提灯
宵闇に浮く
ぽてりとした灯
迷い子の戻り途を、
惑い人の足元を、
照らせる仄か
彼の人の途標
彼の人の誘手
帰路を示す
柔らかな温み
嗚呼、
存じ給えるか?
あれの秘力の正体を
嗚呼、
解し給えるか?
あれの温みのその訳を
宵闇に浮く
ぽてりとした灯
帰りを待ちたる、彼の家で
案ずる者がある故よ
帰りを望むる、その場所に
込むる想いがある故よ
あれの持ちたる特別は、
想いの強さに他ならぬ
だからこそ
濃厚たる漆黒の闇の中で、
あれは
あんなにも優しく灯るのだ