終りの時
連は、気を引きし直して、先へと進んだ。
だが、おかしな点が一つあった。
それは、健太の行動だった。
健太はちらちらこっちを見てくるようになった。
それが、普通の目じゃなく、敵を見る目だった。
連はそれから一度も健太を見ることが出来なかった。
歩いて20分ぐらいだろう。
目の前から、音が聞こえてきた。
多分、一人でこっちに向かってくると思う。
連は銃を構えて向かってくる敵を待っていた。
だんだん迫ってくる音と共に緊張が上がってくる。
次の瞬間、銃声が鳴り響いた。
敵は素直に倒れた。
健太が敵によっていきなり、膝を曲げた。
「どうしたの?」
連は健太に近寄り、その先を見たら連は一瞬にして力が抜けた。
「そ・・・そんな・・・。」
その先には隆志が体から血を出して死んでいた。
右手には銃を持っていて、左手には胸を押さえていた。
多分、血を止めようとしたのだろう。
健太が手首を触り、口に耳を当てて息をしているか確かめていた。
健太が首を横に振った。
連は信じる事ができず、隆志の体によって、胸を一生懸命押した。
「死ぬな、死ぬな」と何回も繰り返し呪文みたいに唱えながら、一生懸命胸を押した。
その時、健太が涙をたらした。
だが、そんな事には気にせずにただ、繰り返し、繰り返し、生き返ることを願って連は胸を押した。少しの希望をまだ捨て切れなかった。
「くそおおおおお」
連は叫びだした。
手には真っ赤に血で染まっていた。
それから、連は泣き崩れた。
連は頭が真っ白になった。
だが、一つだけ考えられたのは、復讐だけだった。
連は立ち上がり、憎しみと復讐と言う気持ちだけが、連を動かしていた。
「皆死ね、だれだ、お前か、それともお前か。」
連は健太と香奈を睨みつけて銃を構えた。
「お前達だな」
連はそう言って銃を構えた。
「やめて・・・。」
香奈が泣きながら訴えかけてきた。
連はそんな事を気にせず、香奈に向かって銃を構えて、引き金を引いた。
「死ね・・・。」
銃声が鳴り響いた。
「あ・・・あぁ」
香奈はそのまま倒れてしまった。
連は香奈を撃ってしまったのだった。
「おい、連、何している。」
健太が香奈の方へ駆け寄った。
連はただぼーと見ているだけだった。
「おまえ・・、よくも」
健太は連に銃を向けた。
「何故撃った」
健太は連を睨んで歩み寄ってきた。
「くるな、こっちにくるなぁー」
連は健太に向かって銃を向けて引き金を引いた。
だが、健太はそれに動じることなく、こっちに歩み寄ってきた。
「くるなぁあああああああああ」
銃声が鳴り響いた。
健太は仰向けになって悲鳴を上げていた。
だが、連は生きていると分かるとさらに引き金を引いて、
健太に向かって撃った。
連は何発も何発も、気がつけば弾が無くなっていた。
健太の体には血が溢れていた。
もう、すでに死んでいた。
連はやっと我に戻った。
皆が死んでいる。
連は怖くなってそこから逃げ出した。
走って、走って走りまくって、
連は何にも考えずにただ、走り続けた。
その時、何かに躓いて転んだ。
それは、スイッチだった。
次の瞬間、サイレンが鳴り響いた。
敵が前後からこっちに向かってくるのが分かる。
連は逃げられない、銃の弾もない、なす術がない状態だった。
連はようやく平常心に戻り、連は静かに目を閉じた。
「これで、終わり・・・・か。」
連の顔は死を恐れない、涼しい笑顔だった。
「いたぞー」
敵の声が響き渡り、ついに連の目の前まで来ていたのだ。
「これで、最後だな。」
敵の声が聞こえるが、連は目を開けなかった。
「みんな、ごめんな・・。」