天丼はおかわりするな、危険
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「なんだ二人とも、血と泥がトッピングされてるようじゃないか」
寝坊をして、長ったらしい説明を誰にしているのかも曖昧で、人間サイズの日本人形に血と泥をトッピングしたら、トッピングの二倍返しを食らった星野和彦です。まぁ、故意である故に許して欲しい所存で、職員室で生徒指導部の先生に厄介になっていますわ。
今日の大雨で髪の毛が洗えたのか、スキンヘッドの中年の先生は前述、「命」について懸命に教えてくれたのだが、僕と日本人形さんは右から左へ受け流して恐らく耳に残ってません。先生すみません。
そんな僕らの態度をみているうちに悟りを開いた先生は芸能用語でいう「天丼」を用いて、興味を引こうと必死に話しかけてきます。
※天丼……一度ウケた笑いをもう一度行うこと
和解、は先生の頭を挟み執り行って貰えたものの、日本人形さんとは口を交わさず、気付いたら自分の教室で頬杖をついていた。
「噂の姫乃先輩ってどんな人?」
教室の窓側の角が僕の席で、気付いたら休憩時間にそんな問いただしを同じクラスの人々にされた。
「え、あぁ可愛いんじゃない?」
名前が可愛いから、可愛いと伝えたらみんなから凄く貶されている気がする視線を浴びた。屈辱的だ。
右側の席の天上天下唯我独尊、と中学生が好きそうな四字熟語が似合う唐川五十鈴さんは耳をすまし、どうでもよすぎる理由に呆れたのか、次第にこちらをきつく睨みつけて立ち去ってしまった。実に厄日である。
無論、その姫乃先輩というのがのちのち、あの日本人形さんだということに気付いたのは翌日の朝であった。
「あ」
「い」
「う」
「え」
「おっ、ぐふっ」
極めて理不尽である。
正午で授業が終わり、下校時に異様な雰囲気を醸し出している例の姫乃先輩と二階の階段前で再開を遂げた。
あ、と言ったのに反応して、い、と反応してくれるまではこちらのペースだったな、確か。
お、を告げるとみぞおちに右ストレート。
彼女は武闘家なのだろうか。
「せ、先日は申し訳ございませんでした」
腹を抱え立ちながらも、くの字で謝る僕。
「……」
反応のない姫乃先輩の顔色を伺おうと顔をあげた。
昨日今日で怪訝そうな顔ばかり見ていたせいだろうか、印象としては怖い顔つきのいけ好かない先輩、というのがあった。
今はどうだろうか。
つぶらで綺麗な茶色の瞳に整った眉、噂は絡んだら人生最後なんてのはにわかに信じがたい。
笑窪もとても素敵で……これが初恋、とでもいうのか。
姫乃先輩は笑うのを必死に堪えていた。
満面の笑みでいる姫乃先輩につられて僕も笑って、二人でバカ笑いが起きていた。
「お前って名前なんていうの」
言葉は悪いかもしれないけど
「星野和彦だよ」
「あたしは、長崎姫乃だ。よろしく」
結構素直で、これからどんどん惹かれていきそうな予感がした。
「あ」
「は?」
殴られるのも、姫乃先輩にならいいやと思った僕はあいうえお、を再び試して笑いの誘発を試みたが右ストレートが横腹にあたり、ヒョロヒョロの僕か身体を貫通するかと思った……天丼は一度のおかわりで十二分であると確信した僕であった。
休暇をこの上なく優雅に使おうと思ったら充電なくなるまでのタフな勝負になってました。
誤字脱字等ございましたら教えていただけることを切に願って昼寝します(推敲してるつもりです……