分もやったくせに、ウルフにやられると心配でたまらなくなる。


 ギルドの仲間たちにこんな心配をかけていたんだなとすごく反省した。自分のことしか考えていなかった…。ギルドの仲間たちは決してといただすようなことも責めるようなこともしなかったけれどそれが逆に申し訳ない気持ちを強くする。


 とうとうたまらずに、ウルフのラインにメッセージをいれた。



「テルーです。ラインでは初めましてですね。

 ご無沙汰してすみません。

 あれからずいぶんたってしまいましたが、お元気ですか?

 足のお怪我は大丈夫でしょうか?

 私は先週からTDGに復活しました。

 ご心配おかけしたようですみませんでした。

 こんどはウルフさんがいらっしゃらなくなったので、心配です。

 私も、こんな風に皆さんに心配かけちゃったんだと申し訳なく思っています。

 ウルフさんが早く戻ってこれますように」



すぐにラインの既読が付いて、幸はあわてた。


ラインになれていないのだ。業務ラインと同期ライン、家族ラインだけで、個人のラインはしたことがあまりない。



「ルルちゃん? 本当にルルちゃん?」


すぐに吹き出しがでてきた。慌てて、返事を打つ。


「はい。」


「おおお。あ、今晩は。お久しぶりだね。

 大丈夫、一応元気。足の固定具ももうちょっとで外れるし。

 いや、あのね、色々勉強することや個人的なことが重なって、

 しばらくTDGを休むよって伝言頼んだんだけど、聞いてない?」


「え?いいえ、何も」


「あれ~?」


「お忙しかったんですね。すみません。ライン入れて。お邪魔しました」

 

「あ、いいの、いいのよ。むしろ、ようやくルルちゃんと繋がったし」


「お勉強のお邪魔じゃ…?」


「いや、今、出先だし(笑) ルルちゃんのラインIDゲットできてラッキーです」


「ウルフさんがお元気そうでほっとしました」


「また、時間のある時にライン頂戴。

 出先だからゆっくり打てないんでこちらからもまたライン入れるね」


「はい、おやすみなさい」


「おやす~、またね」




 やり取りを終えて、幸はへなへなと力が抜けた。

 幸がとても緊張していたというのに、ウルフは全く普通だった。


 あれ? 全く変わってないじゃん? どういうこと?

 勉強とか忙しいとか言ってた。一時的なことなのだろうか。

 ギルドの仲間たちは知っていたようなことも言っていた。


 画面に残る吹き出しをみながら、何となく落ち着かない気持ちになった。

ようやくウルフ出てきました。

あと2話で完結です。


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