プロローグ
初めての作品。ふつつかものですが、よろしくお願いします。
ジャンルや指定に困ったw
今は深夜。人通りの少ない閑静な住宅街。道路の脇にある電灯が無ければ何も見えない暗闇の中、一人の男がふらふらと歩いていた。
「うぇぇ、飲み過ぎた」
その男は、新品のベージュのコートに紺色のスーツを来た、弱冠20代のサラリーマンだ。飲み会の帰りなのだろうか、その顔は上気していた。
塀の側の電柱を通り過ぎようとしたとき、「影」を踏んだ。
「ん?何か変な感触がする」
「影」とは決して比喩表現ではなく、そのまま闇のような漆黒の「影」である。
普通、影というものは、踏んだ所で何も害は無いはずだがー
「ひゃっ!」
いきなり、踏まれた「影」から伸びた黒い手が、ずずっ、ずずっ、と男の左足を掴んで引き摺り始めた。酔っているのもあり、道路に倒れ、ろくに抵抗もできないまま、「影」に引っ張られてゆく。
男はその非常事態に酔いも覚めて叫ぶ。
「離せ!やめろ!」
「やめないよぉ〜。あはははビビっちゃってかーわいー。食べちゃいたい」
すると、返事が返ってきた。間延びした感じでありながら、不気味さと寒気が襲ってくる声を出しながら
「何だお前は、何でこんなことをする!」
男は、恐怖と寒気にも負けず、道路に爪を立てて抵抗する。しかし、それ以上に「影」の力は強かった。
「うるさいなぁ〜。餌は大人しく餌らしくいろよ」
「うふふふふ、食ーべちゃお」
そう声が聞こえて、「影」は耳の尖った熊のような見た目に変化し、肉食獣の如く大きな口を開けた。
「や、めろ、誰か助けてくれ!」
「助けなんて来るはずないだろ〜。現実を見ろよぎゃっ!」
「影」は言い終わる途中で、真っ二つにされていた。
「残念だが、助けは来ちゃったぜ」
そう言って、刀を構えた青年は笑った。そのまま真っ二つにされていた「影」をさらに切り刻んだ。
「ぐっ、ギャアアア!!!」
バラバラにされた「影」は断末魔を上げて、霧散した。
「大丈夫ですか?」
刀を鞘に戻して、周囲を確認し、青年は男に駆け寄った。
「えっ!あ、ああ大丈夫だ。ありがとう」
男は戸惑い気味にお礼を言った。さっきの「影」や倒す時に使った刀に驚いているのだろう。
「いえいえ、どういたしまして」
「しかし、あれは何だ?君は一体?」
男は質問しながら立ち上がろうとした。しかし、
「痛っつ!」
悲鳴を上げ、立ち上がることができなかった。
男の左足首は「影」に掴まれていた所為か、赤く腫れ上がって、傷口から出血していた。
「これは…ちょっと待って下さい」
青年は男の傷を見て、男が無理をして再び立ち上がろうとするのを静止し、「陽月、よろしく」と暗闇の中に声をかけた。
「は〜い。りょうか〜い。貸し一つね」
先程まで、何もない暗闇だった所に青年を少し幼くした感じの少年が現れた。
「!!人がいきなり」
「すいません。左足見せて下さい」
少年ー陽月は男の近くに座って、左足首に手を翳した。すると、傷口がじわじわと塞がり始めた。男は驚く。
「さっきも聞いたけど、君たちは一体?」
青年は、十巡し、男の質問に答えた。
「影鬼から人間を守る者です。助けた代わりとして、このことは黙って頂けないでしょうか?」
男は答える。
「兄さん。眠い。明日が休みだからってこんな時間まで」
陽月は欠伸をする。兄と呼ばれた青年は、ニヤリと笑う。
「明日って、いやもう今日だけどさ、稼げるし。講義ないし、昼まで寝れるしいいかなって」
「ブラックだ!」
「何をいまさら。殺る相手の時点でねえ」
陽月の抗議に、青年は肩を竦めている。
男を見送った後、影鬼や他の人間が現れないのを確認し、青年と陽月は暗闇の中に戻っていった。
「あれは、陽月かな?何か知ってるかな?」
彼らのいた場所から少し離れて、少女は呟いた。
少女は、塀の上に座って眺めていた。彼女には、影が存在しなかった。
風景描写を詳しく書けるように頑張ります(^-^)
二話は色々と長くなりそう。