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天才のスマホ ー神の攻防ー  作者: イフジタダヒロ
2/10

第二話=スマートホン

「ふあ~」と、大きなあくびとともに目が覚めた清市。

手に握られていた不思議な機械を目のあたりにしてなんとなく昨夜のことを思い出し、おもむろに歴史雑誌をめくるとそこには自分が今手にしているものに似ているのが記載された。

「間違いないこれオーパーツじゃん」

飛び上がって思わず大声で口走ってしまう。

そしてよかなることが頭をよぎる。

(これ売ったら大金持ちっしょ……)

「オレっち、マジついてるぜ」

『何が……?』

アパートで一人暮らしをしているのに突然女性の声が聞こえてきた。

当たりを見まわし布団にもぐりこみ怯える。

「悪霊退散、悪霊退散……」

『聞いてるの?』

声はスマホから聞こえてきていることに気づいた。

『私はカラミティア……あなたは?』

「オレっちは……」

名前が出てこない――

いや、喉まで出かかっているのだが得体のしれないものに言えないのだ。

『そう……言えないの……』

物悲しそうな声が聞こえたが依然として清市は鼻水をたらしブルブルふるえているばかりだ。

ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン……

突如鳴り響いたインターホンに飛び上がりビビる。

「こ、こ、こえぇー」

恐る恐る覗き穴を見ると大五郎とタツムがドアの前にいた。

「オーケー、落ち着け落ち着くんだオレっち……」

そっとドアを慎重に開けるが、大五郎が勢いよく開けた。

「うわぁー」

再び布団にもぐりこむ清市。

「何ビビってんだよ先輩、青空学校に遅刻だぞ」

雨の日は休校の青空学校は区が管理する広場で授業をおこなう、自由参加とはいえ遅刻は厳禁なのですぐに支度をして走る三人。

「へへーん、オレっちが一番」

「何が一番だ宇野、ち、こ、く、だぞ。三人とも立っておれ」

昼の休憩時間まで立たされる三人。

「先輩のせいだぞ」

「そうよ巻き添えくらったじゃないですか」

「なら、二人だけで来てたほうがよかったんじゃね?」

理不尽に責められキレそうになるが、大五郎の拳をみて手のひらを反す清市。

「ごめん……許してちょーよ」

タラララ~ン、タラララ~ン。

「誰だラジオ聞いてるやつは?」

先生が清市の目の前に来て頭をこつき、手を差し出してきた。

「出せ没収だ」

「いやー、オレっちラジオなんか持ってないすよー」

「嘘をつけ」

先生は無理やりポケットに手を忍ばせて奪い取りそれをみ見るなり態度を変えた。

「清市……後で先生と話し合わないか?」

そして生徒全員をすぐさま帰宅させた。

「先輩どうなっちゃうんでしょう?」

「町追放とかになったらかわいそうだな」

大五郎たちの心配は無用だ。

むしろ清市は区長のもとに連れてこられて営養賞を受け取っていた。

「君、こんな歴史的文化財をどこで?」

「あれっすよ、遺跡に行ったとき偶然に見つけたっすよ」

調子にのる清市。

「なるほど……君逮捕だね」

「へ?」

「遺跡で歴史的文化財を無許可に持ち出すことは違法だよ」

「あ~、ちょっとまってください……廃墟すっよ……廃墟で拾ったんすよ」

「なるほど……しかしこれがなんであるかわかっているのかね?」

「わかんないっすね」

清市は目を泳がせ、苦し紛れの嘘をつく。

「オーパーツだよ、名前はスマートホン。略してス、マ、ホ……しかもこんなに状態が良いのは始めて見たよ」

なるほど……と、言わんばかりにわざとらしくうなずく清市。

「オレっちすごい発見したんすね」

「そうだよ」

区長はイスから立ち上がると清市のアゴを締め付けて耳元でささやく。

「百万……いや、五百万だそうどうだね?」

ニヤリとお互いにうなずき商談は成立したかに思えた。

『だめ……』

「なんだと?」

「待ってください……今のはオレっちじゃないっすよ」

「このクソガキめが」

ひどい暴行をうける。

その時スマホが光り女性が画面から出てきた。

「ふふ……こんな機能まで建材とはね素晴らしい3D映像だよ」

「違う……4Dよ……」

「へ?」

その女性は清市に質問した。

「破壊……守護……?」

よくわからなかったがこの場を脱したかったので答えは決まっていた。

「守護……で、お願いしやす……」

「了解……」

たった一撃の拳――

これで決まった。

「あとはあなたが逃げるだけ……」

言われるがままにスマホを持って逃亡をはかり、やっとの思いで自分のアパートへ帰ってきた清市。

「この、スマホは一体?」

『天才のスマートホン……』

「オーケー、わかった……オレっちの名前は宇野清市……」

『インプット完了……オーナー情報を登録してください』

清市は画面の指示に従い登録を行う。

天才のスマホを巡る争いがおこるとも知らずに――

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